世界地図を眺めていても、うっかり見逃してしまいそうなほどイスラエルは小さな国ですが、それを感じさせないほど世界に大きな影響力を持つ国の一つ。実は製造業の世界でもイスラエルは世界中に多くの製品を送り出しています。
そんなイスラエルの製造業者たちを、その建国以来の歴史よりも長く100年以上にわたり団結させ、経済的繁栄を主導し続けてきたのがイスラエル製造業者協会。3月11日から14日の日程で、日本で行われるFOODEXには去年に引き続きイスラエルから出展しますが、その製造業者たちを代表するのもまた、このイスラエル製造者協会の食品部門です。

イスラエル製造業者協会は、2,000を超える会社組織や工業工場から成り立っている大きな団体で、食品に限らず、電子機器、ソフトウェア、繊維、化学、医薬品、環境品質、金属・電気、消費財、建設製品など、イスラエルのあらゆる産業部門の産業化を強力にサポートし、その拠点となっています。
FOODEXを目前に控えた、協会において国際貿易を担当する、対外貿易・国際関係部長のダフナ・カプランスキー氏、食品産業協会理事のアビブ・ハツバニ氏、食品産業協会カスタマー マネージャーのオハッド・ハヤル氏にお話を伺いました。



ーーー今回のFOODEXには、イスラエルのどんな食料品が出展されるのですか?
特に今年はFOODEX50周年を記念したワインが独自会場に開設されるとのことで、そこにイスラエルのワインも出展される予定です。
日本でもすでに知名度を獲得しているゴラン・ワイナリーや、イスラエルの老舗ファミリー・ワイナリーでありユダのワイン・アぺレーション認定済みのテペルバーグ・ワイナリー、そしてガリル・マウンテンワイナリー、ブラヴド・ワイナリー、チューリップ・ワイナリー、それぞれが本当にユニークな特徴を持つ、高品質のワインを作り出すワイナリーの自信作が日本に集います。
アルコールに関連した話題では、イスラエルは現在ウイスキーの質が飛躍的に高くなっています。2023年にワールド・ウイスキー・アワードでワールドベスト・シングルモルトウイスキー賞を受賞したイスラエル産ウイスキー『M&H ELEMENTS SHERRY CASK』も出展します。
ワールド・ウイスキー・アワード2023でワールドベスト・シングルモルトウイスキー賞を受賞した『M&H ELEMENTS SHERRY CASK』
またイスラエル大手の飲料製造社であるTempo(テンポ)社も参加するので、マカビーとゴールドスターというイスラエルの2大ビール、さらにアニスとブドウから作られるアラックという蒸留酒を出展する予定。さらに食品ではクスクスのトップメーカーである Asif(アシフ)社、世界最高級のマジョールデーツを製造しているGood Food 社、100%最高品質のゴマからできたPrince Tahini(プリンス・タヒーニ)社、新鮮で健康なフレッシュジュースを世界にお届けしているPriniv(プリニヴ)など、盛りだくさんです。
イスラエル最大のビールメーカーかつ最も大きな飲料メーカーのひとつ、テンポのビール「GOLDSTAR」
ーーー日本の食品市場における、イスラエル製品参入のチャンスについてどう考えていますか?
日本には高品質の食品がたくさんありますので、日本のカスタマーは皆、高品質な製品に慣れているという特徴があります。実はイスラエルの製造業も、品質の管理はヨーロッパ基準を採用していて非常に高い品質のものが製造されるのが普通になっています。イスラエル製造の食品は、工場も農場もヨーロッパの厳しい基準を必ず満たしているヨーロッパスタンダードです。厳しく管理された品質については自信を持っています。
それから、日本の消費者の皆さんは健康志向であるという事にも親和性を感じています。もともと地中海の食べ物は健康に良いものが多いですが、それだけでなくイスラエルではビーガン、グルテンフリー、豊富なタンパク質や食物繊維、低脂肪食品や低糖分食品など、健康に関する様々なニーズに応えることのできる食品が開発されています。
このように、それぞれ食卓に乗る食べ物の形は違っても、本質的に求めているものに共通項があるというのは、イスラエル製品にとってチャンスだと思っています。
ーーーどのようにイスラエル食品の日本市場進出を実現しようと考えていますか?
日本には世界中からたくさんの食品が入ってきています。日本の皆さんは世界の様々な食に触れる機会がたくさんあると思いますが、イスラエルの食品に関してはまだまだ未開拓な部分が多いのではないでしょうか。伝統を重んじながらも新しいものにも挑戦するという特徴がある日本の食品業界に、イスラエルは今まで日本になかった新しい食材をお届けすることができると思います。クスクスや、イスラエルで誕生したプティティムと呼ばれるロースト・パスタ、ひよこ豆のクラッカー他、日本の食のシーンに、今までの日本にはなかった地中海風味の新しい味を添える場所があると信じています。
ぜひ、日本の皆さんにイスラエルの味を日常にも取り入れていただくために働きかけていきたいと思っています。
ーーーイスラエルの食品産業にとって、日本進出にあたっての最大の挑戦とは何ですか?
イスラエルにとっては、やはり英語圏やヨーロッパとのビジネスの方が歴史も長く馴染みがあり、勝手がわかりやすいという利点があります。その点日本には独自のビジネス文化や商習慣があると聞いていますし、言葉や文化の違いは私達にとっては慣れないことも多く、冒険になるかもしれないと思うことも正直あります。
それでも、ビジネス関係だって最終的には人と人との関係です。人間同士の関係なしにビジネスの関係もあり得ないことを考えれば、異なる二つの文化や特徴が、逆にお互いの足りない部分を補い合い補完しあうことができるとも言えるのではないでしょうか。これは新しいことへの挑戦ではありますが、逆転の発想で大きな利点であると考えることも可能なのです。

