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エルサレムデザインウィーク ランナウェイサーカス開催決定

2011年にイスラエルで誕生し、2019年には日本でも開催されたイスラエルを代表する国際的アートイベント「エルサレムデザインウィーク ランナウェイサーカス」が、2021年7月1日より8日までエルサレムに位置するハンセンハウスにて開催されます。開催期間中、会場ではイスラエル国内外のアーティストによる展示のほか、イベントやパフォーマンスなどが開催予定。入場無料ですべてのイベントを楽しむことが出来ます。
エルサレムデザインウィークの今年のテーマ
今年のエルサレムデザインウィークの年間テーマは「ランナウェイサーカス」。意訳すると「逃避サーカス」です。私たちは常日頃から現実逃避のため、バーチャル世界や自然、贅沢といった代替となるアイデンティティや文化を用いています。支配的なパラダイム(特定の時代や分野におけるものの見方や考え方)から逃れ、純粋な快楽の瞬間に溺れることで、日常生活のバランスを取っています。
しかし、現実逃避には代償がつきもの。西洋化の社会的、政治的、生態学的、文化的影響も大きく、現実逃避でさえも汚染されていきます。たとえば旅行のために飛行機に乗ると二酸化炭素排出量、豪華な食事、農民や動物の苦痛、映画、体系的な不平等、ガジェット、そしてそれらを生産する労働者といったことが頭に浮かびます。また飛行機代も忘れることはできません。
そこでエルサレムデザインウィークは、イベント自体が現実逃避の場となり、一見汚染されていない現実逃避として復活することを目指しています。「フェスティバルの中のフェスティバル、エンターテインメントと不思議」というその起源は、まるで移動サーカス。不思議で危険、包括的で搾取的、魔法的で技術的、健全で暗いといった対立する要素が同時に存在することで、人間の可能性を示唆すると同時に、実現できないことを思い知らせます。サーカスは最も純粋な現実逃避と厳しい現実が出逢う場所なのです。
「ランナウェイサーカス」では、一週間を通して現実逃避の明るい正面と暗い舞台裏を探索し、慰めの瞬間を与えているように見えるかもしれません。しかしそれはまた、私たちの行いは私たちが何者であるかを反映させていること、つまり現実逃避ができないことを思い知らせることになるでしょう。

エルサレムデザインウィーク2021の見どころ
それでは早速、今年のエルサレムデザインウィークの見どころをご紹介します。
フェア
エルサレムデザインウィークに到着して最初に目に入るのが、サーカスの明るい正門とも言えるフェア。ハンセンハウスの美しい庭園では、様々なプロジェクトが行われます。
Alon Sarid、Amit Portman、Dana BenshalomがコラボレーションしたMantlingプロジェクトでは、会場である巨大な石造りのハンセンハウスを、庭から正門、内観に至るまですべてをテントにするプロジェクトです。テントで覆うことで神秘的な空間となり、また照明や動きを用いた演出で非現実的な世界観を創り出します。
建築家のTalia DavidiとHila Shemerによるインスタレーション「Escape Room」では、コンクリートで制作されたシェルターを通じて、シェルターとその影に潜むものの対話に焦点を当てています。私たちを守るシェルターと精神への影響については、シェルターが必要でない平和な時にのみ熟考できるのです。
フリークショー
Tal ErezとAnat Safranがキュレーターを務め、Alon HalmitとShul Gilboaが展示デザインを行うフリークショーでは、イスラエル国内外のアーティストたちによる作品が20点展示されます。フリークショーでは正常と異常の定義を題材として扱い、一体誰がそれを定義し、デザインはそれにどのように影響するのかを問いかけます。
メナジェリー
サーカスの移動動物園を意味する「メナジェリー」は、「フローラ」、「キャタピラーズ」、「フューチャーオブリビング」の3チャプターで構成され、自然との関係や私たちが生きている世界について扱います。
バックステージ
舞台裏を意味する「バックステージ」では、サーカスを操縦する機械などサーカスの舞台裏に迫るエリアです。作品制作のメカニズム、衣装を作る人々、パフォーマーのための化粧室、そしてパフォーマンス前に行われる儀式などについて展示されています。
バックステージの全体設計を行うのはアーティストのItamar PalogiとLily Peleg。会場全体がリサイクル素材で作られた大規模のインスタレーションとなっており、ベツァレル美術学校の生徒の作品やアクロバティックロボットなどが展示されます。
ブラックボックス
ハンセンハウス2階に位置する一連の部屋で開催される「ブラックボックス」は、各部屋で異なる没入型インスタレーションを楽しむことができます。イスラエル全国から7つのデザイン学校が参加し、現実逃避のテーマについて独自の解釈を披露します。
ホームカミング
そして最後の章となる「ホームカミング」では、サーカスが分散して消える瞬間について扱います。ARテクノロジーを用いた拡張現実プロジェクトや、カンヌ映画祭をはじめとする世界的映画祭にノミネートされた、イスラエルのボートチャンピオンYasmin Feingoldの事故に関する映画「The Feingold Syndrome」をVRで視聴できます。
オープニングナイトではイベントやパフォーマンスが目白押し
エルサレムデザインウィーク2021の初日7月1日(木)19:30からは、オープニングナイトが開催。展示会やインスタレーションの発表のほか、音楽演奏やパフォーマンスが披露される予定です。
Clown Xによるパフォーマンス
学際的アーティストグループClown Xがミュージシャンや他のアーティストとコラボレーションし、ハンセンハウス全体を使ったパフォーマンスを披露します。
Sally Krysztalによるタトゥーパフォーマンス
パリ出身、テルアビブを拠点に活動するアーティストSally Krysztalは、イスラエル国内外の様々な美術館やギャラリーで作品が展示されています。今回のオープニングナイトでは、タトゥーパフォーマンスを披露予定です。
マッチメーカープロジェクト
様々な人種や民族が集まるエルサレムは人種のるつぼとも言え、キッチンも例外ではありません。何千年もの間、民族的そして宗教的要素が混じり合い、エルサレムの料理は実に多様性に富んでいます。マッチメーカープロジェクトでは、エルサレムの料理と伝統的職人とタッグを組んだ7名のデザイナーの視点から、エルサレムの多様性に満ちた独自の料理の世界へと招待します。
エルサレムデザインウィーク2021では、国内外の優れたアーティストたちの作品を見るだけでなく、地元自慢のレストランやカフェーによるフード&ドリンクや、イスラエルデザインを専門とするポップアップショップも開催され、期間中何度も訪れたくなるコンテンツがたくさん展開されます。今年は日本から訪れるのは難しいかもしれませんが、エルサレムデザインウィークのFacebookやInstagramでもイベントについて発信されているので、是非チェックしてみてくださいね。
エルサレムデザインウィーク 2021 ランナウェイサーカス
会場:ハンセンハウス
開催時間:
7/1(木) 19:30-23:00
7/2(金) 10:00-16:00
7/3(土)~7/8(木) 10:00-23:00