イスラエルの安全保障は、世界中どの国のそれとも異なっている。北の国境にはヒズボラ、南の国境にはハマスという、どちらもイランをバックに徹底的に武装され、イスラエルの破壊を目的とする 2つのテロ組織に挟まれている。ヒズボラはレバノン軍よりも規模が大きく、装備の整った軍隊さえ持っている。このような状況を、ましてや何十年も容認する国がどれだけあるだろうか。
「紛争の頻度」について考えてみよう。過去17年の間(大半は2009年から2023年までのベンヤミン・ネタニヤフ首相在任期間)の 2006年、2009年、2012年、2014年、2019年、2021年、2022年、2023年(2回)に武力衝突があり、レバノンやガザからイスラエルの都市や地域社会に約2万発のロケット弾が撃ち込まれた。このような戦争のサイクルは、平均して2年ごとに繰り返されてきた。
しかしイスラエルは、ハイテク、ライフサイエンス、バイオテクノロジー、ウォーターテック、フィンテック、軍事システムなど、現代生活のさまざまな分野で成果を上げて高い回復力を維持し、繁栄してきた。2022年には、イスラエルの1人当たりGDPは49,790米ドルに達したが、OECD加盟国の平均が54,330米ドルであったことを考えるとこれは驚異的といえるだろう。そして今、再び戦争が始まった。
ここで我々は、「イスラエルはどのようにして現在の紛争に巻き込まれたのか」、「どうすればそこから抜け出すことができるのか」、 そして「この国が進むべき道は何か」を考えてみる必要があるだろう。
目次
イスラエルの安全保障の崩壊はどのようにして起きたのか?
2023年10月7日の安全保障上の甚大な失敗を理解するためには、10年以上、いや50年以上前の1973年のヨム・キプール戦争(第四次中東戦争)を振り返ってみる必要がある。イスラエルはあの戦争から苦い教訓を学んだと誰もが確信していたが、それは間違いだった。
1972年から1973年にかけての傲慢な政治・軍事指導者たちは、「エジプト人はイスラエルの強さを知っており、攻撃してくることはないだろう」という考えを抱いていた。そのため、エジプトによる攻撃に関する確かな情報が存在しても、誰も考えを変えたり、安全策を講じたりすることはなかったのだ。そして、2017年から2023年までの期間にもこれと似たような特徴が見られた。ネタニヤフ首相を筆頭とする政治指導者たちは、ハマスがコントロール可能であり、飼いならすことさえ可能だという考えを堅持しており、そうした立場を軍の指導者たちも支持していた。
ネタニヤフ首相は2019年、イスラエル経由でハマスに数百万ドルを送金するというカタールの希望に同意した。これは、ハマスの能力は限定的であるという強い信念によるものであった。加えて、早期警戒の継続的な失敗、イスラエルの抑止力の弱体化、陸軍予算の削減、ネタニヤフ首相の司法改革の試みによる2023年の大混乱が重なり、大惨事を許す結果となったのである。
3度の警告を無視
10月7日の惨劇が起こる 1年以上前に、イスラエル当局は今回のテロ攻撃のためのハマスの戦闘計画書を入手した。『エリコ(ジェリコ)の壁』(ヘブライ聖書に書かれているエリコの街の城壁)のコードネームで呼ばれるこの文書には、電子メール、インタビューといった情報から組織的な攻撃計画が詳述されていた。しかし、イスラエル軍と情報当局は、この計画を『希望的観測』として却下し、ハマスが実行するのは困難であると判断した。
2023年8月には、イスラエル国防軍内のイスラエル通信諜報機関「8200部隊」の退役軍人が、過激派グループが「エリコの壁」計画書で説明された内容と非常によく似た一日の集中訓練を実施したと報告した。彼女はこれを「戦争を始める計画」だと主張したにもかかわらず、彼女の警告は「完全に空想のもの」として却下された。
南部国境の女性陸軍監視員たちは、攻撃の数時間、数週間、数か月前に、不審で異常な活動が繰り返されていることを上官に報告し、上官はさらに上層部の陸軍司令官に報告した。 これらの司令官は警告を無視し、監視員たちは「警戒主義者」であると述べた。
