ドイツ在住のイスラエル人指揮者 Bar Avni氏が、フランスのパリ・フィルハーモニーで2024年3月15日から17日にわたって開催された女性指揮者のためのコンクール「ラ・マエストラ」において1位を獲得しました。
ラ・マエストラ国際コンクールは、女性指揮者のためにフィルハーモニー・ド・パリとパリ・モーツァルト管弦楽団が協力して2019年に創設されました。第一回コンクールは2020年に、第二回コンクールは2022年に開催され、今回の第三回大会は世界中で注目されるクラシック音楽イベントとなりました。2024年の優勝者と準優勝者は、2024年3月から2年間実施されるラ・マエストラ・アカデミーへの参加権も優先されます。
なぜ女性のみを対象とした指揮コンクールが創設されたのでしょうか?性差に関する意識の顕著な変化にもかかわらず、常設オーケストラの指揮を執る女性の地位は依然として非常に低いままです。世界のオーケストラにおける女性指揮者の割合は、2018年は4.3%、2024年現在8%(*1)という現状です。フランスでは、常設オーケストラのトップに就任する女性の数が2019年の2.7%から2022年には10.8%に増加し、目覚ましい飛躍を遂げていますが、男女平等には程遠いところにあります。
世界最高とみなされるオーケストラのすべてが男性指揮者を擁していることを考えると、女性にとってガラスの天井が存在することは否めません。また既存の指揮コンクールでは、選考委員や審査員を務める女性はほとんどおらず、依然として差別に直面することが非常に多いのです。このコンクールはそうした背景を踏まえ、指揮者として台頭しつつある才能ある女性たちに自信と知名度を与えることを目的として創設されました。
*1: 2022年 Nathalie Krafftによるラ・マエストラのための調査