ワインはユダヤ教の儀式に欠かせない存在ですが、ワインに負けるとも劣らずイスラエル人に愛されているアルコール飲料に、アラックという蒸留酒があります。アラックは、ナツメヤシやブドウ、サトウキビやイチジクなどを原料とした地中海や中東にルーツを持つ蒸留酒で、現在では世界中で広く親しまれています。

日本では馴染みが薄いお酒ですが、無色透明なアラックに水を注ぎ入れると白濁する様が珍しく、また独特な香りに異国情緒が掻き立てられる、飲み口のすっきりしたスピリッツです。
イスラエルにはいくつかの有名なアラックのブランドがありますが、今回は、数ある有名アラックブランドの中でも最高級の品質を誇る「アラック・ノア12」の醸造元、カワール蒸留所長のアナン・カワール氏と、ノア12ブランドの立役者、共同パートナーのツィヨン・バルーフ氏にお話を伺いました。
カワール蒸留所3代目所長、アナン・カワール氏インタビュー
ーーー自己紹介と、カワール蒸留所の歴史についてお話しいただけますか?

カワール蒸留所長のアナン・カワールです。当蒸留所はガリラヤ地方ナザレの東の街、クファル・カナに位置しており、カワール一家は先祖代々この地に住むアラブ系キリスト教徒です。創設者である祖父は、もともとアルコールの輸入業を営んでいましたが、アルコール飲料販売に関する税制や法の改定などの影響により、自分達でアルコールを製造することに決めました。現在は、3代目の私が所長を務めています。
もともと自家用としてアラックは昔から家で作っていましたが、販売に適したアラックを作るために、父も私も多くを学び、幾度となく改良を重ねてきました。私たち家族の名前「カワール」が冠された製品を世に送り出すのですから、製品はプレミアム品質でなければならない。どこに出しても恥ずかしくないものを、という思いを込めて、皆さまに愛されるアラックを作り続けています。

カワール家は伝統を大切にしながらも、進化することを決して恐れません。ビジネスに限らず、生き残るためには進化しなければならないのが世の常。私は、常に新しいことに挑戦したいと思っています。
ーーーノア12は、どのようにしてプレミアムアラックとしての地位を確立したのでしょうか?
ノア12は、カワール蒸留所の最高品質のアラックです。ビジネスには、良いパートナーがいることが成功へのカギですよね。ノア12の成功には、共同パートナーであるツィヨン・バルーフ氏との協力が不可欠でした。彼とミーティングを重ね、協力し、それぞれのベストを尽くすことで、最高に良い商品を世に出すことができると確信し、蒸留に取り組みました。ノア12は、銅製の蒸留器を使った伝統的な蒸留と先進技術、高品質の原材料、厳格な製造プロセスを組み合わせて作られています。

ノア12ブランドの立役者、共同パートナーのツィヨン・バルーフ氏インタビュー
それでは、ノア12ブランドを作り出したツィヨン・バルーフ氏とは一体どんな人物なのでしょうか?実は、彼はイスラエルでも最も有名な俳優のひとりで、コメディアン・トリオ「シリシヤット・マ・カシュール」の一員。ツィヨン氏には、ノア12誕生の裏話をお話いただきました。

ーーーノア12はどのように生まれたのでしょうか?
中近東出身の両親を持つ私にとって、アラックは常に身近なものでした。良いアラックは、飲んでも酔い心地がすっきりしていてあとを引きません。またアラックは薬にもなるので、子供の頃は腹痛のときはお腹にアラックを塗ったりもしていました。
ですから、自分にとって身近な存在であるアラックを作るなら、絶対に高品質のものをと考えていました。大衆に親しまれるアルコールであるアラックを、添加物を一切加えず、正しい製法で丁寧に蒸留したプレミアム品質でつくりたかったのです。
元々、アラックのブランド名には私の名前「ツィヨン」を使おうという案もありましたが、なんだかしっくりこなかったので、代わりに息子の名前でもある「ノア」と命名しました。

ノア12のラベルは私がデザインしました。聖書の「ノアの箱舟」の話はご存知かと思いますが、これは現代のノアの箱舟を表現しています。
ーーー昨年末に映画の撮影で日本を訪れたと伺いました。
そうなんです。シリシヤット・マ・カシュールの一員として、映画「シュリの解放大作戦」パート2の撮影を終えて、2024年11月に日本から帰国しました。
今回の撮影で初めて日本を訪れましたが、日本に到着したその瞬間から懐かしいような、心が安らぐような、とても安心した気持ちになりました。日本の人々や風景、いえ、そのすべてに恋をしたと言ってもいいくらいです。
ーーー日本を満喫されたようですね!日本食とアラックの相性については、どうお考えですか?
日本ではおいしいものも沢山頂きましたが、ノア12はドライな味わいで、日本食にもきっと相性がいいと思っています。撮影で日本に行った時、ノア12の瓶も少し日本に持っていき、スタッフの皆さんなど色々な方に味見をしていただいたんです。皆さんにとても喜んでいただき、日本展開の可能性を肌で感じました。
シュリの解放大作戦パート2 日本の撮影スタッフとの集合写真
そういえば、東京のある小さな居酒屋で、印象的な出来事がありました。持参したノア12を、居酒屋のマスターやお店のスタッフにも飲んでいただいたところ、皆さんとても気に入ってくださいました。そうして皆で一緒にノア12を楽しく飲んでいたら、別に貸し切りというわけではなかったのに、音楽から何から、すっかり私たちのやりたいようにやらせてくれたんです。全部好きなようにやらせてくれて一緒に楽しんでくれた。本当に楽しくて、印象的な夜として記憶に残っています。
ノア12は、2025年のFOODEX JAPANに出展しています。日本の皆さんにもイスラエルのプレミアムアラックをお試しいただきたいと思っています。
カワール蒸留所公式ウェブサイト:https://arak-kawar.com/en/
ツィヨン・バルーフ氏 Instagram:https://www.instagram.com/zionbaruch/
FOODEX JAPAN 2025 イスラエルブース

- 日時:3月11日~14日 10:00-17:00(最終日は16:30まで)
- 会場:東京ビッグサイト Hall3 エントランス近辺
- 参加企業:一覧はこちら
- 主催:Export IL・駐日イスラエル大使館経済部
- 公式サイト:https://www.jma.or.jp/foodex/
FOODEX WINE 2025
- 日時:3月11日~14日 10:00-17:00(最終日は16:30まで)
- 会場:東京ビッグサイト South Hall3
- 公式サイト:https://www.jma.or.jp/foodex/en/zone/wine.html