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BUSINESS

イスラエルのビジネスマンに学ぶ『質問力』

by 平野貴之 |2023年05月22日

先日は、イスラエル人の特徴であるフツパー、ネバーギブアップ精神について、紹介させていただいた。今回は、全世界でビジネスを成功しているイスラエル人のもう一つの特徴である「質問力」について、お話をしていきたい。



ユダヤ教の教義の中に『質問する、もっと学ぶ、より深く考える、そして自分自身へ挑戦する』という教えがあるように、イスラエル人は、何事にもポジティブで常に一歩先を考えながら情報を収集し、収集した情報を次にどう活かせるべきかを考えながらビジネスをしているように感じる。



特徴的な一例として、某日本上場企業とミーティングを行った時の話だ。イスラエル企業が提案書、見積りを提示したが、予算の関係上、日本企業の希望価格と合わず、契約が難航していた。そんな時にイスラエル企業の担当者が『本年度、御社の全体的な予算はおいくらですか?本プロジェクトに当てられる予算は全体のうちの何%ですか?予算ピッタリの価格なら本日中にご注文書をいただけるのですね?』と質問パワーでプッシュし続けた結果、なんと日本企業から受注書をゲットできたのだ。


実は、質問パワーの裏に万全な事前準備が行われていた。イスラエスビジネスマンは顧客とのミーティング前に、事前に『どんな質問?情報?』を得るべきかをリストアップし、必ず事前準備を万全に行っている。ミーティング中に、顧客の問題点を見極めるために、どんどん質問詰めをしていき、常に顧客と同じ立場に立ちながら、問題を解決していく姿勢を見せ、好感度をあげていく。そして、顧客から得た情報や問題点を次にどう活かせるべきかをすぐに考え、アクションを起こすのだ。このプロセスは営業担当が行ったと思われるかもしれないが、実はイスラエス企業の担当者の多くが技術畑出身だ。職種の垣根を越え、営業だから技術だからではなく、ビジネスマンとして、質の高い質問を行う事が受注へとつながった「質問力」の高さと「ネバーギブアップ精神」こそが、彼らの成功の鍵となるのだろう。



日本の日常生活において「なぜ」と聞く事は、子供でない限りなかなか無いように感じる。全ての物事には理由があり、質問力のスキルアップの第一歩として、まずは「なぜ」と問う習慣を身につけよう。どんな事にも「なぜ」そして「なぜならば」と答えるようにしてみよう。この話し方は、英語で話す時もとても役に立つので、この地道なアクションが、ビジネスミーティング時にも役立つだろう。また、質問力は、企画力、プレゼンテーション力、交渉力にも密接に関係している。ビジネスだけでなく、人間関係や自己成長にも役立つスキルだ。質問力を高めることで、自分自身が成長し、周りの人々との関係性を深めることもできるのだ。



イスラエルビジネスマンの「質問力」を参考に、私たちも自分自身の「質問力」を磨くことで、キャリアアップへ繋がる。さあ今日から質問力を強化し、より良いコミュニケーションを行い楽しみながら、ビジネスを進めていこう。自分やパートナー、そして顧客とのゴール達成への近道になるであろう。