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イスラエル料理とは?
聞いて驚くかもしれませんが、実はイスラエル料理というものは存在しません!
正確に言うと、イスラエルは様々な国から来たユダヤ人でなる移民国家なので、イスラエル料理も同じく、移民が母国で作っていた料理で構成されています。
しかし、イスラエル独自の料理があることは事実。イスラエル料理とは何なのか、3つの特徴に分けてご紹介します。
イスラエル料理 3つの特徴
1.イスラエル料理は多国料理のミックス
「イスラエル料理は世界中の料理のカクテルだ」と言われることもあります。つまり、イスラエル料理は世界各国の料理をミックスしたものという意味です。
実際にイスラエル料理は大きく3種に分類することができます。
中東料理、地中海料理、そして宗教に関する料理(ユダヤ教徒のコーシャーフードなど)です。
中東料理は、スパイスをふんだんに使った料理や、有名なものだと、ひよこ豆のペーストの「フムス」や、ひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」などがあります。
地中海料理はチーズ、オリーブ、トマトペーストなどを使った料理が多くみられます。
宗教に関する料理ですと、ユダヤ教徒が土曜日に食べる「チョレント」(詳しくはこちらの記事をご覧ください)や、金曜日に食べる「ハラ」というパンなどがあります。
しかし、冒頭にも書いた通りイスラエルは移民国家なので、家庭料理はそれぞれが来た国の影響を強く受けています。
私の主人はロシア系イスラエル人なのですが、彼の実家に帰ると、ボルシチ、ピロシキ、飲み物はウォッカなど、とてもロシア風な食卓となります。
週末にアメリカ系ユダヤ人のお宅にお邪魔した際には、男性群がビール片手に庭のバーベキューグリルで豪快にステーキを焼いていました。
つまり、イスラエルには移民の数だけ料理の種類があり、モロッコ料理、フランス料理、インド料理やエチオピア料理まで楽しめます。
料理の種類が多様なせいか、他国の食べ物にはとてもオープンで最近では日本料理が大ブーム。
カリフォルニアロールは女子会の鉄板になり、結婚式のオードブルにも必須となりつつあります。なんと、人口比での寿司屋の数はテルアビブが日本、ニューヨークに次ぎ3位なのです。ビックリですよね。
最近は日本食のみならず、タイ料理やベトナム料理なども人気が出てきています。
2.イスラエル料理ではフレッシュな野菜をたっぷり使用
イスラエル料理、特に地中海料理は新鮮な生野菜をたくさん使います。
実は、イスラエルの野菜と果物の自給率は90%以上!砂漠地帯なのにも関わらずアグリテックが進んでることもあり、イスラエル人が消費するほとんどの野菜や果物はイスラエルで育てられています。値段も安く、スーパーでは量売りが当たり前。そのためイスラエル料理には野菜をふんだんに使用します。
イスラエルではところどころにドリンクスタンドがあり、フレッシュな搾りたてジュースやシェイクをリーズナブルな値段で堪能することができます。
イスラエル料理では野菜や果物のみならず、ハーブもたくさん使用します。日本ではミントやパセリは飾りに使うことが多いと思いますが、イスラエル料理ではミントとパセリを使った「タブーリサラダ」など、ハーブ類を野菜のように使用する料理も多々見られます。
3.とにかく量と種類が多いイスラエル料理
イスラエル料理はとにかく豪華!量と種類がとても多いです。みなさん、日本では「残してはいけない」と教えられたと思いますが、イスラエルは反対。食べきれない量の料理が出されます。たくさんのイスラエル料理が大皿に盛られ、大人数でシェアして食べるのが一般的です。
イスラエル料理の量の多さにはいくつか理由があり、一つ目の理由はイスラエル流おもてなし精神です。とくにアラブ系イスラエル人は「豊富さ」を大事にします。ですから、家族内でも、食事をする際は「こんなに料理があるんだ」と見せて、おもてなしをします。
