Share

FOOD

イスラエル産のアボカドが日本へやってくる!

by 中島 直美 |2020年11月03日

日本で消費されているアボカドは、99%以上が輸入もので、そのほとんどがメキシコ産のアボカドです。そして今年、イスラエルのアボカドが初めて日本への輸出を許可されました!アボカドのことを知って、ぜひ、日本でもイスラエルのアボカドを楽しんで下さい。


栄養たっぷり、日の光をたくさん浴びて育ったイスラエル産のアボカド。

アボカドは、スーパーフード!

世界一栄養価の高い果物」として、ギネスブックでもスーパーフードと認定されているアボカド。鮮やかな緑色も、モンスターみたいな形もかわいらしくて、いろいろなグッズのモチーフにもなっているアボカドですが、アボカドの魅力は可愛いだけではありません。アボカドは血液をきれいにし、悪玉コレステロールを減らす作用がある不飽和脂肪酸を中心とした脂肪分や、現代日本人の食生活では不足しがちな植物繊維がたっぷり。さらに抗酸化作用も期待できるという、栄養たっぷりでとっても優秀な食べ物なのです。日本でも「森のバター」、「食べる化粧水」、「命の源」などと言われ、消費量は年々増加傾向にあります。


アボカドのイラスト
イラストやモチーフにしても、とってもかわいいアボカド。

イスラエルのアボカド栽培

イスラエルではアボカドは主要農作物の一つで、2018年の生産量は13.1万トンと世界で第10位のアボカド生産地。人口あたり、面積あたりの数字を見ると、原産地である中南米諸国のメキシコ、ドミニカ共和国などと肩を並べて2位、3位につける勢いです。イスラエルでのアボカド栽培の歴史は思いのほか古く、建国前の1920年代に初の苗木が持ち込まれた後、食用栽培は建国後間もない1950年代に始まっています。そして、イスラエル人はアボカドが大好き!イスラエル農業省の発表によると、イスラエル人は1人当たり、1年に平均9キロ近くもアボカドを消費しているのだそうです。


スーパーに並ぶアボカド。季節のはじめなので、お値段は1キロ(3~4個くらい)15.90NIS (約490円)と、まだちょっとお高め。

アボカドがスーパーフードと認められてからは、世界中でアボカドの需要が高まり、アボカド栽培に適する土地を持つ国は、どこも軒並み生産量を増やしているようです。イスラエルも例外ではありません。もともとアボカドは熱帯性気候を好む植物なのですが、一定の気温と水さえあれば、害虫、病気にも比較的強く、土質などにはそれほどのこだわりを持たない植物。そのため、使用する農薬の量も少なく、イスラエルでは、得意とする少量の水で効率的に行われる点滴灌漑で、年々生産量を増やしています。


イスラエルで生産されたアボカドは、55%以上がフランスを中心としたヨーロッパへ輸出されていますが、なんとこの度、厳しい手続きと審査を経て、イスラエルのアボカドもついに日本への輸出許可を得ることができました!この冬からは、きっと日本でもイスラエル産のアボカドを楽しむことができるでしょう。


アボカド畑の様子。

アボカドの特徴と食べ頃の見極め方

アボカドには1,000以上の種類があり、それぞれに異なった特徴や風味があるのですが、日本が輸入しているアボカドは全て「ハス」という品種。もちろんイスラエルからも、このハス種が輸出される予定です。ハスは、イスラエルでは11月あたりに収穫される品種で、エッティンガー、ピンカートン、リード、ガリルといった、イスラエルで生産されている何種かのアボカドの中でも、ハスが一番ポピュラーで人気があります。


卵型で、皮の表面がざらざらしていて、未熟の時は皮は緑色ですが、完熟すると黒っぽい茶色になります。水っぽさがなく、クリーミーで濃厚な味わいが「森のバター」との愛称にぴったりです。


アボカドの食べ頃はいつ?