イスラエルの指導者たちは、そうした兆候が強まっていたにもかかわらず、なぜ「ハマスにそんな野心的な攻撃計画を実行する能力はない」と主張し続けたのか。なぜ、不意打ちに備えた準備やリスク分散がされなかったのか?これらの重大な疑問は、戦争終結後に実施される国家調査の焦点となるだろう。
ハマスの攻撃計画のもうひとつの重要な要因は、過去10年間、いやそれ以上にわたって、歴代のイスラエル政府がパレスチナ問題の傍観者のように振る舞い続けてきたことだ。真摯かつ断固とした和平のイニシアチブはとられなかった。政府の政策は、ネタニヤフ首相のポリシーによって指示されていた。この間に、別の首相が就任していれば結果は違っていたかもしれないが、ハマスがイスラエルの究極的な破壊に全力を注いだことに変わりはない。
諜報活動の失敗、思考の硬直化、送金によるハマスの宥和、そして単独政権による影響などが重なり、ハマスによる『完全な犯罪』が生まれた。
火山噴火 – ハマスの侵攻
10月7日(土)の早朝、ハマスは過去数年にわたって練ってきた攻撃計画を実行に移した。ハマスがイスラエルに対し、パレスチナ住民の生活を改善したいと表明していたのと同じ時期であり、欺瞞は完璧だった。
これまでのハマスとの紛争はすべて、休火山のうなり声のようなものだったが、今回は噴火した。ハマスとしては、自分たちが侮れない存在であること、パレスチナの大義が忘れ去られることはないことを示したかったのだろう。彼らにとって、短期的な紛争はもはや十分ではなかった。これに対し、イスラエルはハマスに対して全面戦争を宣言した。
ハマスによるガザ支配
ハマスが2006年に21世紀唯一のガザ選挙で勝利し、2007年に鉄血政策を開始した。この組織はパレスチナ人民の代表を主張しているにもかかわらず、17 年間にわたり 4つの主な目標を堅持してきた。それは、ジハードとイスラエル破壊へのイデオロギー的献身を維持すること、軍隊と防衛力を強化すること、指導者を豊かにすること、そして地元住民を確実に服従させ、従わせることだ。ガザ人のほぼ全世代が、生まれたときからイスラエル人とユダヤ人を憎むように教え込まれてきた。
Hamas terrorists in Gaza, Palestine, brainwashed kids to hate Israel, Jews and wage jihad. The same with Hezbollah in Lebanon and the Houthis in Yemen. Thanks to their paymasters Islamic Republic of Iran, Khamenei, Iranian mullahs, IRGC, Qatar and Turkey.😌#HamasislSIS #Palestina pic.twitter.com/9RW5Alf08p
— Herry Rodin (@HerryRodinNapit) December 22, 2023
ハマスはイスラエルやユダヤ人を憎み、ジハードを推奨するように子供たちを洗脳している
世界銀行は2022年、ガザの一人当たりGDPはわずか1257ドルだと報告した。数字だけで見れば、ガザは地球上で最も貧しい場所のひとつだが、その指導者たちと一部の特権階級者たちは法外な富を得ている。ハマスのクウェート部局のリーダーであるカレド・マシャールは50億ドルを持っていると推定されている。ムーサ・アブ・マルズークは30億ドル。ムハンマド・デイフは500万ドル。イスマイル・ハニヤは500万ドル。ヤヒヤ・シンワールは300万ドル。ハマスがトルコ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ヨルダン、アルジェリア、スーダンで支配している企業は50社以上にのぼり、これらの企業のほとんどは不動産とインフラ部門に属している。
ハマスが戦闘を継続し、ガザでの統治を継続する理由は数多くある。 彼らは国民を貧困に保ち、イスラエルを恐怖に陥れながら、その「闘争」のためにイランなどから巨額の金を集めている。 昨年、2022年にイランはハマスの軍事部門への年間資金を1億ドルから約3億5,000万ドルに大幅に増額した。
世界最大の地下ネットワーク
