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LIFESTYLE

ビーガン大国イスラエル、今話題のサステナブルライフとは

by 木村 リヒ |2020年09月04日


突然ですがイスラエルの都市、テルアビブは世界でも有数のビーガン大国といわれているのはご存じでしたか?


イスラエル、特にテルアビブのような大都市の若者の間では、ビーガンだけでなくサステナブルライフが大注目されています。今回はそんなイスラエル人のシティライフに迫ってみました。


そもそもサステナブルとは?

最近よく耳にする言葉ですがいまいち意味が・・・という方も多いのではないでしょうか。本来のサステナブルという言葉は「維持できる、持続可能」という意味があり、最近では地球環境や自然環境維持に関する意味合いで使用されることが多いです。

簡単に言えば、環境を配慮した丁寧なライフスタイルです。

個人の取り組みですと、リサイクル素材の使用や、頻繁な購入の減少、フードロス(食べ残し)を少なくすることなどが挙げられます。


Simple Happy Market: エコな食生活を促進する本から始まったミニスーパー。本の中の世界観をそのままお店の商品に。


イスラエルでのサステナブルライフ

実はイスラエルのサステナブルライフの歴史は浅く、エコや地球環境に対する取り組みを始めたのは他国と比べ少し遅れていました。

しかし最近では中心部、特にテルアビブの若者をはじめ環境に配慮した新しい生活の形が注目され始めています。

環境にいい雑貨店や、エコプロダクトを取り扱うレストラン、身近に始めれるサステイナブルライフ講座などが続々と展開されています。


エコライフを心掛けている人の間でひそかに人気が出始めている”土鍋”、なんとイスラエルでも”Donabe”という名で売られています。Eco-Storeにて


特に目まぐるしい変化をとげているのは「ベジタリアン」や「ヴィーガン」、つまり菜食主義に関する考え方です。

サステナブルライフを語る上でよく耳にするのが「菜食主義」。

実は肉の生産には、大量の穀物や淡水などの資源を要します。更に、家畜産業に起因する温室効果ガスの排出量は、すべての交通機関の総排出量よりも大きいというから驚きですよね。つまり、日々口にするお肉の量を少し減らすだけで環境保護、改善につながるということです。


イスラエルは世界でも有数のビーガン大国で、テルアビブのほとんどの店はビーガンフレンドリー、つまり菜食主義者も楽しめるメニューが必ずと言ってもいいほど用意されています。

驚くべきはビーガン、ベジタリアンの割合です。7年前までは人口の0.5%にも満たなかったビーガンですが、現在は人口の6%以上だそうです。


元祖ビーガンレストラン:Anastasia お蕎麦を使ったメニューも提供しています。


今回は、そんなライフスタイルを取り入れたレストラン兼雑貨店を営むニッシム・ベンカルさんにお話を聞きました。


ニッシムさんは8年前にビーガンになり、6年前にビーガンレストラン「ミツ・マラク(ジュース&スープ)」をオープン。現在では客足が途絶えない人気店に。


ひげがチャームポイントのニッシムさん


塵も積もれば山となる。ニッシムさんの語る「少しずつさん」とは?

ニッシムさん曰く、実際に大きな変化を起こしているのは完全菜食主義者や極端なミニマリストではなく、出来る範囲で環境に配慮した生活をしている人とのことです。


実際、テルアビブではなんと25%もの人が「菜食主義者ではないが食べる肉の量を減らしている」という暮らしを選択しているようです。このような方をニッシムさんは「少しずつさん」と呼んでいて、小さな変化を自分のペースで続けている人達がサステナブルライフのカギを握っていると信じています。


個人での活動のみならず、テルアビブの飲食店でも徐々に紙ストローの使用や、フードロスを抑えるため、閉店後の廃棄を抑えるアプリの使用など積極的に行われており、できる範囲での環境に対する取り組みを心掛けているように思えます。


イスラエルでは量り売りが当たり前。野菜も自前のエコバックで購入できます。


先ずは、知ること、広めること。

では、どうやってサステナブルライフを始めればいいのでしょうか。 ニッシムさんのアドバイスは「興味をもつこと」だそうです。


「まずは知ること!これが一番大事。大概の人は現状を知れば何か行動に移そうと思うんじゃないかな。まだエコな考えをしてない人は”環境なんてどうでもいい”って思ってるわけじゃなくて単純に知らないだけだと、僕は信じている。なので一番大事なことは、興味を持って、他の人に教えてあげること。」とニッシムさんは語ります。


その他にも、「自分のペースでリサイクルなど小さな変化から始めてみること」や、「一人じゃなく、友達、パートナーやグループで生活習慣を変えてみる」などを挙げています。


日本料理が大人気のイスラエル。Eco-Storeではなんとマイ箸まで購入できます。


エルサレムの小さなブースで始まった大きな夢

元々はコンピューターグラフィックスを専門としていたニッシムさん、友達から送られてきた屠畜場のムービーがきっかけでベジタリアンになったそうです。


それからは、長年の夢だった人と関わる仕事をしたいという思いが大きくなり、6年前に「サステナブルライフ」というコンセプトを基にエルサレムで小さなジュース&スープ専門店を開きました。

アットホームな雰囲気とニッシムさんの人柄、奥さんの特性スープのお陰でお店は大盛況。今では店舗拡大するほどの人気店になりました。


大人気の看板メニュー、ニッシム特性モーニングセット


最近ではジュースとスープのみならず、モーニングセットやランチセット、エコな雑貨まで取り扱っています。

ニッシムさん一押しの商品は「ストロー・ストロー」。

ストロー(藁)で出来たストローで、プラスチックを使用していない自然な見た目がかわいい人気商品です。


「ストローでできたストロー」はホームパーティにピッタリのオススメ商品


もう一つのオススメ商品は「MAMAQ」。イスラエル発祥のビーガンチーズブランドで、牛乳を使用していない、カシューナッツで出来たチーズ風ペーストです。私も実際に食べてみましたが、本物のチーズのよう、むしろ本物のチーズ以上のまろやかさで、病みつきになる味わいでした。


イスラエルのサステナブルライフの今後

イスラエルではほとんどのごみが埋め立て式のごみ処理をされているのが現状です。まだリサイクルのできる環境が整っていないところも多く、廃棄物発電などもほとんどない状態です。


しかし、都市部を見てみると非常に熱心に地球の未来を考えてる人、企業が多く存在します。特に若い人の間ではサステナブルライフが一種のブームメントになっており、特に菜食主義に関する考えは非常に浸透しているように思えます。


加えて、様々なスタートアップ企業やIT企業も、環境に配慮した商品の開発に力を入れています。余剰食品を削減するプラットフォームやアプリもリリースされており、実際に使用できるお店も増え続けています。


サステナブルライフへの出だしは遅かったかもしれないイスラエルですが、目まぐるしい変化がここ数年で起きています。今後のイスラエルにの環境に対する取り組みが楽しみですね。

そしてこの記事を通して、一人でも多くの人に環境にについて考えていただければいいなと思います。