
イスラエルのスタートアップStoreDot社は、リチウムイオン電池の規格に準拠したXFC超高速充電電気自動車用バッテリーを1,000個生産したことを発表しました。
テスラを含む他の電気自動車用バッテリーがフル充電に30~40分ほどかかるの対し、StoreDot独自のリチウムイオン電池は、わずか5分でフル充電が可能です。
ペンシルバニア州立大学バッテリー・エネルギー貯蔵技術センターのチャオ=ヤン・ワン教授が予測するように、今後3年間でStoreDotのXFCバッテリーが大量生産できるようになれば、ガソリンを燃料とするエンジンの時代は終わりになるかもしれません。
「電気自動車の採用を阻む一番の障壁は、もはやコストではありません。一番の障壁となるのは、航続距離です。高速道路で立ち往生してしまうのではないか、充電ステーションで2時間も待たなくてはいけないのではないか、といった不安です。しかしガソリン車と同じように短時間で充電できるのであれば、この不安は解消されるでしょう。」と、StoreDotのCEOであるドロン・マイヤースドルフ氏は述べています。
2019年テルアビブで開催されたEcomotionカンファレンスでは、実際にオートバイを5分間で充電する様子を披露しています。そして昨年、自立飛行ドローンに対応する、高速充電バッテリー技術を開発したことを明らかにしました。

「大量生産ラインからエンジニアリングサンプルをリリースしています。これは、大量生産が実現可能であり、商業的展開の準備ができていることを示しています。」とマイヤースドルフ氏はガーディアン紙に語りました。
StoreDotは、従来のリチウムイオン電池に使用されているグラファイトの代わりに、イオンが素早く簡単に通過できるゲルマニウムベースのナノ粒子を使用しています。来年には、ゲルマニウムより安価なシリコンへ移行し、リチウムイオン電池と同等のコストを実現する予定です。
またStoreDotは、イギリスの石油会社BPと提携し、既存の数千か所のガソリンスタンドにEV充電ステーションを設置しました。
ワン教授によると、高速充電を経済的に実現するためには、バッテリーの劣化を抑え、少なくとも500回は充電可能でなくてはなりませんが、StoreDotのバッテリーは、元の容量の80%を維持したまま1,000回の充電が可能だとマイヤースドルフ氏は述べています。
今後電気自動車メーカーに配布される予定のサンプルバッテリーセルは、中国を拠点とする戦略的パートナーのEVEエナジーが製造しています。既存のリチウムイオン生産ラインで生産されるように設計されており、価格をさらに抑えることが可能です。
2012年創業、イスラエル・ヘルツェリアに本社を置くStoreDot社は、ダイムラーAG、TDKコーポレーション、サムスンベンチャーズ、BPベンチャーズなどから1億3,000万ドルの投資を調達しています。
「私たちStoreDot社は、電気自動車の充電に革命をもたらし、大量生産における重大な障壁を取り除くことを目指しています。」とマイヤースドルフ氏は強く述べています。
StoreDot
情報提供:ISRAEL21c
執筆:Brian Blum