インターネットが世の中に普及するにつれ、エンターテイメントの世界も、以前とは比べ物にならないほど世界的な広がりを見せるようになりました。国内の作品だけではなく、様々な言語で語られる、世界中の作品を見られるようになったのです。制作会社Frankendoの創立者であるAkim Dolinsky と Theo Dolevの二人は、この状況を通じて、自分たちの作品を、次の全く異なるレベルにまで持ち上げました。様々な文化から影響されたエンターテイメント作品とすることで、非常に個性的な作品を仕上げることに成功したのです。
Frankendoを代表する最も有名な作品が、バイラルウェブシリーズの「イスラエル国 〜 The State of Israel」です。これは、イスラエルの政治を描いた作品なのですが、実は日本語のボイスオーバーが付けられたアニメ作品なのです。今回ISRAERUでは、彼ら二人にインタビューを試み、その制作の源や、制作過程での出来事、そして将来のプランについてお話をお伺いしました。
Frankedoの始まり
AkimもTheoも、幼い時から日本のアニメに親しんできました。日本で生まれ、6年間を日本で過ごしたAkimは、その時代の日本のTVアニメと共に、スタジオジブリの様々な作品にも触れてきました。Theoはイスラエル生まれのイスラエル育ちですが、やはりイスラエルのTVを通じて、様々な日本映画を見てきており、それが彼の創作の源泉となったのです。
そして出会った二人は意気投合、アニメーションとVFXを扱う制作会社を設立します。日本アニメへの愛を背景に、二人はイスラエルという国をテーマにしたウェブアニメシリーズの制作に取り掛かります。
「イスラエル国」制作秘話
元々二人は、日本の声優を使って、正統的なアニメを制作しようとしており、インターネットを通じて、日本の声優とアニメーター達を集めました。Akimの日本語会話能力とTheoの日本のメディアに対する知識によって、日本のフリーランサー達との関係を、仕事の期間を通じてしっかり維持していく事ができたのです。
「アニメおたくとして、声優を見つける仕事は本当に楽しかったですね。本当に様々な声の人たちのサンプルをたくさん聞き、そして実際にたくさん話をしたものです。」
キャラクターに合った声優が見つかると、次はその役柄に合った会話のニュアンスを、声優達に伝えていかなければなりません。
「日本の声優さん達と働く上で一番大事だったところは、話の筋と、その中での登場人物達の役割を、彼らにしっかり理解してもらう事でしたね。声優さん達が自分の役柄を自分のモノとし、その役柄の「声」を出してもらうために、様々な有名な映画のシーンを、参考として沢山見てもらったんです。」
その彼らの努力の甲斐もあり、ここに「イスラエル国」という、長大なプロジェクトのパイロット版がついに完成したのです。
一躍バイラルビデオへ
この「イスラエル国」の評判は、瞬く間に世間に広がり、様々なSNSでの話題をさらいました。イスラエルの物語と日本のアニメーションというユニークな組み合わせに対し、世間の人々はすぐに反応してきたのです。
「アニメのような全く異なる世界で自分たちの生活が語られることを、みんな本当に楽しんでいました。こういう並行世界的な感覚が、みんなの視聴経験、というか、映像作品の見方を変えていったと思っています。」
この作品によってFrankendoは一躍有名になり、TheoとAkimの元には、ブランドのビジョンを動画という形にしていくための、様々な仕事が舞い込むようになります。それは、TV番組から、ミュージックビデオ、そしてCMといった分野にまで二人の裾野を広げました。
進み続けるFrankendo
AkimとTheoの二人は、この様々な会社やクリエイター達とコラボしていく今の道を、これからも突き進もうと思っています。
「今抱えている仕事は、CMが1本に、ミュージックビデオが2本、そしてもちろん僕らのオリジナルアニメの新作も進んでいますよ。僕らは、この忙しいモメンタムを楽しんでいるのです。」
二人はまた、日本のクリエイター達と日本のブランドの仕事をするため、日本への渡航を計画していました。しかし、このパンデミックのため、その計画は頓挫してしまっています。
「絶対に近いうちに日本を訪れるつもりです。僕らがやってきたことのほとんどは、日本からインスピレーションを得たものだし、その地で僕らが何かを作り上げる事ができたなら、それは僕らにとって本当に素晴らしい体験になると思っているのです。」