実際にイスラエルに住んでいる/住んでいた方へのインタビューを通して、イスラエルのリアルな生活を深掘りする連載シリーズ「私のイスラエル生活」。第二回目は、2度の留学を経たのちにイスラエル人と結婚し、現在もイスラエルに住むユンガー 結希(ゆき)さんにお話を伺いました。第一回目の記事はこちら
イスラエル在住のユンガー(旧姓:好光)結希と申します。学生時代の2011年8月にヘブライ語学学校(ウルパン)で、2014〜15年に交換留学でイスラエルへ2度滞在し、両方ともハイファ大学で勉強しました。
その後イスラエル人の夫と結婚し、2019年7月からイスラエルで生活することとなりました。現在は現地で会社員として働いていて、私生活ではInstagramでイスラエル生活の様子を発信しています。今回、ワーホリ協定記念の記事投稿ということで、イスラエル留学のときに感じた、イスラエルに対するフレッシュな感想を記事にしようと思います。イスラエルにワーホリビザを使って住んでみたい方々に、この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。
目次
イスラエルへ留学するまでの経緯
ずっと身近にあった「聖書の国イスラエル」
幼い時から、プロテスタント教会の環境で育ったため、「聖書の国・イスラエル」が身近にあり、常に興味を持っていました。
聖書の中の話で何百回も「イスラエル」が出てきたり、聖歌隊で時々歌うヘブライ語の歌(カタカナまたはアルファベット表記になおしたもの)を歌ったりなど、ヘブライ語という言語も身近にありました。もちろん歌だけだったので話せなかったのですが(笑)この時のイスラエルに対する認識は、昔々の、聖書の舞台になっている国なんだ、という抽象的な認識だけでした。
結希さんのInstagramより。「聖書の国」イスラエルはキリスト教の聖地でもあり、イスラム、ユダヤの聖地でもある。
「現代イスラエル」との出会い
中・高校時代に、世界史で第二次世界大戦下、ナチスドイツによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)という悲しい出来事を学び、その後ユダヤ人たちが「現代イスラエル国家」を建てたことに非常に強い関心を持つようになりました。そこで、政治学の面で「イスラエル」という国をもっと知りたいと考え、大学で国際政治を専攻に学び、専攻以外の自由科目で、ユダヤ学やヘブライ語を学びました。
大学3回生の夏に、現地でヘブライ語に触れてみたいと考え、イスラエルのハイファ大学にあるヘブライ語学校に短期留学しました。その後、一神教を多角的に研究できる大学院へ進学し、交換留学制度を使って、1年間イスラエルで勉強するに至りました。
イスラエルでの生活
住まい:港街ハイファの大学寮
ハイファはイスラエル北部にある大きな街で、横浜や神戸のような綺麗な港街で、ユダヤ、イスラム、キリスト教徒など、様々な人たちが共存している街です。ハイファ大学は山の上の、地中海・港、家や建物が一望できる素敵な場所にあります。
初めてイスラエル、ハイファに来て感じた印象は、「沖縄と似てる」という印象でした。あちこちにハイビスカスやブーゲンビレアなどの鮮やかな花が咲いていて、海が綺麗で、リゾートのような雰囲気でテンションが上がりました。笑
結希さんのInstagramより。ハイファにあるバハーイ庭園の中庭。
語学学校や交換留学での滞在だったので、ハイファ大学の学生寮を利用しました。寮は、一人部屋で、キッチンやリビングは共同というスタイルの場所でした。私が利用した学生寮の費用は、月に約500ドルくらいでした。
大学の寮なので、いろんな国の人が利用していて、共有スペースのキッチンはいつも問題が発生していました。例えば、冷蔵庫に入れておいた私のいちごが、1時間後にはもうすでに無くなっているという…。同じ共有スペースを使ってる人に一人一人確認していきましたが、みんなシラを切るばかりで、絶対他の人には食べられたくないものは、自分の部屋に置くようになりました笑
衣類について
イスラエルの季節は、乾・雨季の2種類があり、だいたい3〜10月が乾季、11〜2月が雨季にあたります。持って行った服はTシャツ、ジーンズ、トレーナー、セーター、ジャンパーコートです。靴はパンプスを持って行きましたが、日本みたいにきれいでフラットな道路ではなかったので、現地ではスニーカーを履くようになりました。
夏は、外は暑いですが、建物内はクーラーがガンガンかかっているので、羽織るものを持って行くのをおすすめします。わたしは日本からかなり服を持参しましたが、勿論現地でも購入可能で、ファストファッションだとワンピースがだいたい4,000〜8,000円くらいです。
結希さんのInstagramより。イスラエルのファッションはカジュアル。
食べ物について
日本に比べると、スーパーや、市場で、野菜が安く買えるので、サラダをよく作ってました。野菜のバリエーションは、日本で売ってあるものは大抵手に入ります。日本ではビーツをあまり見かけなかったのですが、イスラエルではよく目にします。ビーツは少し甘めのクリームチーズと一緒に食べると美味しいです。果物も、日本で手に入るものは大抵イスラエルでも買えます。イスラエル特有だなと思った果物は、ザクロです。日本のスーパーではあまり見かけなかったので、エキゾチックに感じました。
