近年技術立国として世界をリードし、その存在感を増しているイスラエル。その中でも特筆すべき技術の一つに農業技術が挙げられます。イスラエルは気温が高く、年間降水量は平均700ミリ以下、南部では50ミリ以下という過酷な気候ですが、そうした環境下での農業技術の発展が水の節約や効率的な農業生産を可能にしました。
また、イスラエルの食品産業は、革新的な食品加工技術も注目されています。例えば、植物ベースの代替肉製品や乳製品、さらには食品廃棄物の再利用技術などが挙げられます。これらの技術は、持続可能な食品生産に向けた取り組みとして世界中で注目されています。
こうした背景を受け、イスラエルの食品産業と世界を繋ぐ架け橋となるために設立されたのがExport ILです。同社は、ハイレベルなイスラエルの製造業者の市場拡大を支援するための非営利団体である Daroma-Tzafonaとの官民パートナーシップ企業であり、地元製造業者への投資とサポートによってイスラエルの辺境地域に持続可能な経済成長をもたらすことを目的としています。
今回は、3月5日から8日まで東京ビッグサイトで開催される「Foodex Japan 2024(第49回国際食品・飲料展)」にイスラエル・パビリオンを出展するExport ILのCEOであるダン・ヘヒト(Dan Hecht)氏と、Export ILを運営する非営利団体 Daroma-TzafonaのCEOであるギオラ・バラン(Giora Baran)氏にお話を伺いました。
ーーーご自身のキャリアについてお話しいただけますか?
ダン: Export ILのCEOであるダン・ヘヒト(Dan Hecht)です。過去 35 年間、イスラエルをはじめとする世界中で食品のマーケティングと販売に携わってきました。 過去 15 年間は、特にイスラエルにおける輸入と販売を目的として会社を設立し、世界中でイスラエル製品の販売とマーケティングに注力してきました。
ギオラ:過去 17 年間にわたって、イスラエルの中小企業製造業者を支援する非営利団体である DaromaTzafona Fund の CEO として活動してきました。イスラエル全国の 1,000 を超える企業を調査・分析し、日々の課題、戦略的ジレンマ、財務上の問題、マーケティングなどへのソリューション提供を通じて彼らのビジネスをサポートしています。
Export IL は、イスラエルの製造業の国際的な売上と輸出を増やすことを目的として、非営利団体 (DaromaTzafona) と経験豊かな国際マーケティング専門家 (Dan) との間のユニークなパートナーシップとして、ダンと私によって設立されました。
ーーーExport IL社およびDaroma-Tzafona社が提供するサービスについて詳しくご説明いただけますか。
ダン:Export IL はイスラエルの製品メーカーの輸出を管理しており、メーカーに代わって、商品の連絡、交渉、最終的な供給も管理します。製品輸出までの流れとしてまず、規格、規制、ブランディング、価格設定、パッケージング、容量などに基づいて、各国に適した製品を輸出用に整備します。そうして各国の法規制に準拠させてはじめて、世界中の輸入業者、流通業者、スーパーマーケットのバイヤーに製品を提供することができるのです。
ギオラ:DaromaTzafona Fund は、財務管理ツールとビジネス管理ツールの両方でイスラエルの中小規模の製造業者を支援する非営利団体です。 現在、同基金はイスラエルの1,200社近くの製造業者を支援し、5億ドルの優先融資と、独自のビジネストレーニングプログラム、ビジネス指導とコンサルティング、生産性向上、世界市場への浸透など数百ものビジネス管理ツールを提供しています。
Export ILはDaroma Tzafonaの商業輸出部門にあたり、グローバル市場における輸出量と販売額の増加を支援することで、イスラエルの製造業者の成長を促進するために活動しており、それらのサービスは約50社のイスラエル企業とその製品ポートフォリオを紹介する革新的なオンラインB2Bプラットフォームの構築など、さまざまなツールを通じて行われています。
世界中の潜在顧客やバイヤーがビジネスや製品の幅を広げられるように、プロフェッショナルな流通経路を提供しています。さらに、Export ILは、販売、規制、ロジスティクスなど、輸出プロセス全体を管理する、広範なグローバルな顧客基盤を持つ専門家チームから構成されています。現在は、イスラエルの生産者が日本およびアジア全域の市場を開拓することに焦点を絞っています。
ーーー貴社のコアサービスが生まれた背景と、貴社サービスが提供するメリット、またそのターゲット層についても教えてください。
ダン:私たちは、世界中の食品業界とのつながりや経験、知識というユニークな資産を持っています。この資産を、世界中に販路を拡大したいと考えているイスラエルの製造業者と共有することで活用し、業者の製品を世界中へ輸出するのを支援したいという考えから当社のサービスは生まれました。
Export ILは、製造メーカーよりも輸出ビジネスに精通したプロの輸出管理者によるチームです。当社のサービスを利用するメリットは次の2つに集約されます:1つ目は、輸出を専門に担当するマネージャーの雇用が難しい中小規模の製造業者が、輸出のプロのノウハウにアクセスできるということ。2つ目は、当社が世界中に持つ製品の卸先顧客リストにアクセスできること。こうした特性から当社は、主に世界中の輸入業者、流通業者、スーパーマーケットのバイヤーをターゲットとしています。
ーーーFoodex Japan2024でのイスラエルパビリオン出展まであと少しとなりましたが、貴社は日本市場をどのように分析していますか?
ダン:日本市場は流動的で、絶えず成長・発展しており、日本の消費者は革新的な製品を好み、高品質かつ特別な新製品に対して深い興味を持っており、オープンであると分析しています。日本市場へ参入を決めたのは、イスラエル製品がその需要に対する新たな供給源のひとつとなることができると確信したからです。当社の手がける多くの製品によって、日本の消費者に新たなオプションが提供されることで、イスラエルと日本の文化と人々を結びつける機会になって欲しいとも願っています。
また伝統と革新が融合する国であり、その点がイスラエル市場との共通点であるとも感じています。現在、イスラエルの革新的な製品や企業は世界的なトレンドとなっています。それらを革新を好む日本市場に紹介することで、今後の協力と成長の可能性を模索したいと考えています。
ーーーイスラエルパビリオンの見どころ、および貴社の今後の展開について教えてください。
ダン:3月5日から8日までの4日間にわたり、東京ビッグサイトでFoodex Japan 2024が開催されます。イスラエルパビリオンにおいて、私たちはイスラエルの伝統的な食品だけでなく、革新的なイスラエルの特殊食品を展示し、皆様のお越しをお待ちしています。きっと日本市場にマッチする製品をたくさん紹介できると自負しております。
当社のイスラエル製品は現在、南米、北アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパのほとんどの地域で販売されています。 今後の展開として、Foodex Japanをきっかけにが日本とアジアの市場を開拓することを期待しています。今回の展示会を通じてこれらの市場にリーチし、イスラエル製品を紹介することができれば嬉しいです。展示会場で、皆様にお会いできるのを楽しみにしています。