Share

Art

羊を愛したイスラエルを代表する芸術家メナシェ・カディシュマン

by クニコ コーヘン |2021年08月02日

メナシェ・カディシュマン
メナシェ・カディシュマン

宗教画を中心に多くの絵画に描かれる羊。ここにもまた羊を描く芸術家がいます。メナシェ・カディシュマンは、何千もの羊を虹のような色合いで描くほか、羊を題材とした抽象的な巨大彫刻を制作。2015年に没するまで多くの作品を制作し、その作品は日本でも出会うことができます。


メナシェ・カディシュマン

1932-2015

<受賞歴>

1960年 アメリカ-イスラエル文化財団奨学金
1961年 ロンドンセインズベリー奨学金
1967年 彫刻最優秀賞、第5回パリビエンナーレ
1978年 サンドバーグ賞受賞者
1980年 アメリカ-イスラエル文化財団奨学金
1981年 イスラエルグラフィックアーツ、ユージーンコルブ賞、テルアビブ美術館審査員賞
1981年 ノルウェー国際印刷ビエンナーレ、フレドリクスタッド
1984年 メンデルプンディクイスラエル美術賞、テルアビブ美術館[
1990年 ディゼンコフ彫刻賞
1995年 イスラエル彫刻賞、
2002年 テルアビブ美術館より名誉フェローシップ賞受賞


メナシェ・カディシュマンの誕生から羊に愛を注ぐにいたるまで

1932年、カディシュマンはイスラエル建国以前の委任統治領パレスチナで誕生しました。1947年~1950年にかけて、テルアビブのアヴニ芸術デザイン研究所にてモシェ・スターンシュスの下で学ぶほか、1954年にはエルサレムの彫刻家ルディ・レーマンの下でアートを学びました。イスラエル近代国家を築いた開拓者精神の象徴となる芸術家と言われる彼の大きな転機となったのは、1950年~1953年にキブツ・マアヤンバルクで羊飼いとして働いていたことが挙げられるでしょう。羊飼いとしての経験が、その後の彼の芸術活動とキャリアに大きな影響を与えることになります。


メナシェ・カディシュマン

カディシュマンが一躍世界で認められるようになったのは、1978年のヴェネツィアビエンナーレにて、生きた羊の群れに色をつけて、作品として紹介したことがきっかけです。そして1995年以降、彼は何千もの羊の絵を描き始めます。そして羊の肖像画は、彼の芸術歴トレードマークとして認知されるようになります。


1978年のヴェネツィアビエンナーレで発表されたメナシェ・カディシュマンの作品
写真提供:SA'AR YA'ACOV/GPO

カディシュマンの羊の作品

ポップアート的な羊の肖像画から抽象的巨大彫刻まで

カディシュマンの描くカラフルな羊の肖像画は、ポップアートの旗手として知られるアンディ・ウォーホルのスタイルを彷彿させます。また彼の絵画や彫刻は非常に抽象的で、20世紀前半のフォーヴィスムやピカソの影響を大きく受けていることがわかります。これらは、カディシュマンがロンドンのアートスクール、セントラル・セント・マーチンズやスレード美術学校で学んだことが影響しているでしょう。


一部の批評家は、彼は羊のクローンを制作していると述べていますが、それに対してカディシュマンは、「創造的なアーティストなら誰も謝罪する必要はない。私は商品を描いているのではなく、窓の外の羊や木々を見て、作品を制作しているのだ。毎日が発現なのである。」と述べています。


メナシェ・カディシュマン作品

ここからはカディシュマンの作品が展示されている場所をご紹介します。


テルアビブ美術館前広場(イスラエル)

テルアビブ美術館前広場には、鉄で作成された抽象的彫刻や巨大な羊の顔や人の顔の彫刻が展示されています。


テルアビブ美術館前広場には、鉄で作成された抽象的彫刻や巨大な羊の顔や人の顔の彫刻が展示されています。

テルアビブ美術館前広場には、鉄で作成された抽象的彫刻や巨大な羊の顔や人の顔の彫刻が展示されています。

テルアビブ美術館前広場には、鉄で作成された抽象的彫刻や巨大な羊の顔や人の顔の彫刻が展示されています。

住所:Sderot Sha'ul HaMelech 27, Tel Aviv-Yafo

https://www.tamuseum.org.il/en/


ハビマ劇場前広場(イスラエル)

ハビマ劇場前広場では、3つの巨大な鉄製円型プレートが繋がった作品が展示されています。



住所:Address: Habima Square; Tel Aviv-Yafo

https://www.habima.co.il/


ベルリン・ユダヤ博物館(ドイツ)

金属で作られた悲鳴を上げているような表情をした顔のマスクが、10,000個以上展示されているこちらの作品は、ホロコーストのメモリアルとして展示されています。マスクの上を歩くと、金属同士が軋み合い、悲鳴のような音が聞こえます。


ユダヤ博物館に展示されているカディシュマンの作品
写真提供:AMOS BEN GERSHOM –GPO

イスラエルのエフッド・オルマート前首相が博物館を訪れた時の写真
写真提供:AMOS BEN GERSHOM –GPO
イスラエルのエフッド・オルマート前首相が博物館を訪れた時の写真
写真提供:AMOS BEN GERSHOM –GPO

市原湖畔美術館(日本)

千葉県一の貯水面積を誇る高滝湖を望む、自然豊かな市原湖畔美術館でも、メナシェ・カディシュマンの作品に出会うことができます。



住所:千葉県市原市不入 75-1

https://www.artarchi-japan.art/


越後妻有(日本)

越後妻有では、自然の中にメナシェ・カディシュマンの作品を見る事ができます。


越後妻有では、自然の中にメナシェ・カディシュマンの作品を見る事ができます。

NPO法人越後妻有里山協働機構事務局

住所:新潟県十日町市本町6 越後妻有里山現代美術館[キナーレ]内

https://www.echigo-tsumari.jp/art/artwork/trees/


ファーレ・立川:新鈴春ビル西側デッキ側壁(日本)

新鈴春ビルの西側のペデストリアンデッキの側壁に、メナシェ・カディシュマンによる15メートルにわたる鉄製の壁画があります。作品は、広々とした荒野に羊がいるという風景を半抽象風に描いたものです。鉄板を使ったレリーフ作品は、どこか切り絵を連想させます。夜になるとうしろに灯かりが点き、作品を浮かび上がらせるという仕掛けがあります。
作品の左の方には、「自然は微笑まず、人は微笑む」という言葉が日本語・ヘブライ語・英語で彫られています。


新鈴春ビルの西側のペデストリアンデッキの側壁に、メナシェ・カディシュマンによる15メートルにわたる鉄製の壁画があります。

住所:東京都立川市錦町3-3-20 たましんRISURUホール(立川市市民会館)2階

https://www.faretart.jp/art/250/


いかがでしたか?イスラエルを代表する偉大な芸術家メナシェ・カディシュマンの作品から、彼の自然を愛する人柄がうかがえます。是非、日本で世界でメナシェ・カディシュマンの作品に会ってみてください。

それでは、次回をお楽しみに!レヒトラオット!さようなら!


http://new.menashekadishman.com/