イスラエル博物館で開催中の特別展「Shoe Stories 靴の物語」。シンデレラのガラスの靴からNBAで活躍するデニ・アブディヤのシューズまで、約100足の靴を通して歴史や文化、人々の暮らしを紹介するユニークな展示です。履物としてだけではない「靴」の魅力を、世代を超えて楽しめる体験型の展覧会として発信しています。

靴から見えてくる人類の物語
私たちは毎日何気なく靴を履いています。しかし一足の靴には、その時代を生きた人々の暮らしや文化、価値観が刻まれています。
エルサレムのイスラエル博物館で開催されている特別展「Shoe Stories」は、そんな靴が持つ奥深いストーリーに光を当てる展覧会です。
展示では、シンデレラや『オズの魔法使い』のドロシー、ギリシャ神話のヘルメスなど、世界中で親しまれている物語や神話に登場する靴を入り口に、人類と靴の長い関係を紹介しています。来場者は靴を単なる日用品ではなく、人間の歴史を映し出す文化的な存在として捉え直すことになります。

約100足の靴が集結
会場には約100足の靴が展示されています。
その多くはイスラエル博物館のコレクションですが、特別に借り受けた展示品も含まれています。古代の履物から現代のデザインシューズまで、時代や地域を超えた多彩な靴が並びます。


小さな展示物である靴を主役に据えながらも、来場者を飽きさせない工夫が随所に施されているのが特徴です。展示を企画したキュレーターのオルナ・グラノットさんは、「靴が語る物語」を軸に、歴史、文化、デザインを横断する空間づくりを目指しました。

見て学ぶだけではない体験型ミュージアム
この展覧会の大きな特徴は、参加型の展示構成にあります。
会場には靴職人になった気分で遊べるコーナーや、他人の立場を体験できるデジタル展示などが設置されています。素材に触れたり、ゲーム感覚で学んだりできる仕掛けも多く、子どもたちが自然と展示に入り込める環境が整えられています。


イスラエル博物館の青少年館は、長年にわたり「体験を通じて学ぶ」教育活動に力を入れてきました。本展もその伝統を受け継ぎながら、家族で楽しめる展示として設計されています。
イスラエルのクリエイティブな才能も紹介
展示では、イスラエルを代表するデザイナーやアーティストの作品も紹介されています。


なかでも注目を集めるのが、ユニークなシューズ作品で知られるデザイナー、コビ・レヴィの作品です。バナナやフラミンゴをモチーフにした靴は、世界中で高い評価を受けており、靴が機能性だけでなく芸術表現にもなり得ることを示しています。

さらに、イスラエル人が日常で履く靴をテーマにした映像作品なども展示され、現代イスラエル社会の多様性やライフスタイルを垣間見ることができます。
デニ・アブディヤのシューズが語る現代の夢
会場でひときわ目を引くのが、NBAで活躍するイスラエル人選手デニ・アブディヤのバスケットボールシューズです。
署名入りのシューズは展示品の中でも最大級のサイズを誇り、多くの来場者が足を止めます。

この靴は単なるスポーツ用品ではありません。世界最高峰のリーグで活躍するイスラエル人アスリートの挑戦と成功を象徴する存在でもあります。古代の履物から現代のスポーツシューズまでを同じ空間で展示することで、靴が時代ごとの夢や価値観を映し出してきたことが伝わってきます。
一足の靴が思い出を呼び起こす
展覧会には夏休み期間だけでも1日約1,000人が訪れているといいます。
来場者は展示された靴を見ながら、自分が子どもの頃に履いていた靴や、特別な日に履いた思い出の一足を自然と思い出します。
靴は誰にとっても身近な存在です。しかし、その一足には人生の物語が宿っています。
イスラエル博物館の「靴の物語」は、歴史やデザインを学ぶ展示であると同時に、自分自身の記憶や経験を振り返る旅でもあります。シンデレラのガラスの靴からNBAスターのシューズまで──そこには時代や国境を超えて受け継がれる、人間らしい物語が詰まっているのです。
イスラエル博物館「靴の物語」公式サイト
https://www.imj.org.il/en/exhibitions/shoe-stories
*本記事はイスラエルメディアPortfolioの報道をもとに構成しています。


