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CULTURE

安息日とは?週末は正月気分?イスラエルでの安息日の過ごし方。

by 木村 リヒ |2020年06月17日

安息日」という言葉を聞いたことがありますか?日本人にはあまりなじみのない言葉ですが、イスラエルでは生活の一部となっている大切な日です。今回はユダヤ教、イスラエルと関係の深い安息日についてご紹介したいと思います。



安息日とは?

安息日とは、金曜日の日没から土曜日の日没までの休息の時間を表す言葉です。ヘブライ語では「シャバット」と呼ばれ親しまれています。

シャバットではなんと公共交通機関が全てストップし、ショッピングモールやスーパーなどもすべてクローズ。

安息日前になると、街行く人々が「シャバット・シャローム(平和な安息日を)」と声を掛け合うのが聞こえてきます。


安息日の起源は、旧約聖書の記述にあります。

創世記には、「こうして天と地と、その万物は完成された。神は第7日にその仕事(メラハー)を完成された。すなわち、そのすべての仕事を終わって第7日に休まれた。神はその第7日えお祝福して、これを聖別された。」と書かれており、簡単に説明すると、神は世界を作る為の6日間の仕事(マラハー)を終え、最終日の第7日にお休みになられた。そのお休みになられた日を聖別し、聖なる日と決めたということです。

つまり安息日は休息日のみならず、聖なる日ともされており、ユダヤ教徒は神と同じく週6日間働き、安息日には休息をとることにしています。


では実際にイスラエルでは、どのようにして安息日を過ごしているのでしょうか?

今回は正統派信者(宗教熱心な方々)と世俗主義(宗教の影響をあまり受けていないユダヤ人)に分けて紹介します。


電気も火も使えない安息日?

宗教熱心な正統派信者は、神の仰せの通り、仕事(メラハー)をせず安息日を過ごします。「仕事」というよりは「作業」といった方か正しいかもしれません。会社に行くのはもちろんのこと、火や電気、車などを使うという行為も「作業」のうちに入るので禁じられています。

今ではガスをひねれば火が使えますが、聖書が書かれた時代は火をつけるのも一苦労で大変な作業でした。その時代の名残もあり、今でも火や電化製品は禁じられています。


では、1日中真っ暗な中食べずに過ごすのでしょうか?―ご心配なく。

作業はすべてシャバットが始まる前の金曜日朝から昼にかけて済ませておきます。

お店もすべて閉まってしまうので土曜日に必要なものの買い物や、金曜日の晩と土曜日の食事の準備などをしておきます。

携帯電話も電化製品で使えないので、金曜の晩に友達と会いたいならあらかじめ待ち合わせ場所と時間を決めておくことも必要です。交通機関も止まっていますし、車を使うことも禁じられているので、近所の友達と会うか、遠くに住んでいる友達なら土曜日の安息日明けまでお泊りということになります。



安息日前の準備ができたら、聖なる日にふさわしい白い服を着て安息日の始まりの祈りを捧げます。この祈りは女性の役目で、祈りながらろうそくを付けた時点で安息日が始まります。

金曜日の夜は、家族みんなで豪華な食事を楽しみながら和気あいあいと過ごし、土曜日はお祈りをしたり、聖書を読んだり、お散歩するのが一般的な過ごし方です。


私にはシャバットはどうしても厳しく窮屈そうなイメージなのですが、宗教熱心な知人からすると「今の時代、インターネットやテレビ、パソコンに縛られっぱなしでそっちの方が窮屈だよ。休みぐらいメールや電話は断って、家族や友達との時間を大切にしたい。携帯電話を持たずに散歩するのは瞑想の一種のようなもので電化製品から距離を置くと普段考えないことに時間を費やせる。」と感じているようです。


パーティナイト!飲んで踊って朝帰り?!

一方、宗教熱心ではない世俗主義ユダヤ人の安息日は全くの別物です。

金曜日の晩は夜遅くまで飲める日というイメージで、ユダヤ教の決まりごとはほとんど気にしません。もちろん電化製品も使い、車にも乗り、働く人もいます。お店やスーパーは閉まっていますが飲み屋となると例外で、むしろバーやパブやクラブなどは金曜日の夜は大忙し!ウエイターにとっては一番チップの弾む日で、休みなく朝まで働いています。



若い人は金曜日のディナーを終えるときれいに着飾り、友達と共に夜の街へ繰り出します。もちろん皆がバーやクラブに行くわけではなく、カフェでお話する人や家でのんびり過ごす人もいますが、金曜日に友達と会って夜遅くまで楽しむというのは共通して言えることです。


土曜日の過ごし方は、やはりお店が閉まっているので家族と会ったり、ピクニックや自然を堪能する楽しみ方が一般的です。


とても豪華な安息日の食卓

私が安息日で一番好きなパートは断トツで料理です!毎回この料理を楽しみに6日間頑張って働いています。


金曜日の晩はごちそうが用意され、家族や親せきと共に食べます。

料理は家庭によって様々ですが、食事の前にブドウ酒とパンでお祈りするのが一般的です。

この食事ですが、とにかく賑やか!親戚だけでなく友達や彼氏・彼女が加わることもあり、大人数で囲む食卓となります。もちろん人数に合わせて料理のレパートリーと量も多く、食べて飲んでおしゃべりし、楽しい夜となります。


金曜日のディナー。なんとデザートだけでこの量!
金曜日のディナー。なんとデザートだけでこの量!

そして、土曜日の定番料理といえば「チョレント」と呼ばれる豆や肉、穀物やお米などの煮込み料理です。

宗教熱心な人は土曜日に火を使えないので、金曜日のお昼にチョレントを仕込んで置き、24時間煮込みます。

この料理は家庭によって味付けや具がかわります。日本でいうお味噌汁のようなものですね。 チョレントは土曜日のお昼に家族そろって食べるのが一般的です。


モロッコ系ユダヤ人のチョレント – 味付けは少し濃く、クミンをふりかけ食べる
モロッコ系ユダヤ人のチョレント – 味付けは少し濃く、クミンをふりかけ食べる
シャバットのお昼ご飯は親戚が集まり大人数でテーブルを囲む
シャバットのお昼ご飯は親戚が集まり大人数でテーブルを囲む

さて、今回は安息日について紹介しましたがいかがでしたか?

近年のイスラエルでは、安息日に交通機関が動いていないことやお店が閉まっていることに反対する若者も多く、宗教の自由と宗教からの自由を訴える運動も多く起こっています。

しかしそのような若者もシャバットの家族と過ごす時間は大切にしており、やはりユダヤ教徒とは切っても切れない日だと感じます。過ごし方はそれぞれ違えど、安息日は家族間とのコミュニケーションを深め、心身ともに休まることのできる素敵な日だと私は感じております。

皆さんもイスラエルに来た際には、この国ならではの安息日をぜひ体験してみてくださいね。