イスラエル最大の国立病院、シバ医療センターの大規模開発計画が動き始めました。病床を3,303床に増やすほか、地下鉄駅や公園、ヘリポートを整備し、地域に開かれた「未来の健康都市」を目指します。

2045年を見据え、病床数を3,303床へ
2026年7月20日、イスラエル国家インフラ委員会は、シバ医療センターの開発計画を推進することを決定しました。同国の医療制度において、最も重要なインフラ事業の一つに位置づけられています。
シバ医療センターはイスラエル最大の国立病院であり、世界有数の医療機関としても知られています。今回の計画は、テルアビブ都市圏の人口増加、テル・ハショメール軍事基地の移転、周辺地域で進む急速な都市開発を背景に、2045年までの医療需要に対応することを目的としています。
現在の計画で1,860床とされている病床数は、約1.8倍となる3,303床まで増設されます。入院施設に加え、研究、教育、診療サービスに使用するスペースも大幅に拡充される予定です。
患者を中心に据えた、質が高く利用しやすい療養環境を整えるとともに、国際的な医学研究、イノベーション、医療技術開発の拠点として、シバ医療センターの機能をさらに強化します。
フェンスを撤去し、地域に開かれた病院へ
計画の大きな特徴は、病院を閉鎖的な施設ではなく、都市空間の一部として再構築することです。
病院の敷地を囲むフェンスを撤去し、歩行者が自由に通行できる遊歩道を整備します。この道によって、医療センターと周辺地域が直接結ばれます。
敷地内には、公園や庭園、公共広場を新設し、植樹や質の高い景観整備も進めます。また、持続可能な建築を推進するため、太陽光パネルも導入される予定です。医療を受ける場所であると同時に、人々が集い、歩き、緑の中で過ごせる空間をつくります。

地下鉄とライトレールをつなぐ新たな交通拠点
交通アクセスも大幅に改善されます。将来建設される地下鉄M3線の駅を病院の敷地内に設置するほか、西側に隣接するライトレール・パープルラインの駅との接続も図ります。
両駅の間には約600メートルの歩行者用ルートを整備し、患者や職員、来訪者が地下鉄とライトレールをスムーズに乗り継げるようにします。
救急医療の面では、既存の地上ヘリポートを正式に整備するとともに、病院内の建物の屋上に新たなヘリポートを2カ所設置できるようにします。一方で、敷地内に残る歴史的価値のある建物は保存されます。

医療と都市が共に発展するモデルへ
国家計画本部のベニー・アルビブ副議長は、この計画について「今後数十年間の医療需要に対応し、医療サービスの向上と、先進的で利用しやすい医療拠点の形成につながる国家的に重要な事業」だと説明しています。
国家インフラ委員会のナヴァ・エリンスキー・ラダイ氏は「病院を閉鎖された施設ではなく、都市空間の不可欠な一部と捉える、世界で広がる先進的な都市計画の考え方を採用した」と強調しました。
シバ医療センターで患者体験、物流、運営を担当するイェフダ・カトルザ副院長は、今回の計画を「未来の健康都市」という構想を実現するための大きな成長エンジンだと表現しています。
ラマト・ガン市のカルメル・シャマ・ハコーエン市長も「医療制度にとってだけでなく、都市開発の観点からも極めて重要な計画」だと評価しました。

医療、研究、交通、環境、公共空間を一体的に整備する今回のプロジェクト。完成までには約20年を要する見通しですが、シバ医療センターは単なる巨大病院から、地域とともに成長する新たな都市型医療拠点へと生まれ変わろうとしています。
*本記事はイスライルメディアynetの報道をもとに構成しています。