ガザは世界最大の地下トンネル網を誇っており、365平方キロメートルに500キロ以上のトンネルが縦横に張り巡らされている。ガザ地区の南北間が41キロであることを考えると、その規模の大きさがわかるというものだろう。トンネル網はハマスの主な活動場所であり、電気、換気、電話ケーブル、30人以上が収容できる地下会議室、さらにはエレベーターまでもが備えられている。
ガザにはこれまで何十億ドルもの援助が贈られてきた。これらの莫大な金額は、指導者たちの懐に入るか、軍のトンネルインフラに投資されてきた。地上では、パレスチナ人は相変わらず貧しいままだ。彼らはハマスによって、トンネルを爆弾から身を守るシェルターとして使うことさえ許されていない。「ガザの民の安全に関して責任を持つのは国連だ」とハマス高官は発言している。
Mousa Abu Marzouk, a member of the Hamas Political Bureau said in an October 27, 2023 interview that aired on Russia Today TV that the tunnels in Gaza were built to protect Hamas fighters from airstrikes, not civilians. It’s the responsibility of the United Nations to protect… pic.twitter.com/sGVt2x6I33
— Yasmina (@yasminalombaert) October 30, 2023
ロシア・トゥデイのインタビューを受け、自分たちにガザ市民を守る義務はないと話すハマスのリーダー
北方における大きな脅威ヒズボラ
イスラエルを「テロ・サンドイッチ」するもう一方はヒズボラである。レバノン全土、特に北部国境に近い地域に深く浸透している彼らは、イスラエルの破壊に専念するさらに大きな勢力だ。15万発の高性能ロケット弾とイランから供給される大量の武器により、世界で最も武装した非国家民兵のひとつだと考えられている。ヒズボラは、よく訓練された10万人の戦闘員を擁する軍隊を持っており、レバノン南部に巨大なトンネル・インフラを構築するために大規模な投資も行っている。勿論、その中にはイスラエルの国境付近のコミュニティーに向かう多くの攻撃用トンネルも含まれている。
ハマスが10月7日に侵攻した後、彼らはイスラエルの軍民地域に対する無計画な攻撃を開始したが、イスラエルの応戦によりレバノン側に多くの死傷者と損害をもたらした。この戦闘には奇襲の要素はなかった。
ハマスと違って、ヒズボラはレバノン市民の安全保障に敏感だ。彼らはガザの現在進行系の甚大な損壊を目の当たりにしており、また2006年のイスラエルとの戦争でレバノンの多くの地域が破壊されたことを思い出しているのだろう。今のところ、これらの要因がイスラエルとの全面戦争を押し留めており、またイランは今のところ全面戦争を望んでいないという見方もある。
イスラエル側では、ヒズボラに北部国境から軍を移動させるための、外交面における多大な努力が払われている。一方、ヒズボラの攻撃によって、多くのイスラエル人コミュニティーがこの地域から避難している。もしヒズボラがイランの命令でイスラエルを攻撃するようなことがあれば、ガザと同様の激しい爆撃がレバノンにも加えられることになるだろう。
ハマスの巨大要塞を砕くには
イスラエルは15年以上にわたり、大規模な死傷者を恐れて、ガザへの地上攻撃をほとんど避けてきた。これがハマスに自信を与え、軍事力とトンネル網を大幅に拡大させた。イスラエル国防軍は最近、ガザ北部の国境付近で史上最大のハマス攻撃用トンネルを発見した。このトンネルは、ガザ市内に数キロにわたって続いている。巨大な地下ネットワークは、場所によっては深さ50メートル、また車両が通れるほどの幅を持つところもある。テロ集団が、トンネル掘削機で通路を作る様子を映したビデオ映像も見つかっている。
イスラエルへの大規模な侵攻を準備することが目的だったというこれ以上の証拠はない。イスラエルに抗議する人々は、これにどう反応するのだろうか?
