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BUSINESS

イスラエル・ビジネスパーソンとの会食はプライベート?それとも仕事?

by 平野貴之 |2022年06月10日

2022年春、まん延防止重点措置が解除され、3年ぶりに行動制限の無いゴールデンウィークを迎えた日本。

多くの人が旅行へ出かけている様子が、成田空港や東京駅など全国各地から報道されていました。コロナ対策を取りながら、少しずつWithコロナの生活が始まってきています。


私は、日本初上陸の海外ハイテク企業支援の仕事をしている関係上、25年ほど前からほぼ毎日、オンラインでイスラエルや他国のビジネスパーソンと会議を行っています。しかし、コロナ禍の影響でなかなか日本に入国できないからこそ、日本顧客とのリアル会議を強く望んでいる事を肌で感じています。イスラエル・スタートアップ企業のCEOやビジネスデベロップメント担当のVPは既に、欧州、米国、アジア、オセアニア地域への海外出張を再開。私の顧客たちも、ヨーロッパ、ドバイへの出張やタイ、メキシコ、アメリカ、ベルギーへの訪問などで世界中を飛び回っています。


このように、海外では既にインターナショナルビジネス出張が再開されている中、日本も徐々に入国制限が緩和され、近いうちには日本でもコロナ前と同様に、多くの海外ビジネスパーソンを見かけるようになるでしょう。


空港の写真です。

ラハイム!打ち合わせ後のイスラエル人との会食

みなさんは、イスラエルの方と食事をされたご経験はありますか?食事の前に、世界中どこの国でもまずは、乾杯しますよね。外国人が言う日本語の「カンパーイ」の発音が、なんだか可愛らしいと感じるのは私だけでないはずです。


私はイスラエルの方と食事をする時には、必ず、カンパーイ(乾杯)⇒チアーズ(Cheers) ⇒ラハイム(לחיים) の順にいつも元気よく、笑顔で乾杯をします。明るいイスラエル人には、非常に受けが良いのでぜひ試しにやってみて下さい。


また、初めて日本に来られた方には、日本のビジネス商習慣も是非教えてあげてください。


「乾杯する時は、両手でグラスを持ちながら、自分のグラスを目上の人のグラスより下の位置で乾杯する」 という日本独自の異国文化に触れることできっと喜ばれるかと思います。


グラスで乾杯をする様子の写真です。

コーシャフード 

ご存知通り、イスラエルの方の多くが、ユダヤ教徒です。

コーシャフードは、イスラム教徒のハラルフードのように、ユダヤ教徒が食べてもよいとされる「清浄な食品」のこと。


ユダヤ教の聖典には食べてもよい食品、食べてはいけない食品が記されています。ユダヤ教の中でも信じているレベルによって、バイブルに記載されている規定を忠実に守るか守らないか、各個人の意思で、自由に決められるそうです。

ユダヤ教徒は、3000年前の昔からその規律を厳格に守って生活しています。 


コーシャフードイメージ

コーシャフードの規定によると、例えば、豚肉は“清浄な食品”でないため、食べることは禁じられています。その他にもシーフードのイカ、タコ、エビやカニ、ヒレ・ウロコがある魚介類なども食べてはいけません。基本的に“血液”を口に入れる事が禁じられているのです。但し、その中でも「コーシャ」認定がされているものであれば食べても大丈夫のようです。私たち日本人では考えにくいですよね。  


コーシャフードの写真です。

「コーシャ」ビジネスパーソンとの会食『鉄板料理』

私が初めてイスラエルの某スタートアップ企業のカントリーマネージャーを務めていた時の体験談です。


イスラエルからアジア代表のシモン氏が来日。せっかく日本に来てくれたので、私も日本側パートナーも、美味しいディナーをサプライズしてあげたいと思い、彼を高級鉄板料理へ連れて行きました。シモン氏が、コーシャフードでないと食べられないことを知らなかったのです。当然お肉は食べられなく、お肉を焼いた直後の鉄板もNG。結局、シモン専用の野菜オンリーの鉄板エリアをお店の方に作ってもらいました。野菜が焼き上がり、コックさんが肉を切った包丁で、シモンが食べる野菜をカットした瞬間「これは俺の野菜?」「肉を切ったナイフで切った野菜は食べられない!」と。つまり、直接食べなくても、禁止されている食べ物を切ったナイフで、禁止されていない食べ物を切るにもルール違反となるのです。


「コーシャ」の規定を忠実に守る彼の言動には、大変びっくりした事を今でも覚えています。シモンに大変なご迷惑をかけてしまったが、今となって良い思い出の一つです。


もしイスラエルのビジネスパーソンやパートナーと今後会食に行かれる時は、「コーシャ」であるかどうか、食べられない物は何か?を事前に確認してみてください。サプライズはあまりお勧めしません!私の経験を少しでもみなさまに、ご参考にしていただければと思います。   


鉄板焼きのレストランの写真です。

会食での会話はプライベート?それとも仕事?

イスラエルの方々は、大変明るく、よく喋る方が多いと思います。


日本では、会食中の多くの時間を割いて、仕事の話をする傾向があります。時には、会議の延長を会食中に行う事もあるように見受けられます。


通常、会食ではコミュニケーションを深め、仕事中に感じた事を話したり、聞きづらい事や言いにくい事を聞いて見たり、明日以降の関係強化に繋がることを意識しがちです。しかしイスラエルのビジネスパーソンは、乾杯後に一切仕事の話をしない人もいれば、はじめの約3分間のみ仕事の話をして、それ以後は全て家族の話やプライベートの話をするイスラエルのビジネスマンも多く見受けられます。 


会話を楽しむビジネスパーソン

プライベートの話とは、特に家族の話です。全世界どこでも誰でも家族を大切にしていますが、イスラエルは他国と比べて家族への思いが特に濃いように感じます。家族全員がお互いを大切にし、愛情表現の一つとして常に口に出すのも当たり前。私は、そんなイスラエル人が大好きですし、私たち日本人も真似して自分のご両親、子供へ愛情を伝えていきたいですね。


また、イスラエルの方々は、自分の時間のON/OFFを上手に使い分けている方が多くいます。ビジネスはON、プライベートはOFFとはっきりさせ、仕事をする時は仕事に集中、会食では仕事仲間でもOFFに切り替え、仕事から少し離れます。仕事とプライベートの両方を大切にしているようです。


私もONとOFFを切り分けるように自分にルール決めていますが、決して簡単ではありません。自然にできるイスラエル人へ見習うべきですね。


そんな、イスラエルの方と会食する機会を是非、設けて頂き、笑顔で元気に「ラハイム」と!そして、いつも陽気なイスラエルの方々とより良い関係を築きながら、コミュニケーションを楽しみながら、会食を楽しんでください。