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FOOD

田舎町で同性カップルが経営するブティックカフェ「ルビダ」

by 木村 リヒ |2021年07月05日

イスラエル中部に位置するひっそりとした田舎町、”Mazkeret Batya (マズケレトバティア)”。今にもカントリーソングが流れてきそうな街並みが続くメインロードの一角に、”Rubida(ルビダ)”というカフェがあります。カップルでもあるオレン氏とアモス氏が、二人で経営しているブティックカフェです。カフェに一歩足を踏み入れると、まるで映画の中の世界に迷い込んだよう。常に笑い声が絶えないアットホームなカフェと、それを経営する2人に今回は迫ってみました。



ゴミ屋敷に一目ぼれ、人を引き付ける何かのある場所

全ての始まりは数年前にオレン氏とアモス氏が、友達の住んでいるマズケレトバティアを散歩をした時のこと。偶然古びた空き家を見つけ、何かに引き付けられるように壊れた門を開け、入っていくと中には草に覆われた牛舎がありました。


当時、カフェを経営する気などはなかったのですが、”何か”に引き付けられ、この場所でカフェを開きたいという思いが強くなったそうです。そして築100年以上の牛舎をリフォームし、小さな田舎町でカフェをオープンしました。

カフェの全てのインテリアと食器は、知人やセカンドショップで集めたアンティークのものを使っています。アンティークアイテムをただ集めるだけでなく、見た目に加え、素敵なストーリーのあるものしか買い取らなかったそうです。


店内にあるシャンデリアは、なんと元駐米大使のおじいちゃんから譲り受けた年代もの。その他にも、ホロコースト生存者から譲り受けたキャビネットや食器のセットを使っています。


▲店内ではご当地のワイン、オリーブオイルやチーズなどが購入可能です。


▲マネージャーのオレン氏(左)とシェフのアモス氏(右)


「ゲイであることは大ごとではない」2人の考えるLGBTQとしての生き方とは

先述の通り、実はルビダ(Rubida)を経営をしている二人は同性カップル。アモス氏がカフェのシェフで、オレン氏がマネージメントを担当しています。


無口で真面目なアモス氏は、最高の味を提供するため料理に集中。話すのが大好きでフレンドリーなオレン氏は、お客一人一人に挨拶をし、楽しんでいるかと声をかけています。2人のパートナーとしての抜群の相性は、ビジネスでもよく表れているようです。


まだLGBTQに対する偏見も少なくはないイスラエル。同性カップルが経営することで、壁に突き当たることもあるのではないでしょうか?


オレン氏はこう語ってくれました。「僕たちはただ人として尊敬できる生き方をしたいだけ。一人の人間として見てほしい。僕がゲイだとか、同性愛者だというのは自分のほんの一部にしか過ぎない。アモスも同じ考え方だよ。ほかの人と何の変りもない。自分自身がゲイであることを大ごとにしなければ他人も大ごとだととらえないんだよ。」 

ゲイだという事実より、オレンという人間にフォーカスしているという考えを持っているようです。あくまでゲイという事実は、隠しもしないが強調もしないスタンスなのですね。


▲マネージャーのオレン氏(左)とシェフのアモス氏(右)


多くの同性愛者が経験する、宗教との複雑な関係

イスラエルは聖地と言われているだけのこともあり、宗教色の強い国です。特に食に関しては厳しく、宗教熱心でない人でも、コーシャフード(ユダヤ教徒が食べてもよいとされている食品のこと)のみを食べることも少なくありません。故に、たくさんのレストランはコーシャフードを提供しており、お店がコーシャのルールに基づいて経営されているという証明書を、ラビ(ユダヤ教指導者)から受け取る必要があります。


実はコーシャーフードの証明書を発行しているのがラバヌット(ユダヤ教師議会)で、このラバヌットは宗教上の理由で同性愛や同性婚に反対している議会なのです。


しかし、オレン氏は驚く事実を話してくれました。「実は僕たち、あるラバヌットととてもいい関係を築けてね、信じられないかもしれないけど、このあたりのレストランに関するコーシャー認定のことは、全部僕たちがラバヌットにアドバイスしてあげているんだよ。彼らとはとても密接にビジネスしているんだ

本来、同性愛に反対のラバヌットですが、オレン氏の持ち前の明るさのためか、もしくは同性愛だということを大ごとにしないためか、ユダヤ教師議会とも友好な関係で協力し合っているという事でした。


味も抜群!ルビダのおすすめメニュー3選

さて、このカフェですが、イスラエル国内のメディアに多々取材されるほど、料理には定評があるのです。今回はその中でも特におすすめのメニューを3品を紹介します。


イスラエルのソウルフード・アレーゲフェン

アレーゲフェンとは、スパイスで味付けしたライスをブドウの葉でくるみ、少量のレモンで煮込む郷土料理。ヨーグルトソースと一緒に食べます。日本人にはなじみない組み合わせですが、さっぱりしたヨーグルトと甘辛いスパイスライスがよく合う!イスラエルに来たら一度は試してほしい一品です。



アーティチョーク料理

ルビダでは、アーティチョークを使ったメニューが充実しています。アーティチョークというのは主に地中海で食される野菜で、甘くてほくほくした食感が特徴的です。オススメはアーティチョークのラビオリ。たっぷりのオリーブオイルとパルメザンチーズに絡めていただきます。

日本ではあまり見られない野菜なので、是非本場の地中海野菜も堪能してください。


▲アーティチョークラビオリ。絶品です。


▲パプリカの上の白い野菜がアーティチョーク。甘酸っぱくやみつきになります。


▲アーティチョークを使ったパスタもオススメです。


豊富なメニューが揃うカクテル

実はルビダ、カクテルメニューがとても充実しています。お昼からカクテルなんていかがでしょう?

オススメカクテルはコスモポリタン。普通はクランベリーなどをシェイクするのですが、ルビダではザクロジュースとローズシロップを使っています。甘味と酸味、そしてほのかに苦みが香る素敵な一杯となっています。



番外編 おばあちゃんのレアチーズケーキ

素敵なお皿で提供されるレアチーズケーキ。濃厚なチーズをふんだんに使用しているのですが、さっぱりしていて夏にはピッタリです。是非アイスコーヒーとともに食べてみてください。


▲冬限定のベリーソースケーキもオススメです。


新たにワインバーもオープン!

実はつい最近、ルビダの隣の牛舎もリノベーションし、新しくワインバーも開いたそうです!あまり知られていませんが、実はイスラエルワインは世界でも高い評価を得ていおり、最近とても注目され始めています。


ワインの品ぞろえはもちろんのこと、ワインと楽しめる料理のバラエティも豊富なので是非チェックしてみてください。


▲最近開いたワインバー”ゲフェン(Gefen)”。雰囲気も素敵です。


ルビダのある田舎町、”Mazkeret Batya (マズケレトバティア)は、最近テルアビブからの電車が開通され、テルアビブからおよそ30分で着けるようになりました。

是非この記事を参考に、イスラエルの田舎で本場の食事と雰囲気が楽しめるルビダに足を運んでみてはいかがでしょうか?


住所:HaMeyasdim 6 ,Mazkeret batya
電話番号:08-6239864
ウェブサイト:https://www.rubida-restaurant.com/