ーーー最後に、日本とイスラエルの食品業界の今後への期待についてお聞かせください。
今回のFOODEXへの出展は私達にとって第一歩です。これを始まりとして、今後様々な交易が続いていくことを私達は望んでいます。もちろんFOODEXでは食品関連の製造業界同士のつながりに重点を置いていますが、日本とイスラエルの製造業界のつながりは決してそれに留まらないと思っています。私達イスラエル製造業者協会は、イスラエルの様々な産業を世界に誇るビジネスへと推進しています。どんな分野であっても、日本という良きパートナーと新しい世界を共に切り拓いていくことを心から楽しみにしています。
終わりに
こちらの質問にそれぞれの専門の立場から真剣に答えて下さった製造業者協会の3人。
イスラエルでは日本文化は広く知れ渡り愛されていて、現在日本食は再ブーム真っ只中。イスラエルに深い縁を持つ筆者も、日本の皆さんにもイスラエルの食や文化を知っていただく機会があればうれしいと思っています。
FOODEXにとどまらず、今後もさらに日本との関係を強く拡大していくために様々な活動を行っていくとおっしゃる製造業者協会の皆さん。
日本とイスラエルがお互いにもっと身近な関係になり、かげがえのないビジネスパートナーとなり、共に繁栄の道を歩むことを願っています。
FOODEX JAPAN 2025 イスラエルブース

- 日時:3月11日~14日 10:00-17:00(最終日は16:30まで)
- 会場:東京ビッグサイト Hall3 エントランス近辺
- 参加企業:一覧はこちら
- 主催:Export IL・駐日イスラエル大使館経済部
- 公式サイト:https://www.jma.or.jp/foodex/
FOODEX WINE 2025
- 日時:3月11日~14日 10:00-17:00(最終日は16:30まで)
- 会場:東京ビッグサイト South Hall3
- 公式サイト:https://www.jma.or.jp/foodex/en/zone/wine.html