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BUSINESS

米ウォルマートがイスラエルのスタートアップ「フライトレックス」と提携しドローン宅配サービス試行

by nocamels |2020年10月12日


コロナウイルスの第二波が、イスラエルやヨーロッパ、アメリカに広がりを見せる現在。各国で外出禁止令が発令されたり、イスラエルでは2回目となるロックダウンが施行されたりしています。日本の多くのお店やレストランでは、ソーシャルディスタンスを保つためのサインが設置されています。


コロナウイルス感染拡大に伴い、この数カ月で急激な成長を遂げたのはオンラインショッピング。生活必需品から娯楽品など、多くの人がオンラインショッピングを利用しています。最近では、宅配スタッフとの接触を避けるため、荷物を玄関先に届ける非接触型宅配サービスも増えています。


そこで今注目されているのは、ドローンでの宅配サービスを提供しているイスラエル発スタートアップ「フライトレックス」です。


2013年の創業以来、フライトレックスはアイスランド最大のeコマース「AHA」と共同し、首都レイキャビクにてドローン配送サービスを実施。それに加えて、米国ノース・ダコタ州キングス・ウォーク・ゴルフ・コースと提携し、ゴルファーに食事を届けるサービスを提供しています。2018年には、ドローン宅配サービスをノースカロライナ州に拡大。ノースカロライナ州運輸局と協業し、連邦航空局が創設した無人、商業的なドローン操作のテスティングの拡充を目的とする航空機システム統合パイロットプログラムの参加者として、グーグルやインテルといった名だたる大企業と共に選ばれました。


キングス・ウォーク・ゴルフ・コースの上空を飛行するフライトレックス宅配ドローン

今年初めに米国で発生したパンデミックの第一波の際には、ノースダコタ州グランド・フォークス市にて、外出禁止令により買い物に出掛けられない人々のために、ドローン宅配サービスを開始。ウォルマートの商品約100点の中からアイテムを注文すると、庭やアパートの所定位置まで購入したアイテムが配送されます。


現在、ウォルマートはフライトレックスとの関係を深め、ノースカロライナ州でもドローン宅配サービスを開始する予定です。


「ノースカロライナ州ファイエットビル市で、ウォルマートと提携し実験を開始します。数名の試験参加者に協力してもらい、家の裏庭で荷物を受け取ることが可能となります。」とフライトレックス取締役社長であり、共同創業者のヤリーブ・バッシュ氏は述べています。


また同氏によると、ケチャップ、歯磨き粉、おむつなどを含む約200アイテムが掲載されたカタログを、スマホのアプリを使って閲覧が可能とのことです。


自動飛行型ドローンは、ウォルマートが位置する通りを挟んで離陸し、最大2.9kgの荷物を最大4.8kmまで移動可能です。そして約24mの高さから、庭に荷物を落とします。



「ドローンは、使い方が簡単な管理ダッシュボードを使用して操作します。このダッシュボードでは、商品選びから、梱包、宅配まで、顧客や関連情報に関する貴重なインサイトを得ることができます。」と、ウォルマートのシニアVP顧客プロダクト担当トム・ワード氏は会社の声明に述べています。


さらに、ウォルマートは「ポストパンデミックの際には、これまで以上に重要な宅配ビジネスになることを願っています。少しサイエンスフィクションのようにも感じますが、利用可能なテクノロジー、そしてそれを通して顧客の生活に役立つ方法を学んでいるところです。」とワード氏が加えました。


まだお店に足を運ぶことに不安を感じている方も多く、ウォルマートではオンライン販売、宅配オプションなどに力を入れて、アマゾンなどの企業と競争を図っています。昨年には、アマゾンプライムが提供する翌日配達サービスと同様のサービスを開始。8月には、食料品やその他商品を無料で当日配達するメンバーシッププログラム「Walmart+」を提供し始めました。



8月下旬、アマゾンはドローンで宅配サービス、プライム・エア開始に向け、連邦政府より商業用宅配テストの承認を得ました。この認証は連邦航空局(FAA)規制のパート135に基づいており、アマゾンは「視線を超えて」ドローンで荷物を運ぶことが可能となります。UPSも同サービスを提供するため、この承認を受けました。


現在ウォルマートも同サービスを提供すべく取り組みを行っています。


「次の二ヶ月で、サービス領域を広げたいと思っています。これによって数百または数千の家族に役立つかもしれません」とフライトレックスのバッシュ氏は言います。


彼はまた、会社が実際に前進するには、ボーイング787ジェットが飛行前に必要なプロセスと同じプロセスを踏み、連邦航空局から許可を得る必要があると加えます。



イスラエル地中海沿岸に位置するネタニヤ市でもドローン宅配サービス試行が予定されていましたが、コロナウイルスの影響により残念ながら延期となりました。しかし、現在会社の狙いは米国で、そこに集中すべきだとバッシュ氏は言います。また、ウォルマートは、アマゾンや他のeコマース会社を競合他社として捉えているものの、フライトレックスは他の会社を競合他社として認識していないと加えます。


「私はただの宅配業者なので、ウォルマートシステムにコネクションが出来るのと同じ意味で、ウーバーシステムにコネクションが出来ても問題はありません。フライトレックスのドローン宅配サービスに興味がある企業があれば、ぜひ提携したいです。」とバッシュ氏は言います。「アマゾンは競争が多いです。アマゾンが独自の宅配サービスを開始したら、残りのマーケットはそのような解決策を考えないといけないですね。」


フライトレックス

https://flytrex.com/