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ユダヤ低地にあるマレシャとベト・グヴリンの洞窟群 : 洞窟の大地の小宇宙|世界遺産シリーズ VOL 08

by ISRAERU 編集部 |2025年12月30日

ユダヤ低地にあるマレシャとベト・グヴリンの洞窟群

イスラエルの世界遺産をご紹介するシリーズ第8弾。
今回ご紹介するのは、2014年に世界文化遺産に登録された「ユダヤ低地にあるマレシャとベト・グヴリンの洞窟群」
紀元前8世紀ころから十字軍の時代まで2000年以上に渡って文明が発展したことを証明する世界遺産を、詳しく掘り下げていきましょう。


イスラエルの内陸部、ユダヤ低地にあるベト・グヴリン=マレシャ国立公園。
この地には、かつてマレシャとベト・グヴリンという2つの都市が存在していました。
そして、この2つの都市には3500もの石灰岩層で築かれた地下室が点在。
その地下室は、産業や宗教に関連する施設として利用されていたことが解明されており、紀元前8世紀ころから十字軍の時代まで2000年以上にわたって文明が発展したことを証明するものとして、貴重な存在となっています。


イスラエル・マレシャにある「コロンバリウム洞窟」。
イスラエル・マレシャにある「コロンバリウム洞窟」。

ユダヤ低地にあるマレシャとベト・グヴリンの洞窟群:洞窟の大地の小宇宙ってなに?

イスラエルの南部地区、ユダヤ低地にあるベト・グヴリン=マレシャ国立公園。
東のメソポタミアから西のエジプトを結ぶ交易ルートに位置したこの地は、紀元前8世紀には南部のマレシャという都市が存在していたと考えられています。
しかし、マレシャは紀元前1世紀にパルティア(現在のイランを中心に存在した国家)によって破壊。その後、北部にベト・グブリンが建設されました。
本地域の中心地となったこの地は、ローマの植民地から十字軍の時代まで都市として機能していたと考えられています。

イスラエル・マレシャにある地下洞窟の象の壁画。
イスラエル・マレシャにある地下洞窟の象の壁画。

どんな理由で世界遺産に登録されているの?

ベト・グヴリン=マレシャ国立公園にある「ユダヤ低地にあるマレシャとベト・グヴリンの洞窟群」が世界遺産に登録された理由はいくつか考えられますが、特に以下のようなポイントが重要視されたと考えられています。
そのひとつが、鉄器時代から十字軍の時代まで、住民によって地下の石灰岩層の利用が見られたこと。
これらには、経済や社会、宗教において貢献してきた人工の洞窟とネットワークの発展が見られるということもあり、注目を集めたという点。
さらに、マレシャとベト・グヴリンの地下には、もともと柔らかい石灰質の土壌が広がっていて、住民たちは鉄器時代から十字軍時代まで洞窟を採掘。産業や宗教にまつわる施設から墓地まで、さまざまな方法で利用され、住民たちのネットワークの発展が見られるという点でも評価されています。


まさに洞窟の大地の小宇宙と呼ぶにふさわしい、エモーショナルな空間場広がっています。
まさに洞窟の大地の小宇宙と呼ぶにふさわしい、エモーショナルな空間場広がっています。

ちなみに、登録名の日本語訳は「洞窟の大地の小宇宙」という難解な表現となっていますが、英語表記でも「a Microcosm of the Land of the Caves」と似たよう表現となっています。
要するに、洞窟が地下に無数にあることから、それが「星の集まる宇宙」という表現になったのだと思われます。

イスラエルには、日本ではあまり知られていない世界遺産がまだまだあります。
次回はいよいよ最終回。2025年現在、イスラエルで最後に世界遺産に登録された場所を紹介します。