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BUSINESS

伝統と革新の架け橋 – 日本市場での新たな挑戦

独占インタビュー | Tempo Beverages ブリューマスター マリーナ・ザルツァー氏

by ISRAERU 編集部 |2025年03月11日

Tempo Beverages(以下「Tempo」)は、70年以上にわたり イスラエルのビール業界を牽引し、伝統と革新を融合させた醸造技術を確立してきました。代表的なブランドである 「ゴールドスター」や「マカビー」 は、イスラエルのビール文化を象徴する存在として、多くの人々に親しまれています。


そして今、Tempoはグローバル市場の拡大の一環として、日本市場への進出を本格化させています。職人技と品質を重視する日本の市場において、2025年3月開催のFOODEX Japan 2025 で 「ゴールドスター・スローブリュー」 を初めて正式に紹介する予定です。


今回は、Tempoのブリューマスターであるマリーナ・ザルツァー(Marina Zaltser)氏 にお話を伺いました。彼女のキャリアやTempoの歴史、日本市場への展望について語っていただくとともに、ゴールドスターやマカビーが持つ独自の魅力、そしてイスラエルビールが日本の消費者にどのように受け入れられる可能性があるのかを掘り下げてもらいました。


マリーナ・ザルツァー氏

ーーーご自身のキャリアとTempoでの役割について教えてください。


2010年に品質管理部門でTempoでのキャリアをスタートしました。その後、機会があるたびにビール技術責任者に同行して知識を深めたり、本やオンラインの情報、海外の専門コースを活用し、独学で専門知識を習得しました。そうして次第に、ビールの醸造こそが自分が極めたい分野であると確信するようになったのです。現在、醸造・技術・ビール製品開発部門の責任者として、業界を革新をしていきたいと思っています。


ーーーTempo Breweryの歴史や大切にする価値観、主な業績について教えてください


Tempo Beveragesは、1934年にモシェ・ボーンスタイン氏によってテルアビブで設立されました。現在では、イスラエル最大のビール醸造所であり、国内最大級の飲料会社でもあります。


Goldstarはイスラエルで最もポピュラーなビール

主なブランドには、ゴールドスター、マカビー、ネシャー・モルトがあります。特にゴールドスターはイスラエルのビール文化を象徴する存在で、1981年に発表されたデュラン・デュランの楽曲「テルアビブ」において言及されるなど、国際的なポップカルチャーの中でもその存在感を示しました。


また、1992年からはハイネケンの独占輸入を開始し、2005年にはサミュエル・アダムス・ラガーの独占販売権を取得しました。現在、ハイネケン・インターナショナルが40%の株式を保有しており、グローバル市場の一翼を担っています。


ーーー貴社の主力製品、ゴールドスターとマカビーの特徴について教えてください。


ゴールドスターとマカビーは、どちらもイスラエルでトップクラスの人気を誇るビールですが、それぞれ異なる特徴を持っています。


ゴールドスターはダークラガーで、よりコクのある味わいと、伝統的なイスラエルのビール文化を反映した独自の個性があります。マカビーはペールラガーで、国際的なビールのスタイルに近く、万人に親しまれやすい味わいです。


Tempo主力ビールのひとつ「マカビー」

ーーー日本市場進出を決めた理由と、イスラエルビールが日本の市場に適していると考えるポイントを教えてください。


Tempoはこれまで北米やヨーロッパを中心に多くの国でビールを販売してきましたが、現在アジア太平洋地域への進出を視野に入れています。その第一歩として日本市場を最適なターゲット市場であると判断しました。


日本は多くの業界で革新をリードしている国であり、イスラエルで最も愛されているビールであるゴールドスターやマカビーといった革新的なビールが、日本の市場に適していると考えています。


特に、ゴールドスターは1950年の誕生以来、70年以上変わらない独特の味わいを受け継いでいます。一方で、私たちは革新も大切にしており、2013年にはクラフトビールの要素を取り入れた「ゴールドスター・アンフィルタード」を開発。また、2017年には発酵時間を長くすることで深みのある味わいを実現した「ゴールドスター・スローブリュー」を発表しました。


マカビービールのヘブライ語の現地広告


私たちは、2025年3月に開催されるFOODEX Japan 2025で初めてゴールドスター・スローブリューを日本市場に紹介することをとても楽しみにしています。


ーーーFOODEX Japan 2025 でのTempoの出展について、特に注目すべき点はなんですか?


FOODEX Japan 2025 に出展する最大の目的は、日本市場での認知度を高め、より多くの消費者に私たちのビールを知ってもらうことです。数か月前に日本での販売を開始したばかりのため、このイベントはB2B(企業向け)とB2C(一般消費者向け)の両方の市場とつながる絶好の機会だと思っています。


また、日本で初めて「ゴールドスター・スローブリュー」を正式に紹介できる場でもあります。この機会を活かして、日本の消費者や業界関係者の反応を見ながら、今後の市場戦略を練っていきたいと考えています。


クラフトビールの要素を取り入れた「ゴールドスター・アンフィルタード」


ーーー貴社の今後のグローバル、および日本市場での展開について教えてください。


今後の当社のグローバル展開戦略では、まず日本市場における存在感の確立を最優先とし、その後、アジア太平洋地域の他の市場への進出を検討していくつもりです。現在、日本ではホテル・レストラン・カフェ(HoReCa)を中心にビールを販売していますが、今後は酒販店や大手小売チェーンにも展開し、より多くの消費者に手に取ってもらえる環境を整えていくよう計画中です。

最終的な目標は、伝統と革新が融合したTempoのビールの魅力を、より多くの人に届けることです。


ーーー最後に、日本とイスラエルの食品業界の今後への期待についてお聞かせください。


今回のFOODEXへの出展は私達にとって第一歩です。これを始まりとして、今後様々な交易が続いていくことを私達は望んでいます。もちろんFOODEXでは食品関連の製造業界同士のつながりに重点を置いていますが、日本とイスラエルの製造業界のつながりは決してそれに留まらないと思っています。私達イスラエル製造業者協会は、イスラエルの様々な産業を世界に誇るビジネスへと推進しています。どんな分野であっても、日本という良きパートナーと新しい世界を共に切り拓いていくことを心から楽しみにしています。


終わりに

イスラエルの伝統的なビール文化を大切にしながらも、新しい市場へ挑戦し続けるTempo Beverages。日本市場において、品質と革新性を兼ね備えたゴールドスターやマカビーがどのように受け入れられるのか、今後の展開から目が離せません。




FOODEX JAPAN 2025 イスラエルブース



  • 日時:3月11日~14日 10:00-17:00(最終日は16:30まで)
  • 会場:東京ビッグサイト Hall3 エントランス近辺
  • 参加企業:一覧はこちら
  • 主催:Export IL・駐日イスラエル大使館経済部
  • 公式サイト:https://www.jma.or.jp/foodex/

FOODEX WINE 2025






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