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CULTURE

手話を通じて聴覚に障がいがある方でも楽しめる音楽やイベントを創出

独占インタビュー|ミリー・ネイヴ(Wellbeing創設者、手話歌手通訳)

by ISRAERU 編集部 |2020年12月18日

Milly Nave. Photo by Yaniv Baranes, 2018.

歌手であるミリー・ネイヴ氏は、みんなに音楽を楽しんでほしいと考えています。たとえ音楽が聴こえない人でも―。音楽が聴こえないからといって、音楽を楽しめないというわけではありません。ミリー氏は、聴覚に障害がある人に向けた、異文化が融合した音楽イベントの制作活動に取り組んでいます。



「手話を学ぶ際、音楽を使って習得しました。そしてこの芸術的であり癒しである繋がりを理解しました。」


クレイジーと言われた日々

ミリー氏の音楽やパフォーマンスへの関心は、幼い頃に始まったと言います。 様々なバンドや合唱団の一員として、パフォーマンスをするのが大好きでした。


Preforming in Tel Aviv at the “Ozen” bar, signing “thank you” with their hands. From the show “New language”, 2012.

兵役の1年前、彼女は聴覚障がい者や難聴者のための協会「シェマ」を通して、手話に出会います。


「シェマで手話を学ぶコースを受けました。そして手話を学び始めてから4カ月も経たないうちに、これこそ私が人生でやりたかったことだと感じたのです。」


その後彼女はテルアビブ大学で教育の学士号と修士号を取得しましたが、道に迷っている感覚に陥りました。


「私の魂はステージ上で多くの人にコンテンツを届けることだと感じました。手話と音楽は一緒にパフォーマンスできると言ったところ、それは20年早かったようですね。みんなに”ミリーはクレイジーだ”と言われました。そんなのは誰もアートと見なさないだろうって。」


Performing at Herzliya, interpreting David D’Or show. Milly preform on stage alongside the singer and not on the side of the stage, 2016.

そして今日ミリー氏は、アーティストたちと一緒にステージに上がり、歌詞を手話で歌うことで、手話がアートとして成り立つということを証明しています。彼女の創り出すコンサートは熱意とエナジーに溢れており、音がなくても楽しむことができるのです。


“Unite” show during “Universal week” at Haifa, 2020.

「誰でもステージの前で、ショーを楽しむことができます。 今日みなさんの意識の変化のおかげで、最初は敬遠していた聴覚に障がいを持つ方々も、どんどんショーを見に来てくれています。」


現在イスラエルでは、音楽に合わせる手話の人気が飛躍的に高まっています。最近では、障がいのある人たちで構成された「Shalva」というバンドがイスラエルでデビューしました。彼らは、世界中で何百万人もの人たちが観るイスラエル主催の「2019ユーロビジョン」でもパフォーマンスを披露しました。



「ラブサイン」を通じたビジュアルコミュニケーション

デジタル化が進む現代において、子どもたちは画面の中に閉じ込められ、周りの環境とのコミュニケーションが少なくなっています。この問題に対処するため、ミリー氏は手話を通じて子供や赤ちゃんとコミュニケーションを取る「ラブサイン」を創りました。


「ラブサインを使うと、まだ話すことのできない赤ちゃんや子供たちも何が必要なのかを表現することができます。そうすると子供たちは、自分たちが見られている、聞き入れられている、そして理解されていると感じるのです。私たちが作った5エピソードからなるシリーズでは、このサインを通して子どもとコミュニケーションを取る方法を学ぶことができます。このシリーズはおむつ交換やお出掛け、寝かしつけなど、日常の子育てに関連しています。」


Milly with her children, 2019.

「私の子供が生まれたとき、赤ちゃんにとって手話を使うことが非常に一般的であることを発見したのです。 そして子供たちのために手話で歌ったりサインを出したりしました。」


ミリー氏はラブサインをヘブライ語で開発し始めましたが、依頼があったため英語でのプロジェクトも始めることにしました。


Synctuitionとの活動

ミリー氏は、リラクゼーションや瞑想、自己に向き合うことを通してウェルビーイングを促進するテクノロジーを扱う会社「ウェルビー」にも携わっています。


「人々が瞑想の効果を見ることができる、彼らのミッションをとても信じていました。呼吸や音楽、瞑想に取り組み、2017年には東京CEATECイベントに出展しました。」


Shooting for the “Wellbe” website. Photo by Yaniv Baranes, 2018.

最近では、「Synctuition」というアプリとも取り組みを行っています。このアプリは、ユーザーが音楽を通してリラックスそして瞑想をサポート。様々なことが起こっている今日の状況において、リラクゼーションと瞑想はこれまで以上に重要になっていると彼女は信じています。そして日本人にもこのアプリをぜひ使ってほしいと述べています。


ウィズコロナへの挑戦

パンデミックは、聴覚障害を持つ人々にも新たな課題をもたらしました。たとえばソーシャルディスタンスは、アイコンタクトやジェスチャーを難しくさせます。感染予防のためのマスクが顔や唇を覆っており、コミュニケーションにおいて表情が読みづらくなっています。


「これに対処するのは簡単ではありませんが、とてもクリエイティブな解決策もあるのです。学びたい聴覚障がい者のための字幕付きのコースがたくさんあります。字幕だけでなく、生配信のコースにはその場で手話通訳を行いました。こうやってより注意深く気を使うようになりました。」


The sigh with the hand means “I love you” and it is an international meaning. Photo by Talya Shapiro, 2015.

パンデミックにおいても、ミリー氏は楽観的な考えを持ち続けています。


「今年の5月13日に行われたイスラエル独立記念日の聖火採火式に出席したのですが、そこには多くのアーティストたちによるパフォーマンスやスピーチ、そしてもちろんこの一年で偉業を成したイスラエル人による聖火採火が行われました。そこで私は全国の前でステージに上がり、大きな達成感を味わいました。」


ミリー氏登場シーンは17:44~


音楽は喜びを通して人々を繋ぐ媒体であると、ミリー氏は述べています。そして将来的には、どんな人でも参加できるコンサートやイベントを作りたいと考えています。


「私は多様性を受け入れることを信じています。私たち一人一人に個性があり、心からの声を表現するためにこの惑星に来たのです。誰かが誰かのために新しい可能性を生み出すことで、その人の夢が明確となり、私たちの世界はより一層輝きを増すでしょう。」


Milly Nave. Photo by Yaniv Baranes, 2018.

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