アボカドの木。

アボカドは完熟する前の実が固い段階で収穫するので、熟して柔らかくなる前に店頭に並ぶのが一般的です。ここで皆さんに、購入したアボカドを上手に保存して、おいしく食べるためのコツをいくつかご紹介したいと思います。


アボカドは買ってすぐに食するのでなく、余裕をもって購入し、自宅で食べ頃の時期を調節するのが一番。

日本では、固いアボカドをたたいたり、加熱したりして柔らかくする方法を時々見かけますが、そういった方法では栄養や、味、舌触り、風味も格段に劣りますので、絶対にお勧めしません。そういった方法は「どうしても今すぐアボカドを食べなければならない!」という、非常事態の緊急処置の様なものという風に覚えておいてください。


まず、先ほども書いた通り、ハス種のアボカドは熟すと皮の色が変わるので、食べごろかどうかの見極めが比較的簡単です。実全体がしっかりと黒っぽい茶色になり、皮を指で軽く押すと柔らかくなっていれば食べ頃です。アボカドは上部のヘタの部分から熟していくので、ヘタの部分とお尻の部分、両方を押して両方ともがバランスよく熟れているタイミングを見つけてください。


ちょうどよく熟れたアボカドは、とろける食感と、濃厚でいてさっぱりした味わいが口いっぱいに広がって、食べ終わるのが惜しくなってしまうような、後ろ髪をひかれるような気持ちをおこさせます。

アボカド本来が持つこの味わいは、完熟したそのタイミングで生まれるものなのです。


ちょうど食べごろのアボカド。

購入してから、早めに食べ頃にしたい場合は、リンゴもしくはバナナと一緒に新聞紙にくるみ、冷蔵庫の上やPCの後ろなどの暖かい場所に置いておきます。2~3日もすればあっという間に柔らかい食べ頃のアボカドの出来上がりです。


逆に、しばらく食べずに固いままにしておきたい場合は、暗くて涼しい場所に置いておいてください。5℃以下の冷蔵庫の中に入れると、アボカドは実が変色しておかしくなってしまいますので、冷蔵保存は避けてくださいね。


アボカドをおいしく食べるには

アボカドの切り方はいろいろありますが、ハス種のアボカドは皮が固いので、縦半分に実を切って種を取り出したアボカドの皮と実の間にナイフを入れ、ぐるりと一周すると簡単に皮から実を外すことができます。この時のコツは、ナイフの刃になった部分を使わず背の部分を使うこと。熟したアボカドは柔らかいので、背の部分を使えば途中で皮を切ることもなく、上手に実と皮の間にナイフを通すことができるのです。


アボカドは空気に触れると酸化して色が変わってしまうので、切ったらすぐにレモン汁をまぶしておくことをお勧めします。食べ残してしまったアボカドもレモン汁を塗り、種は入れたままにしておくなど、空気に触れる部分を極力少なくしてラップできっちりと包み、冷蔵庫内のできるだけ温度が低くならない場所に入れて、翌日には食べてしまってください。アボカドに限らず、どんな野菜も果物も、切ったら新鮮なその時に全部いただいてしまうのが一番おいしい食べ方ですね。


イスラエルでは、アボカドはサラダやディップにしていただくのが一般的ですが、お寿司の具としても大人気です。サーモンとアボカドを具にノリを内側にを巻いた「カリフォルニア・ロール」は日本ではあまり見かけませんが、世界中でよく食べられています。


イスラエルのおスシでは、アボカド&サーモンは大人気の定番。

東南アジアなどでは、半分に切ったアボカドの、種のあったくぼみにコンデンスミルクと氷を入れかき混ぜて実を崩し、甘い味付けでアボカドを食べたりもしますが、イスラエルではアボカドは塩味専門。


私は、皮から外した半分のアボカドの実をスライスしたものに、わさび醤油をかけただけの、アボカドのお刺身が一番のお気に入りです。シンプルですが、醤油に引き立てられたアボカドそのものの味の中に、ツンとしたわさびを感じた瞬間に、日本人の血が騒ぎ、こんなグローバルな時代に生きることに対する感謝の気持ちすらわいてしまいます。アボカド万歳!です。おいしい食べ物は、人を幸せにするのです。


イスラエルでも、そろそろアボカドが店頭に並ぶ時期になりました。これから冬にかけて、本格的なアボカドの季節の到来です。

この冬、日本でイスラエル産のアボカドを見つけたら、ぜひ手に取って試してみてください。夏の間、イスラエルの日の光を一身に浴びて育ったアボカド。栄養たっぷり、おいしさいっぱいのアボカドを食べれば、心も体もきっと元気にリフレッシュできることでしょう。