また、何週間や何ヶ月も日本から離れると、日本食が恋しくなるので、毎日お米を炊いてました。もちろん日本と全く同じモノが買えるという訳ではありませんが、イスラエルでもお米や、醤油などの調味料が買えるので安心してください!例えば、お米だと、1キロのパックで約400〜500円くらいで買えます。お醤油だと、500ミリリットルで800〜1,000円くらいのお値段です。
日本との違いや困ったこと
言語、表現の違い
イスラエルでは、大体の人は英語を話せますが、街中のお店やバスの運転手さんなどとの会話は、やはり現地語のほうが良かったりするので、ちょっと悔しい思いもしたこともありました。また、ヘブライ語ははっきり話す言語なので、喧嘩してるのかと思いきや、普通の会話だったり、とにかく耳にすごく負担がくるので、初めての人はびっくりするかもしれません。
イスラエル人は、すごくダイレクトな表現をしてきます。「もしよかったら〜はいかが?」ではなく、 「あなたは〜したいの?したくないの?」と聞いてきたり、「もしよかったらして〜してくれない?」じゃなくて、「〜して」といった命令口調だったりで、びっくりすることがあるかもしれません。
自己主張の強さ
イスラエルの方々は、自己主張がとても強いです。こんなことも我慢できないの?と思うくらい、なんでも主張します。我慢するのがいい、というわけではありませんが(笑)日本人は、なんでも愛想良く「はい」と頷いたり、曖昧にしたりする傾向があると思いますが、嫌だと思ったことははっきり「ノー」と言ったり、自分の主張をしたほうがおすすめです。とは言ってもいきなりそうするのはこれまた難しいですよね…。
人との会話だけではなく、行動もちょっとがつがつしているところもあります。例えば、バスを待ってた際、先に並んでいたのに、横から割り込んでくるとか…。時々、イスラエル人の自己主張に疲れたり、自己主張するそんな自分が嫌だと感じることもあるかもしれませんが、イスラエルでサバイブするために、そういう自分を演じているのだ、とポジティブに捉えて、イスラエル生活を楽しむのもありだと思います。
イスラエルのいいところ
世話好きが多い
個人差ありますが、だいたいイスラエル人は、お節介なところがあります。良い意味で「世話好き」です。オープンで、人との距離感がとても近く、どんな小さな事でも、何かあったら親身になって助けてくれます。
例えば、こんなことがありました。自分の好きな歌手のコンサートをテルアビブまで聴きに行くための計画をしていたときのことです。ハイファ・テルアビブ間の電車は深夜3時くらいまでありますが、コンサートが終わる時間帯だと、開催場所からテルアビブの電車の駅までのバスが終了していることがわかったのです。その時、イスラエルの友人が、テルアビブに住んでる彼女の友人に連絡して、私を車で開催場所から駅まで送ってくれるように手配してくれたのです!しかも彼女の友人はコンサートには行く予定がなく、わざわざ私を送り届けるためだけに、車を出すことを承諾してくれたのです。
またこんなエピソードもありました。イスラエルでの現地の生活費や学生寮の費用は、イスラエル政府からの奨学金を使っていましたが、イスラエルに来た初めの月は手違いで奨学金が振り込まれませんでした。なので、自分の日本の銀行口座から生活費&寮費を使っていたのですが、そのことを、わたしのイスラエル生活をサポートしてくださっていた教授に話したら、とても心配してくださり、なんとその月の学生寮代を立て替えてくださったのです(泣)その翌月には、立て替えてくださった分をお返ししました。
本来なら、お金の貸し借りは危ないし、関係性を壊したくないのでしない主義なのですが、大学の教授で信頼できる人だったので、頼ることにしました。(イスラエルでのお金の貸し借りは、くれぐれもご注意ください。)
豊富な自然
結希さんのInstagramより。テルアビブビーチの夕日。
イスラエルは中東の国なので、「砂漠の国」というイメージがありがちだと思いますが、海、山、砂漠といろんな自然が楽しめます。特に、イスラエルは地中海の端に面しているので、海がエメラルドブルーで、浜辺から見る夕日がとても綺麗です。しかも入場料は無料!週末にビーチに行って夕日を眺めるのは、最高の時間です。
ヨーロッパ諸国に近い
イスラエルはヨーロッパにとても近いので、週末にふらっとヨーロッパや周辺国に旅行に行くこともできます。わたしは留学中には旅行しませんでしたが、周りの友達が行っていて、とても楽しそうでした。
日本からだと十数時間かかるフライトが、イスラエルからだと2〜4時間で行けるのでとても楽ですし、何よりイスラエルにいながら他の国にも旅行できるので、一石二鳥です。
結希さんのInstagramより。テルアビブからイスタンブールへの旅行。
ワーホリビザで渡航する方へメッセージ
日本と比べると、インフラやお店の開店時間など少々不自由なところもありますが、スローな生活を過ごせると思います。
また、戦争やテロの危ないイメージがあるかもしれませんが、実際は他の国と変わらない、普通の日常生活を送ることができます。ぜひワーホリビザを利用してイスラエルに来て、楽しい生活を送ってみて欲しいと思います。