1974年2月、ユリ・ゲラーが日本のテレビ番組に初めて登場。それから1980年代後半まで、このミステリアスな青年が巻き起こした「超能力ブーム」に日本中が熱狂しました。彼の代名詞ともいえる「スプーン曲げ」や、遠隔で壊れた時計を動かしてみせるといった超能力を、テレビの前で固唾をのんで見守ったという方も多いでしょう。2000年代以降も、「ユンゲラー」にまつわるポケモン裁判や、CIAが行った超能力に関する秘密実験に参加したことを示す文書が明らかになったりと、たびたび話題の的となりました。
実はユリさんはテルアビブ出身のイスラエル人。成人してからは、長くご家族とともに英国で過ごしましたが、2015年に故郷イスラエルに帰国。テルアビブのヤッフォ旧市街にある石造りの建物を数年かけて改築し、2021年に「ユリ・ゲラー・ミュージアム」をオープンしました。今回は、その驚きの展示でイスラエル観光の新名所となりつつあるミュージアムについてご紹介します。

目次
世界最大の“曲がったスプーン”が出迎える、異世界ミュージアムへの入口
ミュージアムの前に立つのは、全長16メートル、重さ11トンのスプーン。もちろん、ユリ・ゲラーを象徴する「曲がったスプーン」をかたどったものです。ギネス世界記録にも登録されたこの巨大モニュメントが、訪れる人を非日常空間へと誘います。

モニュメントの前に設置された、日本語を含む6カ国語で書かれたプレートには、ユリさんが自分の超能力に気づいたきっかけについて書かれています。
「テルアビブで過ごした少年時代、スープを飲んでいる時に偶然、ゲラーは自身がこの超常能力を持っているという事実を発見した。数十年後の今、スプーン曲げはゲラーのトレードマークと認識されているだけではなく、大衆文化のアイコンとなり、手品師やメンタルマジシャンの試金石となった。」
ダリ、ボウイ、レノン、マイケル…ユリ・ゲラーの時代を超えた超常級コレクション
館内は、彼の人生と“力”の軌跡を物語る、エキセントリックなコレクションが目白押し。
中でもひときわ訪れるものの目を引くのは、2,000本もの曲がったスプーンで装飾された「ユリ・ゲラー・ピース・キャデラック」。このスプーンはもともと、世界中の著名人が所有していたもので、すべてユリさんが超能力で曲げたんだそう。この車は、エルサレムのイスラエル博物館、アメリカのアメリカン・ヴィジョナリー・アート美術館、ロンドンのユダヤ博物館、イギリスのボーリュー国立自動車博物館など、世界中の博物館で展示されてきました。

その他にも、ユリさんが1963年に所有していたベスパや、サルバドール・ダリによる彫刻をはじめ、デヴィッド・ボウイ、ジョン・レノン、マイケル・ジャクソン、ピカソ、アンディ・ウォーホル、アルバート・アインシュタイン、ジークムント・フロイト、宇宙飛行士エドガー・ミッチェル博士などの名だたる著名人から長年にわたり収集された、ユニークな品々が所狭しと展示されています。


ミュージアムの石畳の下になにかあると「感じて」掘ってみると…
また、このミュージアムは1,000年前の建物を改装したものですが、その際に19世紀のオスマン帝国時代の石鹸工場が発見されたことが話題となりました。ユリ・ゲラーさんは、このミュージアムの石畳の床の下に何かがあると「感じた」ため、考古学者を呼んで調査を実施。その結果、オリーブオイルを煮ていたかまどや丸型の釜、スコットランド製のレンガが発見されました。遺構はミュージアム内に保存されており、考古学者たちから「記録上最も保存状態の良い遺構の一つ」と評価されているそうです。
予約制でご本人がミュージアムガイドも!
もはやミュージアムの域を超えたエンターテインメント空間で現在、ユリさんはミュージアムのガイドも務めています。博物館の収益は心臓病の子供たちのための基金に寄付しているんだそう。ユリさん自身が案内するガイドツアーでは、テレビでは語られなかった“真実の物語”に触れることができるかもしれません。
そこにあるのは、ただの展示ではありません。あなたの記憶と感覚を揺さぶる“体験”です。
さあ、もう一度ユリ・ゲラーの世界へ飛び込んでみませんか?

- ユリ・ゲラー・ミュージアム公式サイト:https://urigellermuseum.com/
- Instagram:https://www.instagram.com/urigellermuseum/
画像:Uri Geller Museum提供