Share

BUSINESS

BugEraの共同創設者であるAnna Melkov博士、不可能に挑戦!

Week 7 - BugEra

by The ACT Hub |2021年08月20日

フードテックスタートアップ特集 – Food Tech Startup of the Week – は、ISRAERUウェブマガジンがThe ACTHubとの提携でお届けするイスラエルのフードテック業界のスタートアップを紹介する週刊シリーズです。今注目を集めているフードテックの新しい技術とそれを開発するスタートアップ企業のCEOや創設者を取材し、ベンチャー事業の奮闘、企業の成長やサクセスストーリーなどをお伝えし、イスラエル企業への投資を検討している日本企業へ情報を提供すると共に、同じ軌跡をたどろうと夢見る未来の起業家たちへ、彼らのノウハウやインサイトを提供します。



今週のスタートアップ企業 – BugEra

遺伝子工学を駆使して、アメリカミズアブ(Black Soldier Fly (= BSF))を新たなサステナブルかつ安全な製品にするBugEra社

女性起業家によって創設されたスタートアップであるBugEra社は、「女性による全国農産食品コンテスト」で6社の最終選考に残った企業です。この催しは、2021年6月6日、ペレス平和センターで開かれました。このコンテストで、BugEraの共同創設者であるAnna Melkov博士は、食品技術の専門家たちで構成される審査委員会に、自身の行うビジネスのプレゼンを行いました。このコンテストは、女性によって率いられた食品産業系スタートアップ企業の、世間での認知を上げていくために行われたイベントです。



最高技術責任者(Chief Technology Officer (= CTO))であり、研究開発部門の部門長であり、BugEra社の共同創設者でもあるAnna Melkov博士は、このコンテストの2位の座を賭けて闘いました。


BugEra社は、バイオディーゼル生産などの環境課題克服のための技術に向け、アメリカミズアブ(Black Soldier Fly (= BSF))を、遺伝子工学の技術を使用して、新たなサステナブルかつ安全な製品にしていく企業なのです。



今回、私たちは、このAnna Melkov博士にインタビューする事ができました。


―――今、ここに至る過程で、どんなことを感じたか、教えて頂けますか?

そう、やはり以前より自信が付きましたね。それは、自身のアイデアの広がりだけでなく、大勢の方々にプレゼンする能力についても同様です。どうすればより明解なメッセージが伝えられるか、そしてより正確なビジョンとプレゼン技術が得られるか、様々な方々から助言を頂きました。私はもともと、単なる学者に過ぎませんでしたから、様々な情報の流し方や、人前でのプレゼンの技術など、スタートアップ企業として必要な環境に慣れるのは、本当に大変だったんです。でもそのおかげで、専門的な科学知識を、どうすれば広く一般の方々に分かって頂けるか、その方法を学ぶ事ができましたね。


―――このコンテストは、あなたの役に立ちましたか?

そうですね、この業界をリードする専門家の方々から、ビジネスを進め、戦略を立てていく上で、とても役に立つ様々な考え方を学ばせて頂けました。このコンテストに申し込んだ時点では、自分自身、まだ明確なゴール、というものがなかったんです。でも、このコンテストを通じて、より大局的な視点で物を眺められるようになり、次に何をしていくべきかが明確になったと感じています。


―――なるほど。では、その、次の挑戦とはなんでしょうか?

無論、現実の世界に打って出る事、です。今回、いろいろな方々から貴重な助言を頂いた事で、私の頭の中のアイデアも広がりました。あとは実行のみです。


―――今までの道のりの中で、最も重要な時期はいつでしたか?

直近の数ヶ月は、本当にストレスが溜まる、そして無駄に時間だけが過ぎていくような時期でした。そんな中、Carmit OronとHamotal Gozlanの二人が、そんな暗い雰囲気を壊してくれたんです。なので、私にとって最も大切だった時は、受賞の瞬間やそのあとのパーティーなんかではありませんね。その裏で、どんな人たちと一緒に働いてきたか、それが最も大事な時間だったと思っています。


―――女性である事が一つの原因で、時には苦境に陥る事もあると思います。そのような時、どんな事を糧に、ビジネスを進めていらっしゃったのでしょうか?

私の一番の糧は、私の娘たちです。あの子たちには、私が常に範を示していかなければならない、って思っているんです。なので、特に相手から「NO」を突きつけられた時とかには、この娘たちへの思いが、私を前へ前へと推し進めてくれる力になっていますね。加えて、科学に対する私の情熱も、この日々を推し進めてくれる力だと思っています。自身が行っているこの研究に、私は本当に夢中なんです。夢追い人であり、科学者であり、母親である事。それが、私の娘たちの代までの食料事情を危機にさらしている地球規模の気候変動に、私を立ち向かわせてくれているんです。ちょっと馬鹿げた考え方に聞こえるかもしれませんが、やはり自身の動機をより強く持つ事こそ、科学者として、そして女性としてのゴールに向かう上での大きな覚悟を作ってくれているんだという気がしますね。


―――今までのご経験の中で、女性の起業家として苦労された事はありますか?そして、どのようにしてそれを乗り越えてらっしゃったのでしょうか?

スタートアップ企業を始めるにあたり、女性として一番苦労をした点は、やはり家庭との両立をどうするか、という事でしたね。幸運なことに、私の夫は、私の非常に良き理解者でもありました。私のビジョンに共鳴してくれ、信じてくれ、そして日々の責任を分かち合ってくれました。女性である事で、限界を感じた事は一度もありませんし、それを弱みだと思った事もありません。ましてや、女性であることを理由に何かを諦める、などという事も、私には考えられませんでした。でも、娘たちへの接し方や教育の仕方は、今後、根本から変えていく必要があるとは思っています。私がこのビジネスの世界に身を投じる前までは、女性蔑視などということなど、まるで考えてもみませんでした。そんな経験をした事もありませんでしたからね。しかし、ビジネスの場においては、私が会議室の中でただ一人だけの女性、という状況は多々ある事です。ビジネスの世界では、女性はまだちゃんと活躍出来ていない、という事ははっきりした事実だと感じています。助言を頂いた方のお一人、Ravital Kramer氏からは「道ですれ違う女性の全てを受け入れ、称えるべき」だと言われました。これが、この世界で学んだ一番の話ですし、また日々それを実行しようと頑張っています。


また、Anna Melkov博士は、こうも語ってくれました。

「女性による全国農産食品コンテストには非常に感謝しています。素晴らしいイベントであり、様々な方の努力によってそれが支えられています。実際、当初私は、女性向け、などというコンテストには懐疑的だったんです。でも、それは間違いでした。本当に素晴らしい経験でしたし、もちろん心から楽しむ事が出来ました。」



もちろん、この賞の審査員、そして参加者たちは、Melkov博士が行ったBugEra社のビジネスプレゼンテーションに単に感銘を受けただけではありません。ACT FoodTechとしても、BugEra社が、今後食品業界で大きく成功することを、大きな期待とともに見守っています。