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proteanTecsケーススタディ:チップ内モニタリングによるデータセンターの電力削減

by ISRAERU 編集部 |2024年05月24日

急速に進化するデータセンターでは、エネルギー消費の最適化が重要な焦点となっています。当記事では、電力消費の複雑さを掘り下げ、3つの主要コンポーネントの経済性について紹介します。CPU、GPU、AIアクセラレータの3つの主要コンポーネントの経済性、およびproteanTecsの電力削減ソリューションの実装が、電力効率と計算能力の両方をどのように変革するかを探ります。



データセンターの電力消費の課題

近年、ビッグデータの処理やクラウドサービスの普及に伴いデータセンターの電力需要が急増しています。データセンターは現在世界の総電力の約2%を消費しているといわれ、さらにデータセンターの電力消費量は4年ごとに倍増し続けており、最適化が必要な急成長分野のひとつとなっています。


しかし、性能に対する要求は増大の一途をたどっている一方で電力はかなり制限されていて、これがデータセンターの進歩を制限する主な要因になりつつあります。


効率的な電力管理の利点

最終的にデータセンターの大幅な経費節減と環境への負荷低減につなげるには、効率的な電力消費が最優先事項であり、これは電子機器の寿命を延ばすことにもつながります。では、業界はどのようにこれらの問題を解決していく必要があるのでしょうか。


電力をその主な消費元である先進的な半導体に電力を直接供給することは、電力消費に対処する方法の 1 つです。しかし、現在導入されているさまざまな方法論やベスト・プラクティスは、どれもチップ内での消費電力量またはそのチップの性能ターゲット値の削減を提案するものです。



これは最小限の電力で最大のパフォーマンスを得ること、つまり可能な限り最高の周波数でチップを動作させることを目的としており、その周波数をサポートする最低の電圧を提供します。システムの処理負荷に応じて、電源電圧とクロック周波数を動的に制御して消費電力低減を図る技術である DVFS(Dynamic Voltage Frequency Scaling) などさまざまな手段が知られていますが、どれも根本的な解決とはなりづらく、また実装が困難です。


データセンターにおける電圧供給の現状

現場では、パフォーマンスを低下させる様々な要因を想定し、電圧低下を回避する仕組みが必須となります。このためノイズや過剰なワークロードの発生によって、チップが劣化してしまうのです。実際に現場ではより低い電圧での動作がもとめられているにもかかわらず、万が一に備えて常に高い電圧を印加(電気回路に電源や別の回路から電圧や信号を与えること)しています。これは、電力削減ではなく、逆により高い電圧で動作をさせることとなるマージンと呼ばれるものになります。実際には最悪のシナリオに対応するための印加電圧に達することはほとんどなく、単に電力の無駄使いとなっています。


proteanTecs ソリューションがもたらす効果

proteanTecsは、最適な消費電力を実現するために「ディレイ」そのものに着目し、半導体チップの内部をモニタリングすることでエレクトロニクス全体のを制御と監視をする2つの異なる機能を提供しています。


まず、 電圧がチップに電力を供給するのに十分でなくなるイベントが発生した場合、proteanTecsは、マージンの大小にかかわらず、常にセーフティネットを提供します。指定された性能周波数に達すると割り込みが発生し、直ちに電圧を安全な帯域まで戻します。


次に、AVS Pro アプリケーションを使用して、チップ全体で非常に高いカバレッジを備えたタイミング パス上の障害からそのマージンがどの程度離れているかを確認し、大量のマージンが確認されたらすぐに電圧を下げ始めます。その結果、マージンはより小さくなり、さらに障害の発生ポイントに至ることがなくなります。


つまりproteanTecは最悪のシナリオを考慮するのではなく、ほぼリアルタイムで必要なマージン量を確保しているのです。マージンが確保されれば、障害が発生しない範囲で電圧を下げる方法を見つけ出すことができます。これにより、障害を恐れることなくアプリケーションを提供することができます。



proteanTecsを導入した場合の効果は GPU あたり 10% の電力節約に相当すると考えられ、その小さな数字に GPU の数量を掛けると、膨大な数字になります。上の図の中央に示された例を見てみましょう。この例では消費電力が0.35 キロワット時、使用率が 60%、電力使用効率が高いと仮定し、GPU あたりの合計電力は 業界標準の0.273 だとした場合、 500,000 個の GPU と 1 時間あたり約 0.10 キロワットの電力コストを考慮すると、年間総電力コストは約 1 億 2,000 万ドル程になります。


当社の電力削減ROI計算ツールで、proteanTecsのソリューションを使うことで貴社データセンターがどのくらい電力を削減できるか試算することができます。


まとめ

当社の取り組みは、未来を先取りしたものだと信じています。当社は、すべてのミリワットを節約するためにマージンを非常に低くし、オーバーヘッドで 1 ミリワットも無駄にしないことを目標としています。


電力を下げることでパフォーマンスが向上し、また冷却装置による二酸化炭素排出量の削減、およびマシンの長寿命化も期待できます。また、チップの劣化速度も遅くなり、マシンの使用率も高くなるため、保有資産の削減も見込めます。proteanTecsが提供するテクノロジーは、現代のデータセンターが抱える問題に対処する、将来性のあるソリューションなのです。


 



proteanTecsは、半導体の内部からそのライフタイムを通じて継続的なモニタリングを行う先進的ソリューションを提供するイスラエル企業。同社は2017年、エレクトロニクス産業の継続的な成長の実現という使命を持った半導体業界のベテランたちによって創設され、エレクトロニクスのモニタリングソリューションにおいて革命を起こし続けています。様々な業界の主要企業をクライアントとし、現在イスラエルに本社を置くほか、ニュージャージー、カリフォルニア、台湾にオフィスを構えています。

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<proteanTecsに関するお問い合わせ先>

proteanTecs 日本責任者 千田 

chida@proteantecs.com




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