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MEDICAL

ChatGPTは検査の必要性を判断できる? イスラエルの研究が示した医療AIの可能性と限界

by ISRAERU 編集部 |2026年11月02日

体調に不安を感じたとき、ChatGPTなどのAIに症状を相談する人が増えています。では、AIは必要な検査や治療を勧めるだけでなく、「検査を受ける必要はない」と適切に判断することもできるのでしょうか?イスラエルの研究によって、医療AIの可能性と課題を明らかになりました。


医療AIによる診断支援をイメージしたビジュアル

6種類のAIモデルで医療判断を検証

研究は、イスラエルの医療保険組織クラリット(Clalit)とベングリオン大学の研究者らを中心に実施されました。研究チームが注目したのは、医学的に必要のない検査や治療が行われる「過剰医療」の問題です。


過剰な医療介入は、患者の身体的・経済的な負担を増やすだけでなく、追加検査や不要な治療につながる可能性があります。一方で、必要な検査を避けてしまえば、病気の発見や治療が遅れるリスクもあります。


研究では、医療現場で不要な検査や治療を減らすことを目指す国際的な取り組み「Choosing Wisely」の推奨事項などを参考に、225の医療シナリオを作成。検査や治療が必要なケースと、必要ではないケースをAIが正しく区別できるかを調べました。


評価対象となったのは、Google、Anthropic、OpenAIなどが提供する6種類の大規模言語モデルです。それぞれの回答を比較し、医療介入の必要性に関する判断の正確さを検証しました。


医師と患者が検査や治療の必要性について相談する様子

不要な検査・治療を勧めた割合は5.4%

研究結果によると、医療介入が必要なケースで、AIが誤って検査や治療を避けるよう勧めた割合は0.6%でした。一方、本来は介入が不要なケースで、AIが検査や治療を勧めた割合は5.4%でした。


この結果から、多くのシナリオでAIが必要な医療介入と不要な介入を区別できたことが示されました。AIは、患者に検査や治療を勧めるだけでなく、必ずしも医療介入が必要ではない状況を判断するうえでも、一定の可能性を持つと考えられます。


ただし、分野によって結果には差がありました。例えば、偶然見つかった甲状腺の小さな結節に対する超音波検査や、心血管疾患のリスクが低い人への定期的な心電図検査では、不要と分類された検査を勧める回答が目立ちました。


甲状腺の結節に関するシナリオでは、不要とされた超音波検査を勧めた回答が42.8%に上りました。ただし、こうした医療判断には専門家の間でも意見が分かれる場合があり、結果を一律にAIの誤りとみなすことはできません。


スマートフォンでAIに健康相談をする利用者のイメージ

質問の仕方によって判断が変わる可能性も

今回の研究には、重要な限界もあります。評価では中立的な質問が使われており、患者が強く検査を求めたり、AIに繰り返し説得を試みたりする状況は検証されていません。


実際の医療相談では、患者の不安や質問の表現、伝えられた情報の内容によって、AIの回答が変わる可能性があります。また、モデルによって判断に違いが見られ、専門家の間でも見解が分かれる問題では、AIの回答も一致しない場合があります。


医療では、不要な検査を減らすことだけでなく、必要な検査を見逃さないことも重要です。患者の症状や既往歴、個別のリスクを踏まえた判断が求められるため、AIの回答だけで検査の必要性を決めることには注意が必要です。


医療情報やAIの回答をもとに検査の必要性を考えるイメージ

医療AIは医師の判断を支えられるか

今回の研究は、AIが医療判断を支援し、過剰な検査や治療を減らす可能性を示しています。一方、検証されたのは設定された医療シナリオに対するAIの回答であり、実際の患者を対象に診断能力や治療成績を評価したものではありません。


AIは医療情報を整理したり、受診時に医師へ相談したいことをまとめたりする際に役立つ可能性があります。しかし、症状や病歴を十分に把握できないこともあるため、AIの回答をもとに受診や検査を自己判断で取りやめるべきではありません。


イスラエルの研究が示しているのは、医療AIの可能性とともに、その限界を理解する必要性です。AIの活用が広がるなか、利便性を生かしながら、最終的な医療判断を専門家とともに行うことが重要になります。


*本記事はイスラエルメディアynetの報道をもとに構成しています。