「自動販売機で現金しか使えず困った」― そんな経験はありませんか?そんな日常の不便さを変えるための取り組みをしているのが、イスラエルのスタートアップ「Nayax(ナヤックス)」。世界的にキャッシュレスの拡大が進むなかで、同社がいま大きな注目を集めています。

キャッシュレス決済を支えるNayaxの革新技術
Nayaxは、2005年にテルアビブで創業されたキャッシュレス決済ソリューションの企業です。創業当初から一貫して、自動販売機や無人販売の現場に革新をもたらすことを目指してきました。彼らの強みは、ハードウェアとソフトウェアの両面でソリューションを提供できる点にあります。
たとえば、Nayaxの代表的な製品である「VPOS Touch」は、非接触型カード、スマートフォン決済、QRコードなど、複数の決済手段に対応した小型ターミナルです。これは既存の自動販売機にも簡単に設置でき、運用の負担を大幅に軽減する設計になっています。Nayaxのシステムを導入することで、現金管理のリスクが減るだけでなく、売上分析や顧客管理といった機能までワンストップで利用可能となり、店舗側にとっても非常に魅力的な提案です。
世界に広がるキャッシュレス決済インフラ
導入実績はすでに世界75カ国以上におよび、設置台数は80万台以上。特に欧州、米国、日本など、非接触決済の波が進む地域で急速に普及しています。飲料自販機だけでなく、ランドリーサービスや公共交通機関、さらには駐車場やジムなどの無人決済環境でも活躍しています。

日本でも近年、キャッシュレス決済の需要が急増しており、自治体や企業がNayaxと提携する動きが出てきています。インバウンド需要を取り込みたい観光地では、「現金しか使えない」ことが機会損失になるケースも少なくありません。そうしたなかで、Nayaxのようなスマートな決済ソリューションは、まさに時代の要請ともいえるでしょう。
スタートアップとしての成長とプラットフォーム化戦略
さらに興味深いのは、Nayaxが単なる「決済端末会社」ではなく、包括的なプラットフォーム企業であるという点です。自販機の稼働状況をリアルタイムで確認したり、在庫管理を遠隔で行ったりと、運営側にとっても非常に利便性の高い仕組みを提供しています。また、利用データをもとにしたマーケティング施策の提案など、収益最大化に貢献する機能も充実しています。
Nayaxは2021年、テルアビブ証券取引所に上場を果たし、国際的な注目度がさらに高まりました。イスラエル国内でも、フィンテック分野の牽引役として名を連ねており、その成長性は業界内外で高く評価されています。今後は日本市場における展開もさらに広がっていくと予想されます。コロナを機にますますキャッシュレス・非接触決済への移行は加速しており、今後も「現金いらず」「接触いらず」という点が、安心と利便性を兼ね備えた選択肢として求められていくでしょう。
私たちの身近な日常が、よりシンプルに、より快適に変わっていく。その背景には、イスラエルで生まれた小さなスタートアップの挑戦があるのかもしれません。
■ Nayax 公式ウェブサイト:https://www.nayax.com/ja/