宇宙開発の最前線で、イスラエル企業が新たな存在感を示しています。高解像度の衛星画像を提供するイスラエル企業「ISI(ImageSat International)」が、このたびNASA(アメリカ航空宇宙局)の衛星画像提供企業として選定されました。さらに、火星探査車「パーサヴィアランス」は、古代の生命につながる可能性のある有機物を新たに発見。宇宙開発は新たな時代を迎えています。

イスラエル企業がNASAの衛星画像提供企業に
衛星画像サービスを手がけるイスラエル企業ISIは、NASAと包括契約を締結し、衛星画像を提供する14社の公式サプライヤーの1社に選ばれました。契約期間は2028年11月までのおよそ2年半です。
NASAは今回、研究機関や政府機関が利用する地球観測データの充実を目的として、複数の民間企業と契約を締結しました。契約全体の上限額は4億7,600万ドルですが、これは発注可能な枠を定めたものであり、各社への発注額が保証されているわけではありません。
それでも、厳しい審査を経てNASAのパートナー企業に選ばれたことは、ISIの技術力が世界的に高く評価されたことを意味します。
ISIは、高解像度観測衛星「EROS」シリーズと、新世代衛星「RUNNER」を運用しています。同社のノアム・セメルCEOは、「今回の採用は、当社の技術力と衛星画像品質、そして政府機関向けサービスの実績が評価された結果です」とコメントしています。

火星で見つかった新たな有機物
NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」は、かつて湖だったジェゼロ・クレーター周辺の岩石から、大量の炭素を含む有機分子を検出しました。
これらは「マクロ分子炭素化合物」と呼ばれる比較的大きな有機分子で、地球では生物活動によって作られるケースも多く知られています。

もちろん、今回の発見だけで「火星に生命が存在した」と結論づけることはできません。有機物は熱水活動や隕石衝突など、生物とは無関係な現象によって生成される可能性もあるためです。
それでも、同様の有機物はこれまで探査車「キュリオシティ」でも発見されており、今回の成果は「数十億年前の火星には有機物が広く存在していた可能性」をさらに強く示すものとなりました。
現在、パーサヴィアランスは将来地球へ持ち帰るための岩石サンプルを採取しています。しかし、その回収計画はコスト増加を受けて見直しが進められており、今後は民間企業の活用も検討されています。

宇宙望遠鏡を救出する前例のない挑戦
NASAはもう一つ、世界初となる試みに挑もうとしています。
2004年に打ち上げられた宇宙望遠鏡「スウィフト」は、本来2年間の運用予定でしたが、20年以上にわたりガンマ線バーストなどの観測を続けてきました。しかし現在は軌道高度が低下し、このままでは近い将来、大気圏へ再突入してしまいます。
そこでNASAは、アメリカの宇宙スタートアップKatalystが開発した宇宙船「Lynk」を使い、スウィフトをロボットアームで捕捉し、より高い軌道へ押し上げる計画を進めています。
成功すれば、通信衛星や観測衛星などを廃棄することなく寿命を延ばせる可能性があり、宇宙インフラの維持方法を大きく変える技術として期待されています。

SpaceX、新型貨物カプセルを初実証
民間宇宙企業SpaceXも、新たな宇宙輸送技術を実証しました。
新型貨物カプセル「Starfall」は、最大約1トンの貨物を宇宙から地球へ安全に持ち帰ることを目的に開発された円盤型のカプセルです。宇宙ステーションで行われた科学実験の試料や機器などの回収を想定しています。
初飛行では約2日間地球を周回した後、太平洋へ着水し、回収船によって無事に回収されました。将来的には、宇宙輸送だけでなく地球上での超高速物流への応用も期待されています。

宇宙ビジネスは次のステージへ
今回のニュースから見えてくるのは、宇宙開発が国家プロジェクトだけでなく、民間企業が中心的な役割を担う時代へと移りつつあることです。
NASAに選ばれたイスラエル企業ISIはその象徴的な存在といえるでしょう。また、火星での生命探査は着実に前進し、人工衛星や宇宙望遠鏡の「修理」や「延命」、さらには宇宙から物資を運び返す新しい物流システムなど、これまで構想だった技術が次々と現実になり始めています。
イスラエル企業の活躍にみられる通り、世界の宇宙産業は、今後もますます加速していきそうです。
*本記事はイスラエルメディアynetの報道をもとに構成しています。


