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CULTURE

一生に一度は訪れたい場所・マサダ|世界遺産シリーズ VOL 01

by Katsuya |2025年04月07日


国内旅行はもちろん、海外旅行へ行くとき、ぜひ訪れたいのが世界遺産。
現在、イスラエルでは文化遺産・自然遺産合わせて、9つの世界遺産が登録されています。
そこで、今回からイスラエル世界遺産シリーズを定期的に展開!
その第1弾として、ユダヤの人ならば一生に一度は行ってみたいという場所「マサダ」をご紹介します。


日没時のヘロデ大王のマサダ宮殿の遺跡

マサダって、どんな場所?

海水の10倍の塩分濃度で有名な死海。その死海を望む形で紀元前100年頃に建設されたのが「マサダ」です。
ヘブライ語で「要塞」を意味する名のマサダは、高さ約400mの岩山にある宮殿兼要塞。
ユダヤ王国を支配していたヘロデ大王が、紀元前2世紀にローマ様式の豪華な宮殿を建設したものです。
砂漠に降る雨を引き込み4トンも蓄えられる巨大な貯水槽や、数年分の食糧を備蓄できる倉庫を完備するなど、その様相は要塞というより、まるで街そのものだったそうです。


イスラエル・ユダヤ砂漠のマサダ国立公園のコロンバリウム

しかし、ヘロデ大王の死後、ユダヤ王国はローマ帝国の支配下に置かれます。
その弾圧に耐えかねたユダヤ人とローマ帝国の間で、紀元66年にユダヤ戦争が勃発。
その後、都であるエルサレムは陥落し、追われた約1000人のユダヤ人がマサダに立てこもり、2年以上も抵抗を続けたそうです。
難攻不落といわれた最後の砦であるマサダですが、圧倒的なローマ軍の前に力及ばなかったユダヤの人々は、この後奴隷として生きていくことを拒絶し、女性と子供を残し、全員が自決を選びました。
この時からユダヤの民は、1948年にイスラエルが建国されるまで、世界に離散することになったと言われています。
こうしてローマ軍とユダヤ人との戦争が終わるとともに、この地はユダヤ人にとってシンボル的な存在となっていきました。
そして現在、この地ではイスラエル国防軍将校団の入隊式が行われ、卒業生は「マサダは二度と陥落せず」と唱和するのが慣わしとなっています。


美しい日の出の要塞マサダ

マサダが世界遺産に登録された理由は?

こうした歴史を背景にしたマサダですが、どのような理由で世界文化遺産に登録されてのでしょうか。
その理由は、以下の3点となります。

[1]ユダヤの王国とユダヤ戦争の跡、そして後にディアスポラ(民族離散)のシンボルとなったという点。
[2]要塞を含め、ヘロデ大王の宮殿は初期のローマ帝国の離宮として優れた例であること。
[3]マサダ要塞の陥落はユダヤ人にとって文化的なアイデンティティである点。

さらに、マサダはユダヤ戦争時に要塞として大活躍した場所であるとともに、テラス付きの華やかな宮殿跡などが残っているのも必見ポイント。
遺跡としての素晴らしさはもちろん、ユダヤ人にとって「民族として忘れてはいけない記憶の場所」として存在していることも見逃せない点です。
2000年もの間、ユダヤの誇りの象徴であるとともに、今もなお多くの人々が巡礼に訪れる場所、そしてユダヤの人々が一生に一度は訪れたいと願う大切な場所であるマサダ。
歴史的な背景を思い浮かべながら訪れれば、より深みのある旅を感じることができるでしょう。