ハマスはまた、軍隊を市民レベルまで浸透させた。病院、学校、幼稚園、コミュニティセンター、モスクなど、あらゆる公共の建物が軍事作戦に利用された。これらの場所は、国際法を完全に無視して、ロケット弾やその他の爆発物で埋め尽くされた。最近イスラエル軍は、ガザのジャバリャにあるカマル・アドワン病院の産科病棟で保育器に隠された武器を発見したが、それが彼らのモラルのレベルなのだ。
ハマスの論理的根拠は、イスラエルがそのような建造物を攻撃する勇気はないだろうというものだった。彼らは正当性の罠でイスラエルを思いとどまらせるつもりだった。彼らは、イスラエルが病院や学校で罪のない人々を爆撃する「非人道的」な行為に対して、毎回世界中から反発が起こるだろうと賭けたのだ。
そして今、テロリストにとって最も衝撃を与えているのは、イスラエルの軍事力の大部分がガザに注ぎ込まれているということだ。徐々にではあるが、着実にイスラエル軍は力の境界線を押し戻し、ガザ住民への影響力を縮小させ、息の根を止めようとしている。ハマスは究極的な敗北を目の前にしており、1945年ドイツのナチスのようにイスラエル軍を必死に血祭りにあげようとしている一方で、世界、特に彼らの支配の継続のためにデモを行うヨーロッパの何百万人ものイスラム教徒に支援を求めている。
Bei der "Pro Palästina Demo" im Hauptbahnhof Berlin skandieren Demonstranten die Parolen "Israel ist ein Terrorstaat" und "Deutschland ist ein faschistischer Staat". #Antisemitismus #Linksextremismus pic.twitter.com/fqgR6sBHXa
— LeakPortal (@Leakportal) December 19, 2023
ベルリン中央駅で行われた親パレスチナデモ。参加者は「イスラエルはテロ国家」「ドイツはファシスト国家」というスローガンを叫んでいる
イスラエル軍のハイテク対応
イスラエルの防衛力を低下させようとするイランの多くの代理人による努力を打ち負かすため、30万人以上の予備兵を含むイスラエルの軍事力の重圧が、南部、北部、ヨルダン川西岸地域に及んでいる。ガザ内では、ガザ市を制圧した後、ハマス指導部の震源地カーン・ユーニスに向けて徐々に前進している。それは、1945年4月にベルリンのヒトラー帝国首相官邸に向かって進撃したロシアのようなものだ(ただし、犠牲者ははるかに少なかった)。
都市部の激しい混雑と複雑なトンネル網のせいで、ガザは戦争を行うには地球上で最も適さない場所のひとつとなっている。いたるところに罠や爆弾があり、トンネルの入り口は数メートルおきにある。こうした巨大な難題に対処し、地上部隊を守るため、イスラエル国防軍はあらゆる革新的利点を利用しようとしてきた。
その答えは、陸軍の全兵科間で可能な限りの統合を達成することだった。まず、地元住民に戦闘地域から離れるよう警告する。その後、空軍がハマスの陣地をすべて攻撃し、地上軍が進撃するのはその後になる。こうすることで、多くの待ち伏せの可能性を避けることができる。とはいえ、イスラエル国防軍は、これまで以上に集中する戦闘地域に非常に慎重かつ計画的に進出している。
イスラエル軍(の8200部隊を通じて)は、目覚ましい技術開発によって、より正確な戦争を遂行できるようになった。そのひとつが『The Gospel(福音)』と呼ばれる人工知能システムで、民間人の犠牲を減らしながら敵の位置を迅速に特定するために考案された。このシステムを使うことで、軍は1日あたり200~500の標的を攻撃することができるようになり、質の高い目標を排除する速度が以前より 50%向上した。重要なのは、敵よりも迅速に決断を下し、敵が反応する前に攻撃を仕掛けることだ。
その他にも、ハマスの広大なトンネル網に対処し、ハマスの戦闘員があるトンネルのアクセスポイントに姿を消し、別のトンネルのアクセスポイントに突然現れる可能性がある場合、イスラエルの兵士の保護のために他の技術が応用されている。
戦時下のジェンダーの多様性
イスラエルとハマスの戦争は、不可能な不利な状況下で戦うイスラエル側の驚くべき勇気の物語を数多く浮き彫りにしてきた。なかでも際立っているのは、女性戦闘兵士の積極的な参加である。イスラエル国防軍は、戦闘においては男女差別は関係なく、個人の能力のみが重要であると受け入れている。そのため、2年前からついに一部の戦車中隊に女性が受け入れられるようになった。
