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BUSINESS

イスラエル発の革新的フードテック企業が集結するイベントに大注目の forseaが参加

細胞培養技術が切り拓く新しい農業と水産業の未来

by ISRAERU 編集部 |2025年03月07日

左から、Forsea フードエンジニアリング部長 ニコラス・モレノヒック氏、CEO ロイ・ニアー氏、日本部門マネージャー 杉崎麻友氏

2025年2月18日、イスラエル発の革新的フードテック企業が集結する「Israel Foodtech Innovation Event」が開催されました。
本イベントには、世界をリードするスタートアップ大国と言われるイスラエルから、日本の食産業に革新をもたらすフードテック企業8社が来日。
次世代の食の課題に挑む参加企業から、細胞性食品(培養肉)、植物由来食品、代替砂糖、健康管理など、最先端の技術と新しい健康へのアイデアについてプレゼンテーションが行われました。



なかでも注目を集めたのが、イスラエルのフードテック・スタートアップ Forsea Foods, Ltd.(フォーシーフーズ、以下Forsea)。
魚介類の個体数減少による負の連鎖を断ち切り、その潮流を変えることをミッションに掲げ2021年10月に設立された同社は、サステナブルな食料生産と生産品の提供を実現するために、独自の技術を用いて細胞の育成と増加を行い、シーフードを生産するという「細胞水産」を実現。様々なメディアでも取り上げられる、今話題のスタートアップ企業です。
イベント当日は、同社のCEOであるロイ・ニアー氏も来日したことからも、本イベントの重要度が垣間見ることができます。



そんなForseaが、最初に手がけた製品が「培養うなぎ」。
その理由は、全世界の魚の中で絶滅危惧種や危機に瀕していること、ニーズが高く食品としての市場があるという点から、培養うなぎの生産を決めたとのこと。
これにより、うなぎをはじめ、絶滅の危機に瀕している種を救うということにも一役買うことになります。
本イベントでは「培養うなぎ」を使用した料理が展示され、各メディアはもちろん、参加されていた多くの方々から大きな反響を得ていました。



ただ、これまでも培養肉を生産する企業はありましたが、Forseaは何が違うのでしょう。
従来の製法は、細胞を増やす際に成長因子と言われる栄養源を培養液の中にたくさん入れる必要がありました。そのほか、生産段階になった時、ラボ試験ではわからなかった複雑なプロセスが生産を圧迫し、コストが下がらないという課題が発生。そのため、製品の価格が下がらず、市場に出ていないという結果をもたらしたそうです。


しかし、Forseaは独自のオルガノイド技術により、生産プロセスの簡略化や効率化に成功。先進的な技術開発により、設備投資や大幅なコストカットを実現しました。現在、イスラエルと日本を拠点に次なる展開へ向けて飛躍を続けるForsea。
日本に生産拠点を設ける計画が進展している同社の、今後の展開から目が離せません。


プレゼンテーションで登壇する Forsea日本部門マネージャー、杉崎麻友氏

今回のイベントにて、プレゼンテーションで登壇されたForsea日本部門マネージャーである杉崎麻友氏に、今後の展望についてお話を伺いました。


「今回、私たちは事業提携をはじめ、弊社の事業にご協力いただける日本の企業様との出会いを求めて本イベントに参加いたしました。


設立時から、最初のマーケットは日本と考えていたのですが、法規制の部分で事業計画のタイムラインを引くことが難しかっため、まずはシンガポールでの製品上市を目指しています。


もちろん、生産は日本国内で行う予定です。規制状況次第ですが、2027年か2028年に商品を販売できればと思っています。
今後については、食べたいと思ったら、誰でも食べられる価格帯と生産キャパシティを実現したいと思っています。また、私たちの「細胞水産」の技術は、さまざまなシーフードに適応できるため、商品のバリエーションを増やしたいと思っています。今後ますます増え続けるシーフードの需要について、今回のイベントでご紹介したうなぎのようなプレミアムな商品はもちろん、どなたでも手軽に購入できるお手軽な商品まで、幅広く展開していきたいと考えています」



独自のオルガノイド技術を活用し、食の未来に挑み続けるForsea。
地球温暖化や気候変動などに伴い、ますます深刻化する世界の食料問題を抱える現代と未来にとって、この新たな食料生産技術と先進的な商品は、今後の食を支える大きな力になると強く感じました。




Forsea Foods, Ltd.(フォーシーフーズ)は、バイオテクノロジーエンジニアであるロイ・ニアー(Roee Nir)、モリア・シモニ博士(Moria Shimoni)、イフタフ・ナフマン博士(Iftach Nachman)、およびヤニブ・エルコビー博士(Yaniv Elkouby)が、イスラエルの政府系機関であるイスラエル・イノベーション庁(Israel Innovation Authority)および、インキュベーターのThe Kitchen Hub のバックアップにより設立されました。その他の出資元としてTarget Global、PeakBridge VC、Future Food Fund、Zora Ventures、FoodHack、およびM&H Venturesからのシード資金を獲得しています。

Forseaのオルガノイドアプローチは、魚の細胞が自然な脂肪と筋肉の組成を持つ三次元組織構造を自発的に形成する理想的な環境を作り出し、従来よりもさらに自然に即したアプローチだと注目されています。

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