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CULTURE

テルアビブに住むゲイカップルに、一緒に暮らす意味を聞いてみた

by Mali Ma |2020年12月22日

ゲイカップルの毎日の暮らしが、どんな感じか想像できますか?今回は、テルアビブのアパートで一緒に暮らすゲイカップルに、毎日の暮らしについてお話を聞きました。協力してくれたのは、テルアビブ大学医学部の学生カップル、イーガルとアビウです。


二人は大学の医学部で一緒に勉強中

イスラエルは、宗教が社会に根強く影響している中東の中でも、特にLGBTQの権利が理解されている国であるといわれています。また、同棲しているLGBTQカップルや、同性のパートナーがいることを公言している政治家や経営者も沢山いたり、社会的にもLGBTQの権利が受け入れられている印象を受けます。同性カップルにとって、一緒に暮らすアパートを探すことはそれほど難しくなく、お部屋を探す際にもゲイカップルだからといって、ハードルが高くなるということはあまりないようです。


―――緒に暮らし始めてどれくらい経つの?


イーガル:1年と数ヶ月かな。急に決めたと言うより、段々と同棲するのを決めたかな。


アビウ:付き合い始めたころは、別々のアパートで暮らしてたんだ。でも毎日会ってたし、いつも泊まったりしてたから、両方の家に行き来するのも面倒だし一緒に暮らすことにしたんだ。


―――同棲を始めた時の家族の反応はどうだった?


アビウ: 昔の彼氏と、前に5年間一緒に住んでたから、意外でもなかったと思うよ。家族に伝えた時は喜んでいたし、男の人とカップルとして暮らすからって特に驚いてる様子はなかったね。


左:アビウ 右:イーガル イーガルの姉と一緒に

イーガル:改めて、一緒に暮らし始めたことを伝えるっていうわけでは無かったかな。家族も彼によく会っていたし、彼と付き合っていることを知っていたから、同棲を始めることは家族にとって問題では無かったな。でも、男女のカップルが一緒に暮らし始める時と同じように、同棲する上で、交際をさらに真剣に考えるっていう心構えはあったかも。


―――家事の役割はどうしてる?


イーガル:特に話し合って決めたわけではないけど、家事は全体的に分担してやってるよ。それぞれ自分が得意な方を、より率先してやったりしてるかな。例えば、アビウは洋服を畳むのが好きだけど、僕はお皿を洗う方が好きだから、出来るだけお皿を洗うようにしたり。ほぼ、半分づつくらいの負担を分けられてると思う。でも、どの家事もやるし、特にルールを決めずにそれぞれできることをやるようにしてるかな。


アビウ:よくゲイカップルに聞かれる質問で、どっちが男性的で、どっちが女性的みたいな役があって、それに従って家事の分担も決められていたりするの?って聞かれるんだけど。そもそも、テルアビブに住んでいるカップルは、性別で家事を意識する人で少ないと思うんだよね。あと、付き合ってる上での行動とかも、男らしさや女らしさを重視したステレオタイプ的な役割の考え方より、もっと自由に自分らしさを捉えていると思う。例えば、男らしい方が外で仕事して、女らしい方が家で家事を中心にやるみたいな、古典的な考えはあまり当てはまらないかな。


 時間が合えば一緒に色んな事に挑戦しているそう

―――カップルとして同棲を始めて、大変だったことはある?


イーガル:コロナパンデミックが始まってから、お互いの顔を見る時間が長くなって、環境が変わったことで問題が出たりはしたかも。過ごす時間が長い分、伝えられることは出来るだけ伝えるようにしたり、問題が起きたらお互いの状況や気持を考えて、乗り越えるようにしてるよ。


―――反対に、一緒に暮らしてるからこそ感じる幸せってある?


アビウ: 何よりも、愛って素晴らしいものだと感じることかな。過去に交際していた人もいるけど、ここまで愛情深く思った人はいなかったし、お互いのことを思いやって、より成長するために一緒にチャレンジできる人が、自分の近くにいてくれることは素晴らしいと思ってる。一緒に生活してるうちに、彼から色々なことを学んでる気がするよ。例えば、彼の考え方とか、繊細なところ、彼が僕のことを一人の人として大切にしてくれる姿勢はいつも感心してる。


―――国や地域によっては、LGBTQカップルの同棲があまり社会的に受け入られていなかったりするのだけど、カップルとして一緒に暮らす意味はどう考えてる?


イーガル:大人になったら好きな人と一緒に暮らすっていうアイディアは、ゲイでもそうでなくても、小さい頃から憧れるイメージだったりすると思うんだ。だから、一緒に暮らすことで、人生の色々な面をいつもシェアするパートナーがそばにいるっていう、人間的な欲求が満たされるんじゃないかな。


最近家族の一員になった愛犬のニーチェ

アビウ:「我が家」とは何か、という意味を考える必要があるんじゃないかな。安心できる場所、くつろげる場所とか、家に対するアイディアは色々あるけど、愛する人と一緒暮らす場所も我が家の要素になる。長年付き合っていても、あえて別々に暮らすことを選ぶカップルもいるし、みんなそれぞれ違うように、愛の形も異なると思う。典型的な愛の形でなくても、それが自分を幸せにするものだと思うのであれば、他人とか社会の意見に制限されるべきではないと思う。


我が家として思える場所や、家族を築くことへの意味は、国を超えて様々な人が共感できるのではないでしょうか。今回のインタビューでは、ゲイカップルとして古典的な家族の形にとらわれないからこそ、自分たちの在り方を柔軟により深く考えている印象を受けました。このように、家族や社会が、それぞれの生き方や個人の多様性を受け止められるようになるのは素敵だなと感じます。