イスラエルのファッションデザイナー、Kobi Golan(コビ・ゴラン)が、社会復帰を目指す女性たちとバッグを制作するプロジェクトに参加しました。伝統的な手仕事を活かし、女性の自立につながる「本物の職場」づくりに取り組んでいます。

一点ものに宿る、独自のデザイン
「私はコレクションではなく、“ピース”——一つひとつの独立したアイテムをデザインしています」
そう語るゴランは、オートクチュールと伝統的な手仕事を融合した独自のスタイルで知られています。

かぎ針編みや刺繍、シルク、レザー、アースカラーなどを取り入れ、テルアビブのスタジオから一点一点、物語を感じさせる服を生み出してきました。


現在、ゴランが新たに力を注いでいるのが、社会的プロジェクト「Hotamホータム/しるし」です。クリエイティブディレクターとして、社会復帰の過程にある女性たちが手がけるバッグのデザインと商品開発を担当しています。
女性たちが自分らしい「しるし」を刻む
ダリット・ラヴィが設立した「Hotam」は、複雑な事情を抱える女性たちに尊厳ある仕事を提供し、経済的な自立を後押しする取り組みです。
参加者は女性の社会復帰を支援する団体「Hofchot et Hayotzrot」を通じてプロジェクトに加わり、仕事に関する専門的な指導と生活面のサポートを受けています。
女性たちが制作するのは、再利用したデニムを素材とするバッグ。編み物や刺繍、プリントなどを施し、それぞれが作品に自分らしい「しるし」を刻みます。


売り上げは制作者の賃金となります。ものづくりが実際の収入源になることで、女性たちは経済的な自立だけでなく、仕事の経験や自信を得ることができるのです。
「社会活動」ではなく、本物の職場へ
ゴランは、ビジュアル表現や商品の開発から、制作工程における技術的な指導まで、デザインに関する幅広い領域を担っています。
「かつて先生から、優れたデザイナーは子ども服、メンズ、レディス、バッグまで、あらゆるものをデザインできなければならないと言われました。今になって、その言葉がどれほど正しかったかが分かります。ファッションで使ってきた素材や技法を、新しい世界へ持ち込むことができました」
今回、ゴランは、かぎ針編み、刺繍、レザー、再生素材を組み合わせた4種類のバッグをデザインしました。「Hotam」を象徴する四角形を残しながら、手仕事や異素材の組み合わせなど、自身が大切にしてきた要素を加えています。バッグはすべて注文を受けてから手作業で制作され、価格は1,200~1,800シェケルです。

ゴランが重視するのは、「Hotam」を単なる社会活動やワークショップで終わらせないことです。
「ここは、女性たちがものをつくり、収入を得て、専門家として成長できる場所です。何よりも、本物の職場をつくることが目的です」
流行ではなく、長く寄り添う服
自身のブランドでは、イブニングドレスや特別な日のための服を中心に制作しています。
以前はジャンプスーツやパンツなどを含む幅広いコレクションを発表していましたが、現在は一つひとつのアイテムを、時間をかけて丁寧に仕上げるスタイルへと変化しました。
「同じ服が何十着も存在しないという考え方が好きです。一つの服に時間と注意を注ぎ、最後には、その服にふさわしい女性と出会う。そこには親密さがあります」

ゴランの顧客の多くは、自分自身と自分の体をよく理解し、流行ではなく個性のある服を求める38歳以上の女性です。
ブラウンやサンド、クリームといった穏やかなアースカラーも、ゴランが「声高に主張しなくても存在感を放つ」と表現する女性たちの姿と響き合っています。
「誰かに感心してもらうためではなく、自分自身が心地よくいられる服を探している女性たちです。私は、すべての服に物語があり、一人ひとりが『自分のためにつくられた』と感じられることを大切にしています」

イスラエルで、自分らしい表現を磨く
5年後について尋ねられても、ゴランは巨大なビジネスや海外進出を目標には掲げません。イスラエルにとどまり、より広いスタジオを構えながら、自身の表現をさらに磨いていきたいと語ります。
流行や大量生産を追うのではなく、手仕事に時間をかけ、それぞれの素材と向き合う——。
ゴランが生み出す服やバッグには、美しさだけでなく、つくる人と身につける人、それぞれの個性と人生の物語が刻まれています。
Kobi Goran公式サイト
https://kobigolan.com/collections/evening
Instagram https://www.instagram.com/kobi_golan__/
Facebook https://www.facebook.com/golankobi/
*本記事はイスラエルメディアPortfolioの報道をもとに構成しています。