2つめの理由はホロコーストとの関係です。第2次世界大戦中に多くのユダヤ人は迫害され虐殺されました。生き延びたユダヤ人も皆、極度の空腹を経験した人たちです。その時代のトラウマもあり、2度と食べ物に困らないよう、日頃からたくさんの食糧をため込み、食事の量もとても多いのです。悲しい歴史が食べ方にまで影響しているようです。
そして、家庭でもレストランでも、食後は甘いもので締めます。ヨーロッパからの移民も多く、とても美味しいケーキ屋さんがたくさんあるのもイスラエルならでは。
さて、大まかにイスラエル料理の特徴を説明しましたが、実際にどのような料理を食べているのか見てみましょう。
イスラエル料理の定番メニュー
イスラエル風ブレックファスト
まずは、どのカフェのメニューにも載っている「イスラエル風ブレックファスト」、簡単に言えば朝食セットです。
セットに含まれているのは数種類のチーズ、サラダ、パン類、ハーブ入りオムレツやペースト類、ジャム、フルーツジュースとコーヒーなどたくさんの料理がテーブルを埋め尽くします。驚くのがパン、チーズとサイドディッシュはお変わり自由。こんな朝ごはんを食べれば、夜まで何も食べれないほど満腹になります。
フムス
ひよこ豆のペーストに練りごまと調味料を混ぜた料理。お肉の乗ったフムスや、松の実の乗ったフムスもあります。私の一押しはマッシュルームフムス。スパイスと一緒によく煮込んだマッシュルームとフムスの相性は抜群です。
フムスの食べ方は、ヘブライ語から直訳すると”フムスを拭いて”食べるのが一般的です。ピタと呼ばれるパンをちぎり、パンで直接フムスを”拭く”ようにディップして食べます。お好みで辛いスクッグと呼ばれるトウガラシのペーストやレモン果汁などを加えて食べるのもオススメです。
アレーゲフェン
直訳すると「ブドウの葉っぱ」と呼ばれる料理。その名の通り、ブドウの葉っぱを使いハーブたっぷりのライスを巻く煮込み料理です。
もとはバルカン地方の料理なのですが、今ではイスラエルの定番料理に挙げられるほど浸透しています。
これほど浸透した理由の一つとして、軍隊との関係があります。実はアレーゲフェンは缶詰にして日持ちさせることができ、なんとイスラエル軍の軍事行動中に食べるミリ飯の鉄板です。そのため、軍に所属していた方(とくに元戦闘員の男性)にはなじみ深い料理です。
クナッフェ
最近イスラエルで大ブームを引き起こしているクナッフェ。中東発祥のデザートで、小麦粉で作るカダイフ麺にヤギの乳で作るシェーブルチーズをのせて焼き、砂糖水をかけた甘いスイーツです。本格的なところは炭火焼きでクナッフェプレートを温め、熱々のクナッフェをアラビアンコーヒーと共に食べます。
甘いカダイフ麺と少ししょぱいチーズはよく合う!そこに苦いアラビアンコーヒーがあれば最高のコンビネーションです。
元はストリートフードでしたが最近では高級レストランのデザートとして提供されるほど人気に火がついています。
ジャフヌン
イエメン系ユダヤ人が安息日の土曜日の朝に食べるパン。マーガリンたっぷりの棒状の生地を鍋の中に詰め込み、オーブンで16時間以上焼いたパンです。トマトペーストと煮卵、そしてお好みでスフーグ(唐辛子ペースト)と一緒に食べます。
こんなにもシンプルなのに絶品!何時間もかけて焼いたジャフヌンは甘味を増しており、しょっぱいトマトペーストと相性がとてもよく何個でも食べれます。
安息日にしか食べれないのでレストランなどにはなく、近所のおばあちゃんが土曜日に自宅の庭で売っている光景がよくみられます。
土曜日の朝になるとガソリンスタンドやバス停などにジャフヌンの屋台も出ており、休日のお出かけ前にはついつい立ち寄って食べてしまうダイエット中には危険な一品です。
さて、イスラエル料理をご紹介しましたがいかがでしたか?
イスラエルは中東のイメージが強いかもしれませんが、地中海に近いロケーションと移民の多さもあり、バラエティ溢れる料理が楽しめます。
イスラエル料理はおいしく量も多いので、イスラエルに来る際にはくれぐれも食べすぎには注意してくださいね!