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BUSINESS

OpenAIがイスラエル進出を検討 世界有数のAI活用国で築く新たな事業基盤

by ISRAERU 編集部 |2026年07月30日

生成AI「ChatGPT」を手がけるOpenAIが、イスラエルでの事業展開を検討していることが明らかになりました。現段階で計画されているのは研究開発拠点ではなく、イスラエルのスタートアップやテクノロジー企業との関係構築を目的とした、事業開発・営業活動です。AI先進国イスラエルとOpenAIの出会いが何をもたらすのか、世界が注目しています。

OpenAIがイスラエル進出を検討

スタートアップとの関係構築を本格化

OpenAIは7月末ごろ、AWSと共同でイスラエルのスタートアップを対象としたイベントを開催し、法人向けサービスを紹介する予定です。

イスラエルの経済紙「カルカリスト」によると、OpenAIは、Amazonでイスラエルのスタートアップ向けクラウド事業「AWS for Startups」を率いていたイスラエル人幹部を採用しました。同氏は欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域を担当し、ロンドンの責任者に報告しながら、特にイスラエル市場に注力するとみられています。

また、OpenAIの採用情報には、イスラエルのテクノロジー企業を担当する顧客管理職の募集も掲載されています。勤務地は形式上パリとされていますが、実際にはイスラエルを拠点とし、欧州のオフィスに報告する形になると伝えられています。

事業が順調に拡大した場合、将来的にはイスラエルの営業拠点を統括するカントリーマネージャーの採用も検討される可能性があります。

OpenAIは、これまで米国外へ進出する際、まずマーケティングや事業開発から活動を始め、その後、技術者の採用や研究開発機能の設置へと広げてきました。インドでも同様の形で進出し、営業・事業開発職の採用を経て、2025年末までに現地オフィスを開設しています。

現在、OpenAIが米国外に設けている主要な開発拠点は、ロンドンとチューリヒ。今回の動きが、すぐにイスラエルでの研究開発拠点設立につながるわけではありません。しかし、将来的な事業拡大に向けた重要な第一歩といえるでしょう。

AI活用で世界をリードするイスラエル

OpenAIがイスラエル市場に関心を寄せる背景には、同国のAI導入率の高さがあります。イスラエルは独自の大規模言語モデルを開発している国ではないものの、企業やスタートアップによる生成AIの活用が世界でも特に進んでいます。

競合するAnthropicが発表した調査では、イスラエルは同社の生成AI「Claude」の労働人口1人当たりの利用率で世界首位となり、米国やシンガポールを上回りました。こうした結果からも、イスラエルのテクノロジー業界が新しいAIツールを積極的かつ迅速に取り入れていることが分かります。

バンク・オブ・アメリカによるAI分野の国際比較では、イスラエルは国家インフラや政府投資の面で課題が指摘された一方、民間部門では高く評価されました。LinkedInのデータに基づくAI人材の集積度では世界1位、2013年から2025年までのAI企業への投資額では世界3位となり、その総額は約190億ドルに達しています。

現在、イスラエルでは数百社に上るスタートアップが大規模言語モデルを活用して製品やサービスを開発しています。OpenAIにとって、こうした企業と早い段階から関係を築くことは、将来的な法人顧客を獲得するうえで大きな意味を持ちます。

クラウドサービスと同様に、創業間もない企業が成長し、年間数億ドル規模の売上を持つ企業になれば、AIモデルの利用料も大きくなります。OpenAIは、イスラエルのスタートアップの成長を支援しながら、自社サービスの利用拡大につなげようとしているのです。

OpenAIがイスラエル進出を検討

ClaudeやGeminiを追うOpenAI

一方、イスラエル市場では、開発者の間でClaudeが広く使われているほか、Googleが大規模な現地拠点を持つことから、Geminiも強い存在感を示しています。世界的な知名度や個人ユーザー数では優位に立つOpenAIですが、イスラエルの法人市場では競合に後れを取っているとみられています。

Anthropicは創業当初から法人市場を重視し、欧州やアジアでの事業拡大にも積極的に取り組んできました。ドイツ、日本、韓国など、AIの導入が進む国々にも拠点を設けています。

OpenAIがイスラエル進出を検討
Anthropicの最高経営責任者(CEO)、ダリオ・アモデイ氏(写真:ロイター)

イスラエルは、優秀なAI人材、高い技術導入率、活発なスタートアップ投資という三つの強みを備えています。OpenAIによる今回の動きは、単なる営業拠点の開設にとどまらず、世界有数のイノベーション・エコシステムとの関係を深めるための戦略的な一歩といえそうです。

*本記事はynetの報道をもとに構成しています。