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BUSINESS

テクノロジーを通じて音楽業界を活性化させるイスラエルのスタートアップ企業4社

by nocamels |2020年08月06日


デジタルストリーミング、メディアサービスプロバイダーのSpotify(スポティファイ)は、わずか10年で音楽業界に大きな変化をもたらしました。Spotifyの人気は、CDなどの物理媒体の音楽からデジタル音楽への移行を促進し、現在では音楽配信の情報源として、主にインターネットが利用されています。


Spotifyの利用者は昨年1億人を達成し、音楽業界に対するテクノロジーの影響の大きさを表しています。デジタル音楽への需要が強くなっている今、イスラエルをはじめとする世界中の音楽スタートアップ企業では、音楽業界を革新、活性化させるため、デジタル技術を効果的に使用するシステムを生み出しています。


様々なギターのサウンドエフェクトを1枚のパッドで作ることができるワイヤレスパッドや、体で直接”音楽を感じる”ことができる、胸に着用するストラップなどが登場し、テクノロジーはミュージシャンとリスナーの両方にメリットをもたらしました。


今回NoCamelsでは、音楽シーンに革命を起こしているイスラエルのスタートアップ企業を4社紹介します。


JoyTunes(ジョイチューンズ)

新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、家で過ごす時間が増えている今。楽器を弾いてみるなど、新しい趣味を身に着けるいい機会かもしれません。

そこでテルアビブを拠点とするスタートアップ「JoyTunes(ジョイチューンズ)」では、ピアノ演奏の学習をサポートするアプリを作成しました。



この音楽学習アプリでは、独自の特許取得済みのMusicSense Engineテクノロジーを使用し、「音楽の学習、再生、体験方法の再発明」を提供しています。

ユーザーが演奏している音を認識して聞き取り、リアルタイムでフィードバックを返すことが可能です。


「ユーザーはたった3つの音を使い、数分で一曲目が演奏できるようになり、20分後には5つの音で演奏ができるようになり、1時間半で全曲を演奏できるようになります」と創設者のYuval Kaminka氏は語ります。


「私たちは常に学習方法を改善しています。ユーザー自身がどれだけ学んでいるか実感してもらうためのマイルストーンを探しているのです。」と彼は付け加えました。


2011年に設立されたJoyTunesは、世界中で1,000万人を超えるユーザーを抱えており、現在アメリカの音楽教師の10%が使用。音楽教育者とも協力し、学習機能や新しいゲーム機能をテクノロジーと組み合わせています。


ユーザーは、インタラクティブなリスニングやゲーム機能、その他音楽学習方法を備えたモバイルアプリを通じて、演奏方法を学ぶことができます。同社の最も有名なアプリであるSimply Piano(シンプリーピアノ)では、曲を演奏するために押すピアノキーを表示し、ユーザーは直感的に演奏ができます。



またJoyTunesは、AppleやGoogleからベストアプリの一つとして選ばれています。


JoyTunesはこれまでに、総額4300万ドルを調達しました。Kaminka氏は、「すべての世帯にリーチする」ことを目標とし、さらには「音楽学習のためのNetflix」のような存在になることを目指していると語っています。


ウェブサイト

https://www.joytunes.com/


Emeo(エメオ)

2020年7月初め、テルアビブに本拠を置くスタートアップ「Emeo」は、サックス奏者向けの史上初となる練習用デジタルホーンを発表しました。


サックス奏者が直面する問題、楽器の大きな音とミュートの難しさに対する独自の解決策をEmeoは提供します。



Emeoは、MIDIウィンドコントローラーとして知られている練習用デジタルホーンで、コンピュータに接続する電子キーボードのように機能し、USB、MIDI、またはBluetoothを介してコンピューターまたはスマートフォンのDAWプログラムと接続することで、いつでもどこでも演奏ができるようになります。本物のサックスのような感覚を味わえる点が、他のMIDIウィンドコントローラーとの大きな違いです。


Emeoはまた、物理楽器を使用した新世代のソフトウェアシンセサイザー、ImoxのRespiroと提携しており、音と動作を再現できる最先端のサウンドエンジンを搭載しています。


プロのサックス奏者である同社の創設者、Oleg Raskin氏は、若い頃サックスを練習する時の大きな音に対して、家族や隣人から苦情を受けていたと言います。



アコースティックルームや楽器の内部にパッド入りの特別なバッグを配置するなど、サックスをミュートするために色々と試しましたが、どれもうまく行かなかった、とマーケティングスペシャリストのMichael Simkin氏は語ります。


5年前、Raskin氏は友人のEvgeny Klukin氏と一緒に、テルアビブのWoodwind Labのオーナーであり、熟練した木管修理工のEddie Goffman氏とチームを組み、独自の実験を行いました。


