近年、ゲームや映画といったビジュアルエンターテインメントの急速な発展に伴い、人々の活字離れが加速しています。本は読者を魅了し、想像力を高め、娯楽の一つとしても認知されていますが、単に電源を入れれば情報が流れてくるテレビなどと比べると、本を読むという作業に集中しなくてはならず、活字離れが進む原因の一つとも言えるでしょう。
しかし今も昔も本は人々を魅了し続けています。そしてそのことを証明するイベント「Hebrew Book Week(ヘブライブックウィーク)」が、イスラエルで開催されました。
ヘブライ語の本が溢れるイスラエルの6月
イスラエルでは、6月がヘブライ語の本の公式月とされており、毎年6月にはイスラエルの本が大きく宣伝されるだけでなく、大幅割引で本が販売され、地元作家の作品購入を促しています。
ヘブライブックウィークもその活動の一環で、起源は1925年に遡ります。「現代ヘブライ語の祖」として知られるエリエゼル・ベン・イェフダを称えるために始まったこのイベントは、1950年代以降、恒例イベントとして楽しまれるようになりました。
図書館に行けば、最新の本が無料で読める現代において、本の販売イベントがこんなにも人気を博すのは少し驚きですが、毎年6月に開催されるブックウィークでは、通常のように本屋で本を販売するのではなく、10日間の特別フェアとしてイベント会場に本が並びます。会場には120を超える出版社から、子供向けの絵本から珍しい本、ベストセラーのサスペンスや自己啓発本、恋愛小説までありとあらゆるジャンルの本が販売されていますが、その共通点はすべての本がヘブライ語で書かれているということです。
またブックウィークがこんなにも盛り上がる理由の一つに、作家と読者が直接コミュニケーションを取れるという点があります。イベント会場で作家と話をしたり、サイン入りの本を購入したりと、本好きにはたまりません。
今年は6月9日から19日にかけて、エルサレムとテルアビブの2つの大きなブックフェアが開催されました。
エルサレムのブックフェアでは、何百というブースで本が販売されるほか、砂絵やおとぎ話の劇場公演、アイスキャンディーづくりのワークショップなど、様々な楽しいアクティビティが開催されました。
テルアビブのブックフェアは、毎日午後6時オープンと遅めのスタート。オープン前から多くの人々が会場に集まり、我が先に作品を見たいという人々で溢れていました。また読み聞かせや演劇、音楽ライブなどが開催され、会場を盛り上げます。
今年も大成功を収めたヘブライブックウィーク。イベント終了わずか一週間後には、既に来年の計画をスタートしたそうです。来年のイベントが今から待ちきれません。