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約50年間イスラエル歴代首相専属フォトグラファーを務めた
モシェ・ミルナー氏が語るその軌跡<前編>

独占インタビュー|モシェ・ミルナー(フォトグラファー)

by クニコ コーヘン |2021年01月22日

シャローム  hello こんにちは。イスラエル在住のクニコです。


今回ご紹介するのは、1967年~2014年にわたりイスラエル歴代首相専属フォトグラファーを務めたモシェ・ミルナー氏です。彼が歴史的記録を収めた写真の数々は、世界の新聞を飾りました。


モシェ・ミルナー氏

彼はフォトグラファーとしてはもちろん、世界を巡る豪華客船のツアーガイドを取得、数々の書籍を出版するなど、その活躍の場を広げています。


今回はモシェ氏の独占インタビューを二回に分けて紹介します。第一弾は彼のフォトグラファーとしてのストーリーに迫ります。


モシェ氏担当イスラエル歴代首相名
ゴルダ・メイール首相 (1969 – 1974)
イツハク・ラビン首相 (1974 – 1977, 1992 – 1995)
メナヘム・ベギン首相 (1977 – 1983)
シモン・ペレス首相 (1984 – 1986、1995 – 1996)
ビンヤミン・ナタニヤフ首相 (1996 – 1999、2009-)
アリック・シャロン首相 (2001 – 2006)
エフッド・バラック首相 (1999 – 2001)
エフッド・オルマート首相 (2006 – 2009)


―――まずはモシェさんの生い立ちについて教えて下さい。


1946年11月4日にドイツの難民キャンプで生まれました。私の両親はホロコーストの生存者です。

そして1948年、私たちは家族でイスラエルに移民してきました。


―――フォトグラファーとして活動をどのようにして始めたのか、教えてください。


高校時代、両親の家計を助けるため、勉学の合間を縫って写真店の助手として働き始めたのが始まりです。そこでは店の掃除などの雑用をこなしながら、チャンスを見つけてはカメラの組み立て方や現像の仕方まで学びましたね。またアシスタントとして結婚式の写真撮影の手伝いをしていたのですが、そこでも徐々に写真の技術を学ぶことができました。その後、軍隊に入隊し、パイロットコースを志願したのですが、視力検査で不合格となり、別の部署に配属されました。その結果、軍隊の最高参謀長官であるイツハク・ラビン氏と出会うことになりました。ここでプレスフォトグラファーとしてのキャリアがスタートしたのです。



―――フォトグラファーとして、写真を撮る上でのポリシーや概念は何ですか?


すべての写真は、自然体なドキュメンタリータッチで撮るのが私の方針です。


―――仕事以外ではどのような被写体を撮影するのが好きですか?


自然の風景や自然の生物が好きです。


―――イスラエル歴代首相に同行して、特に記憶に残る首相はどなたでしょうか?


特にゴルダ・メイール首相、イツハク・ラビン首相、アリック・シャロン首相の同行は記憶に残っています。



―――ダライ・ラマ氏とお会いしているようですが、そのきっかけは何ですか?


2008年に平和会議がイスラエルで開催された際に、ダライ・ラマ氏も参加されました。その時にお目にかかるチャンスがありました。


モシェ・ミルナー氏とダライ・ラマ氏

―――ハリウッド女優のイングリッド・バーグマンさんともお会いしてますよね?


映画ニュースエージェンシー「シグマ」のフォトグラファーを務めていた際に、映画「ゴルダ・メイール」のゴルダ役でイスラエル入りしていた彼女と出会うことになりました。



―――ビンヤミン・ナタニヤフ首相と一緒に、当時アメリカ合衆国大統領であったビル・クリントン氏を訪問されているようですが、その際に特に記憶に残っていることはありますか?


以前私はイツハク・ラビン首相に関する本を出版したのですが、その後ラビン首相の暗殺事件がありました。その際、クリントン大統領から追悼の意のメッセージをいただきました。そしてホワイトハウスで初めてクリントン氏とお会いした際に、その書籍の執筆者が私であることを知った彼は、個別に部屋へ招待しお声をかけてくださいました。これが特に記憶に残っています。


ビル・クリントン氏とモシェ・ミルナー氏

―――写真家として活躍されながら数々の書籍を出版されていますが、そのきっかけは何でしょうか?


軍隊での最初の仕事の一つは、軍隊関係の百科事典の写真エディターでした。そして書籍出版は私の夢でもあり、イツハク・ラビン首相の生前時にはチームで彼に関する本を出版したのです。そこで私はパブリッシングと写真エディターを担当しました。残念ながら出版後にラビン首相が亡くなり、その際にビル・クリントン氏から頂いた追悼の意のメッセージが本に含まれています。



また1999年に出版した「JESUS 2000」は、バチカンのローマ法王の承認を受けています。ローマ法王は毎週水曜にサンピエトロ広場で開かれている教皇の謁見(えっけん)に招待してくださり、私から直接ローマ法王にこの本を贈呈することができました。



―――現在、世界を巡る豪華客船ツアーガイドの資格も所有されているようですが、なぜ写真家からツアーガイドになったのですか?


フォトグラファーとして仕事を退職した後、実はイスラエル国内のツアーガイドになりたかったのです。ただ国内ツアーガイドになるには色々と難しく、豪華客船ツアーガイドの資格を取ることにしました。



イスラエルの歴史を世界に伝える役割を果たしたフォトグラファーモシェ・ミルナー氏。その貢献は偉大なものであると思います。歴史を伝えるメディアの裏には多くの人々の活躍があるものです。

次の記事では彼の作品を紹介したいと思います。


それでは、次回をお楽しみに!レヒトラオット!さようなら!