10月7日、ガザ国境で3台の戦車が侵略者の撃退に貢献した。それぞれの戦車には女性だけの乗組員が乗り込み、17時間ぶっ通しでまるで雌ライオンのように戦った。多くの女性兵士も南部を守るために戦闘に参加し、女性兵士は男性兵士より能力が低いという議論を打ち消した。
ガザにおける死と破壊への対処
恐ろしく、悲劇的だ。戦争において、民間人が殺されるのを誰も見たくはない。ハマス軍に莫大な火力が向けられることを知っていたイスラエル国防軍は、民間人を安全な地域に移動させるために繰り返し緊急の努力をした。しかし、ハマス側は多くの市民を危険な場所に留まらせた。彼らの関心は、死者の統計を利用して自分たちの大義を強化し、世界中からより多くの資金を集めることだけなのだ。
10月7日、ハマスの戦闘員たちのひどい蛮行と純粋な邪悪さを目の当たりにしたイスラエルには、有効な軍事・政治勢力としてのハマスをガザから消し去る以外の選択肢はなかった。最優先事項は、ハマスが立つすべての拠点と陣地を破壊することであり、これがガザ内の大規模な破壊の理由を説明している。ハマスの戦闘員が建物の中にいれば、まず空から破壊される可能性が高いが、建物内の戦闘も多い。
イスラエル市民の回復力
イスラエル人の本質は、苦難の時に最も顕著に現れると言われてきたが、その通りだ。兵士たちへの物資の手配、南部や北部の国境沿いのコミュニティから引っ越した家族の支援、タイ人労働者が全員帰国したため人手不足となった農場の収穫を手伝うなど、その団結力には驚かされるばかりだ。多くの場合、政府の行動が遅れたり不活発になったりしたときに、国民が介入している。イスラエル全土に掲げられた看板には、”Together, we will win.”と書かれている。
市民は絶え間なく降り注ぐロケット弾の雨に直面している。また、イスラエルの人質の半数がいまだにガザに囚われているという深い痛みも内在しており、高い回復力と決意が求められる。
イスラエルには、この戦争がこの国を75年の歴史の中で運命の分岐点、つまりその転換点を迎え、その後はすべてが変わり、すべてが変わってしまうという深い感覚がある。2023年はイスラエルにとって、国内の安全だけでなく中核となる民主的地位にも大きな脅威をもたらした。物事はもはや、これまでのように続けていくことができないのだ。
戦争が終わったとき、イスラエルには何が待ち受けているのか?
10月7日の侵攻後、イスラエルでは、このような蛮行が許されたことに対して国民の怒りが爆発している。1973年10月の過ちはなぜ繰り返されたのかについての議論は戦時中は控えめだが、戦後激しくなるだろう。政治と軍のトップリーダー、とりわけベンヤミン・ネタニヤフ首相は責任を問われることになるだろう。
大胆な変化を促すために新たな選挙が行われ、別の首相が現れる可能性は高い。あらゆる政治的立場の多くの人々が、国民復興政府の樹立に向けた努力においても、戦時中の結束が保たれることを望んでいる。その最重要課題は、パレスチナ人との問題を最終的に解決することだろう。
ハマス政権後のガザ
ガザにおけるハマスの破壊的影響力を排除するために、イスラエルはすでに高い代償を払っている。地元のガザ住民はさらに重い代償を払ってきた。しかし、根本的な変化をもたらすには、双方に異なる考え方が求められる。
イスラエルはガザを併合することを望んでおらず、このパンドラの箱にまつわる戦闘にはうんざりしている。しかし、和平に関するほとんどの選択肢を試し、史上最も壊滅的な攻撃を経験した今、イスラエルのアプローチは変わった。テロ集団が再び頭をもたげ、イスラエルの南国境を脅かすことを許さないために、ガザでの「軍事行動の自由」を保持することを主張し、北部の国境にもテロリストの脅威を押し戻そうと決意している。
イスラエルの穏健派の政治・軍事専門家は、ハマスが極端なイデオロギーである以上、別のもっと魅力的なイデオロギーを導入することでしか打ち負かすことはできないと言う。彼らは、ガザ住民の80%はハマスの目標に共感しておらず、より良い政治的地平を求めているだけだと考えている。ガザを再建する勢力はすべてのアラブ諸国(サウジアラビア、UAE、ヨルダン、モロッコ)であり、他の国々が外部から支援しない限り、成功を予見するのは難しい。
ハマスのくびきから解き放たれたガザの人々は、「個人の自由」がどのようなものかを経験し始めるだろう。彼らが直面するのは、重い腐敗や「警察国家による生活の脅威」なしに生きる機会だろう – 世界がこれを許せばの話だが。ずっと以前より、彼らのためにという意図で送られていた資金が、ついに彼らに届くようになるだろう。
一方、2023年後半にイスラエルに押し寄せた津波は、おそらく2024年半ば以降、政治的にも社会的にもイスラエルに押し寄せ始めるだろう。
* 当記事は、英語から翻訳・編集されました。