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As Promised Magazine

EFFORTLESS WARES
– デザイナー、ヒラ・トレダーノが魅せる、
さりげなく存在感のあるレザーアクセサリーコレクション

by As Promised Magazine |2020年10月28日

TOLEDANO lookbook

かの有名なカルメル市場のすぐ近くにあるテルアビブのスタジオでは、美しいオリーブ色の肌をもち可憐で華奢なHilla Toledano(ヒラ・トレダーノ)が、Macのデスクトップと、自分のデザインした小物がスタイルごとにディスプレイされた壁の棚を何度も行き来し、作業に励んでいる姿が見受けられます。


スタジオを訪れると、作業していたヒラは鉄のスツールから飛び降り、モルトンブラウン、ハニーやティール、バニラなど、今シーズンの新色と彼女のブランドの特徴的な色を組み合わせ、彼女自身が考案したテクスチャードレザーを見せてくれました。


「時にはトカゲの写真をイタリアの工場に送って、その柄と全く同じパターンや特定の厚さの素材を送ってもらうように頼むこともあるわ」


そう語るヒラは、製品に使用する革の品質を一定に保つために、イタリアで父と息子二代で営む製造メーカーに依頼をしているそうです。



ヒラは現在34歳(2019年時点)、彼女いわく「田舎」であるネタニア近くの内陸の町ツォラン出身で、独学でデザインを学びました。彼女が初めてクラフトマンとしての仕事を経験したのは、週に一度見習いをしていた革専門店でした。 新しく習った技術を使い、はじめは自分と自分の友人のためにバッグを作り始めました。


21歳の時、ヒラはアルゼンチンの国中を旅行し、長い時間を馬に乗って過ごしました。旅行中にアルゼンチンの革職人の技術に触れる機会があり、キャリアとして革製品づくりという芸術を追求しようと思うきっかけとなるくらい魅了されました。特に馬蹄形に惹かれ、「カバリズム的には器のような形が繁栄を表している」とヒラは言います。 自分のブランドTOLEDANOが誕生する前から、すでにロゴのイメージは確立していたようです。



Hunting Season(ハンティングシーズン)、Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)や一昔前のCeline(セリーヌ)や手作りの職人技に影響を受けたTOLEDANOのラグジュアリーかつお手頃なコレクションは、エレガントでありながら現代的なエッジも備えています。すべてのデザインに一貫した金の装飾は、アクセサリー全体の見た目を邪魔しないように程よくあしらわれています。


2019年の秋コレクションでは2つのラインが展開され、一つ目は年齢層が高い顧客をターゲットに、ヴィンテージのハードウェアを取り入れ、より構造や形がしっかりとしたデザインのリミテッドエディションでした。二つ目は、機能的かつファッション性が高く、ヒップの周りに掛けたり、クロスボディバッグや、大きめのクラッチバッグとマッチしたヘッドバンドとして使える明るい色を揃えたベルトバッグのコレクションでした。



このブランドは、ヒラ自身の美的感覚の発展に合わせて進化してきました。10周年を迎えたTOLEDANOブランドは、もちろんデザインを第一に、かつ使いやすさと実用性を重視しています。


「私のデザインには、自分自身の需要が反映されています。19歳の人が毎日使うようなバックのデザインは、例えば26歳の人が恥ずかしがらずに心地よく使えるデザインではないでしょう。私たちのトートバッグには典型的なデザインのようにジッパーは付いていません。開け閉めのためにシンプルなホックと、バッグの中には革のキーホルダーを付けているので、物を出し入れしやすくなっています。」



ヒラは顧客が自分のスタジオを訪れてくれると、とても嬉しいそうです。


「どんなスタイルや色が似合うのか、その人を一目見ればすぐにわかります。お客様には、ご自分が思っているよりも少し高めにショルダーバッグを持つようにおすすめしています。そうするとクラシックなルックスに個性的なスタイルを加えることができるからです。」


適切なアクセサリーの選び方について、ヒラはこう語ります。


「TOLEDANOのバッグは高価にも見えるし、持っているだけでそう感じるので、あえてボーイフレンドのTシャツと古いジーンズを合わせたりすることにより、気張らないシックなスタイルを楽しめます。適度に主張するアクセサリーを選ぶことにより、気楽にお化粧もしないでリラックスすることができるはずです。」


Hilla Toledano Portrait

Photos by Rotem Lebel and Dudy Daya