そして実際のサックスから作られたプロトタイプを開発し、従来のサックスに可能な限り近づけた電子サックス「Emeo」がこれにより誕生。その後、電子エンジニアや他のミュージシャンもチームに加わりました。


Emeoの発売については、既に世界中のサックス業界で注目されており、有名なサックス奏者Rosario Giuliani氏は「どこでも演奏できる素晴らしい発明です。」と評価しています。



Emeoは2020年7月3日より予約注文を開始、2020年8月末より発送予定です。(日本からも注文可能。但し、発送に遅延が発生する可能性があります。)


今後もEmeoでは、様々な木管楽器の練習用デジタルホーンの展開を計画しています。


ウェブサイト

https://www.emeomusic.com/


RevPad(レヴパッド)

人々に感動を与える、ギターソロ。ギタリストはエフェクトペダルを使い、様々なサウンドエフェクトを創り出します。しかし複数のペダルを使うには、たくさんのケーブルで接続しなくてはなりません。


そこでイスラエルのスタートアップ企業「GTC Sound」は、革新的な発明「RevPad」を発表しました。「RevPad」は、独自のワイヤレスタッチパッドコントローラーで、楽器へ簡単に取り付け可能、これ一つで多くのサウンドエフェクトが作れます。これにより、ギタリストは厄介なペダル操作から解放されます。


「ギタリストはディストーション、エコー、トレモロ、ハーモナイザーなど、自分のエフェクターを持っています。コンサートに行ったことがある人にはわかるかと思いますが、ギタリストは時々床にあるペダルを調整するのにひざまずき、急いで立ち位置に戻るなんてことがあるのです」とGTCのセールスおよびマーケティングディレクターであるOded Elbonim氏は言います。



「RevPadは、マジックテープでギターに取り付けられるタッチパッドです。簡単に取り外して別のギターに移すことができます。」と彼は続けます。


ペダルなしのサウンドコントローラーという概念は新しいものではありませんが、コンピューターにインストールされているサウンドエフェクトソフトウェアに接続する必要のないワイヤレス製品はごくわずか。RevPadのタッチパッドは、少なくとも30種類の効果音がロードされるまで、RevPadベースと通信します。


Elbonim氏によると、RevPadはこれまでにSteve Vai氏、Vernon Reid氏、そして2006年から2014までGuns N’ Rosesのリードギタリストを務めたRon “Bumblefoot” Thal氏など、世界的に有名なギタリストに高く評価されてきました。他にも、電子バイオリンを弾くスイスのミュージシャンとも協力しているそうです。



RevPadはアンプに接続されているため、アンプに接続する全ての楽器でRevPadが使用が可能。但し、ギターのサウンドエフェクトは必ずしもバイオリンに適していないため、エフェクトを変更する必要があります。 エフェクトは社内のスペシャリストがアルゴリズムで記述しているそうです。


Kiryat Haimに本拠を置く同社は、個人出資により設立され、現在社員約8名が在籍。 RevPadはGTCのウェブサイトで現在$ 644.99で販売されています。パッドのみの場合は$ 149で入手できます。


「世界は新しいテクノロジーに対してよりオープンになっています。ミュージシャンはこだわりが強い傾向がありますが、以前とあるミュージシャンと話をしたときに、RevPadを使ってみたいと言っていました。たくさんのスイッチを操作するわずらわしさがなくなり、タッチパッド一つですべてをコントロールできるのです。」


ウェブサイト

https://www.gtcsound.com/


Woojer(ウージャ)

2011年に設立された、アメリカとイスラエル共同のスタートアップ企業「Woojer」は、音楽とオーディオを強化して文字通り「音を感じさせる」独自のポリフォニック「ハプティックテクノロジー」を開発しました。



耳に装着するヘッドフォンではなく、ストラップやベストとして着用するこのウェアラブルデバイスは、低音の周波数を正確に再現し、感触的に音楽を体に直接届けることができます。


「私たちは、聴覚に障がいのある方でも、コンサートや劇場に行ったときに、他の人と同じ体験を非常に正確に再現するための触覚を与える独自の特許取得済みコンポーネントを持っています」と、Woojer共同創設者兼CEOのKfir Bar-Levav氏は述べています。


Woojerの技術はあらゆる音の低周波数をくみ取り、それを身体が感じる振動に変換しています。



昨年末、同社はIndiegogoでクラウドファンディングプロジェクトを実施し、2万人以上の支持者により400万ドル以上を調達。 プロジェクトはまだ実施されていますが、すでに製品の出荷が始まっています。また昨年キックスターターでも、クラウドファンディングプロジェクトを実施しました。


Woojerは、体験型ゲームやバーチャルリアリティにも使用されています。

同社はこれまでに300万ドルの売り上げを達成しました。


ウェブサイト

https://www.woojer.com/