大袈裟なファッション、やたらと大きなウィッグ、そして過剰なお化粧、ドラァグクイーンたちはその派手なパフォーマンスで、常に私たちを楽しませてくれます。このドラァグという言葉が使われ始めたのは、遠く19世紀にまで遡りますが、ここまでこの言葉や現象がポピュラーになったのは、アメリカのTV番組「ル・ポールのドラァグ・レース」が世界中でヒットしてからです。
「ドラァグ」とは？
ドラァグ・ショーは、観客をショーに巻き込んでいく、とても楽しめるエンタテイメントショーです。あなたがもしプライドパレードや、ドラァグクイーンたちのショーを提供しているクラブに足を運んだことがあるなら、それがとても優れたショーである事をお分かりになるかと思います。
クラブでは、椅子に座って飲み物を楽しみながら、ドラァグクイーンたちがどんなショーを見せてくれるのか、またどんな派手な登場をしてくるのか、ちょっとハラハラしながら待つことになります。
ショーは普通、ドラァグクイーンたちのダンスと共に「口パク」による有名曲の歌から始まり、観客を巻き込んだパフォーマンスが進行していきます。
ドラァグクイーン、そしてドラァグキングたちは、大袈裟で活気に満ちたステージングで観客たちを楽しませていきます。そのドラァグクイーンの特徴の一つが、フェミニンさを強調するカラフルで大仰なウィッグと過剰なお化粧です。しかし、ショーの楽しみはそんな見た目だけの話には止まりません。ドラァグパフォーマーたちは、そのボディランゲージや歩き方に至るまで、注意深くその役割を演じるのです。
こういった「役柄」を演じていくため、多くのドラァグクイーンたちは、ステージ上での「芸名」と共に、その演じる役柄の個性をしっかり作り上げていきます。多くのドラァグクイーンたちが口を揃えて言うことの一つに、この役柄になり切ることで、自由に物事が喋れるようになるんだ、という側面があるようです。こうやって生み出された自信が、彼らの普段の生活にもうまく反映されているのは言うまでもありません。
ドラァグクイーンも、プロとなると、普段から非常に多くの仕事をこなさなければなりません。どんな人でもアマチュアとしてドラァグ活動を始める事はできますが、ドラァグ「クイーン」たちは、そのスキルを長年に渡って磨き上げてきた「プロ」なのだ、と言う事を忘れてはなりません。ドラァグクイーンとしての容姿を魅力的に、そして完璧に仕上げていくため、メイクアップとデザインの勉強は彼らには欠かすことの出来ない必須項目です。
普通のドラァグパフォーマーとは、少し異なるジャンルも存在します。「ビューティー・ドラァグクイーン」というジャンルです。彼女たちは、様々なビューティーコンテストの中で、その美を競い合います。他にも、ダンサー、コメディアン、そしてアイススケーターのドラァグクイーン、などといったジャンルもあるのです。
イスラエルのドラァグクイーン
イスラエルにおけるドラァグシーンは、昨今、非常に大きな盛り上がりを見せています。1995年、4人の男性によって、Bnot Pesiaというドラァグクイーンのグループが結成されました。彼らの活動が、ドラァグ文化を表舞台に出していく最初のきっかけとなったのです。このグループは信じられないほどの成功を収め、性、そしてホモセクシャルに関する世間のポジティブな認知を高めていったのです。
その後、ドラァグ文化はイスラエルにしっかりと根づき始め、様々なジャンルにも波及していきます。例えば、伝統的なユダヤ教のテーマをそのパフォーマンスに取り入れるドラァグクイーンたちもいるくらいなのです。
有名なドラァグクイーンたちの活動はステージにとどまらず、SNSにおいても活発な活動を行っています。例えばインスタグラムでは、とっても印象的なメイクアップ動画、舞台の予告動画、そして短いコメディ動画などが活発にアップされています。
最近、ユーロビジョンの中のイベントの一つとして、ドラァグビジョンというイベントが始まりました。そこでは、ドラァグクイーンやキングたちが、有名なユーロビジョンのクラシックソングに捧げたパフォーマンスを披露し、その収益の20％は、トランスジェンダーの女性たちを支援する資金として寄付されるのです。
このショーの興行元は「ワン・ナイト・オンリー・テルアビブ」というイスラエルのドラァグ文化を支援する団体で、イスラエル国内のドラァグパフォーマーに留まらず、例えば先述の「ル・ポールのドラァグ・レース」出演者などを国外から招き、様々なライブショーの公演を行なっている団体です。
彼らの次の公演には、Bianca Del Rioという有名なドラァグクイーンのショー、そしてAlaska、Trixie Mattel、Sharon Needles、Courtney Act, Shea Couleéといった「ル・ポールのドラァグ・レース」出演のスーパースターたちを招いて演じられる「Dragapalooza」と題されたミュージカル仕立てのドラァグショーなどが予定されています。これらは、まさにイスラエルを代表するドラァグパフォーマーたちの舞台となる事でしょう。
「ル・ポールのドラァグ・レース」の公開によって、ドラァグ文化は、LGBTQ+ のコミュニティだけに留まらず、広く世間一般に広まっていきました。イスラエルでも、18歳から50歳の幅広い年齢のドラァグクイーンが存在し、魅力的なパフォーマンスを披露し続けています。
その中でもテルアビブは、イスラエルにおけるゲイの首都ともいえるところで、毎週、様々なドラァグクイーンたちのショーが様々なクラブで行われており、国際的に有名になるショーも少なくありません。ベテランのドラァグクイーンであるTziona Patriotはバルセロナでショーを行い、Talula Bonetはベルリンで喝采を浴びました。
世間での認知が確立していく中、ドラァグクイーンたちは主要なメインストリームのメディアにも登場し続けています。シングルカットの曲をリリースし、有名なミュージシャンのビデオクリップに出演し、果てはハリウッドにまで進出しているのです。
今までにまだドラァグクイーンの舞台を見たことがないという方！
絶対にその素晴らしいショーを体験すべし！！とここで断言してしまいましょう。
