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イスラエル国内3大自然派コスメの一つ「SABON MICHAL」
これまでの記事でご紹介してきたように、イスラエルには魅力的な自然派コスメカンパニーが群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)しています。FARAN/ファランやGamila Secret/ガミラシークレットは日本人の間で人気が高いですが、イスラエル国内での認知度や流通量はそこまで高くありません。
一方で筆者の感覚ベースですが、数あるイスラエルの自然派コスメの中で実際にイスラエル人によく知られ、国内で多く流通している自然派コスメを3つ挙げるとしたら、以前ご紹介したLavido/ラビド、Arugot/アルゴット、そして本日ご紹介するSABON MICHAL/サボンミハルです。全国の自然派製品店で取り扱われており、以前ご紹介したDUSHAでも購入可能です。
手間とコストが何百倍かかっても良い製品を作りたい
今回取材を受けてくれたのはオーナーのNoam Levy氏です。ブランド名のMICHALは、妻でCEOでもあるMicha Levyの名前が由来となっています。彼らは2007年に、イスラエル北部のKiryat Tiv'onにある自宅のキッチンにて製品を作りはじめました。
成分は100%自然由来のもので、自然に戻る生分解性のあるものを使用しサステナブルな仕様。そして可能な限りイスラエルの植物を使用し、地域経済の発展に貢献します。Noam氏は「手間とコストが通常のコスメの何百倍かかったとしても、見せかけではなく実際に100%自然の恵を詰めます。人々と環境に優しい製品を作るために妥協をしません」と述べます。
ポージングだけのラグジュアリーは不要!?自然派コスメを誰もが手にできるものに
今日、自然派コスメやオーガニックコスメといえば、薬局で購入できるものに比べると非常に高価で、何か特別なプレゼントのようになっています。そんな中でNoam氏は「本来は多くの人々を癒すため、そして地球に優しい製品を作っている自然派コスメであるにも関わらず、お金のある人だけが手にすることができる構造は業界の大きな問題です」と語ります。
SABON MICHALは業界に蔓延る「ポージングだけのラグジュアリー」に疑問を呈します。一般的に、広告や過剰なパッケージングに大きな費用をかけることで価格が上がります。SABON MICHALの製品は、プロモーションや過剰包装にはお金をかけません。彼らが第一に努力するのは「品質の向上」と「価格の安定」です。広告費用や無駄な包装費用を顧客に支払わせず、さらに信頼できるベンダーとやり取りすることで無駄な仲介料を払いません。多くの費用を「質」にかけています。
実際に彼らの製品は非常にコストパフォーマンスが良く、手にしやすいです。例えばシャンプー、コンディショナーの価格は、他のイスラエルの類似ブランドよりも40%ほど安価にも関わらず容量も多いです。もちろん成分にも妥協がありません。当然ながら、日本に流通するオーガニックシャンプーの価格とも歴然の差です。物価が高いイスラエルにも関わらず(2021年におけるテルアビブの物価指数は世界一)これほどまでに高品質で、価格を抑えることができる点に驚きました。
ちなみに一般的なイスラエル人は資産家であっても、普段から過剰なブランド品に身を包むことはありません。着やすい服と、着やすい靴で過ごし、一見簡素に見えます。しかし話してみると、彼らは素の自分に自信があることがわかります。多くのイスラエル人と触れ合ってきましたが、大人なのに子供のように目が輝いたタイプの人が多いです。こういった国民性を考慮すると、イスラエル人は全体的に、SABON MICHALの言うような「ポージングだけのラグジュアリー」という発想があまり無い国民性かもしれません。イスラエル人から学ぶことは多いです。ラグジュアリーという価値観について改めて考えさせられます。