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BUSINESS

持続可能な食を保護するBiotipac社が20万ドルの投資を獲得

Week 8 - Biotipac

by The ACT Hub |2021年08月31日

フードテックスタートアップ特集 – Food Tech Startup of the Week – は、ISRAERUウェブマガジンがThe ACTHubとの提携でお届けするイスラエルのフードテック業界のスタートアップを紹介する週刊シリーズです。今注目を集めているフードテックの新しい技術とそれを開発するスタートアップ企業のCEOや創設者を取材し、ベンチャー事業の奮闘、企業の成長やサクセスストーリーなどをお伝えし、イスラエル企業への投資を検討している日本企業へ情報を提供すると共に、同じ軌跡をたどろうと夢見る未来の起業家たちへ、彼らのノウハウやインサイトを提供します。



今週のスタートアップ企業 – Biotipac

サステナブルな食品と穀物の保護のため、消費者と環境、その両方に優しいバイオ貯蔵とバイオ管理を提供するスタートアップ企業Biotipac


Biotipac ロゴ

農産食品業界における女性主導のベンチャー企業を成長させることを目的とした「女性による全国農産食品コンテスト」が開催され、Ifat Hammer氏を含む6社のファイナリストによる、最終審査に向けたプレゼンテーションが行われました。全てのファイナリストには、それぞれの事業のプレゼンテーションと共に、審査員からの質問に答える機会が与えられ、その結果Biotipac社が優勝。多額の賞金と権利を受け取ることになったのです。この賞には、COPIA Agro & Food Technologies社提供による20万ドルの投資資金と共に、共有ワーキングスペースの権利、様々なビジネスサポート、そしてメディアを通じて自身の事業をPRできる権利が含まれています。


Biotipac 創設者兼CEO Iftat Hammer
Biotipac 創設者兼CEO Iftat Hammer

私たちはIfat Hammer氏へのインタビューで、食品業界に身を置く女性としての心情、そして様々な経験を取材することができました。


―――ここまでやってこれた事に関して、あなたの思いをお聞かせ下さい。これまでの道のりを振り返った時、大きな転機となった事はなんだったでしょうか?

今まで、この業界に精通している、とても献身的なビジネス上の助言者に恵まれてきました。私たちの事業計画を補強頂き、私どもの強みと価値をより明確にすることができたのだと思っています。投資家の目を通すことで、私どもの事業計画自体は、より優れたものになりました。


会合を重ねる毎に、この会社の更なる成長を実感する事が出来ましたし、自身の、この事業にかける熱意もより大きくなっていったのです。今までの道のりの中で私どもを支援して頂いた方々、特にACT Foodtechチームの皆さんには、本当に感謝しています。


この素晴らしい賞の受賞に感謝をすると共に、Biotipac社が今後、農産食品スタートアップ企業の中で確固たるポジションを築ける土台を頂けた事は非常に光栄な事だと感じています。


また、この選考を通じて、他のファイナリストの皆さんと知り合えた事も、私にとっては貴重な体験でした。皆さん、とても優秀で、その革新的な技術やそれぞれのリーダーシップには非常に感銘を受けました。



―――女性である事が一つの原因で、時には苦境に陥る事もあると思います。そのような時、どんな事を糧に、ビジネスを進めていらっしゃったのでしょうか?

私自身、長い間、いわゆる「伝統ある産業界」に身を置いてきました。そこでは、男性は瞬く間に指導的立場を獲得し、重役にまで達していくのに対し、同等もしくはそれ以上の能力を持った女性たちでさえ、指導者的な立場に達するためには、本当に一歩一歩進んで行くしかなく、その努力もいわゆる「ガラスの天井」に阻まれる事もしばしばです。結局私は、自身の「ガラスの天井」をわざと設け、自身の仕事と私生活に全力を注いできました。誰かから、直接であれ、間接的にであれ、私に何かをする能力はないなどと言われて落ち込んだ時にも、別段反論はしません。ただ仕事を進めるのみです。継続する事、そして自身を信じる事、それがこの世界の中で生き残っていく術なのです。誰も他人の仕事の業績や結果を評価する事はできないのです。成功とは、まさに疑問を挟まむ余地の無い、紛れもない事実なのですから。


―――今までのご経験の中で、女性の起業家として苦労された事はありますか?そして、どのようにしてそれを乗り越えてらっしゃったのでしょうか?

女性たちは未だに、この世にインパクトを生み出す指導者や重役、起業家として、世間から見なされていないと感じています。なので、私自身は、男性の2倍働かざるを得ませんでした。「いい加減な仕事」や間違い、プロとしての自覚の欠如、といった事への言い訳は全く効きません。それを乗り越えていくために、何らかの研究結果の発表の際には、何度も実証実験を重ね、本当にそれが正しい結果であるのどうかをしつこく確かめた上で発表を行なってきました。しかし、こういった過程は、開発が初期段階にあるような投資段階初期の企業には、本当に大切な事なのです。幸運なことに、私はそんな努力を惜しむような人間ではありません。「良い製品は、それ自体で売れる」事を心から信じていますし、卓越した価値が製品にあれば、誰にもその事を議論する余地はないからです。


―――食品産業界に身を置く女性たちに向けて、他に何か一言、お願いします。


10年前に、起業家になってスタートアップ企業を興してみたら?、などと誰かに言われたら、多分「無理だわ」と答えていたでしょう。その時点でも、製品開発の分野で、十分かつ証明された経験を持っていたにも関わらず、起業家になるという事は、全く別の能力が必要だからと思っていたからです。でも、数年前にテクニオン・イスラエル工科大学でMBAを習得したばかりの私にとって、恐れるものは何も無いんだ、などという事に気付く事が、その時、果たしてできたでしょうか。もし、もっとたくさんの女性たちが、自身のアイデアを事業化し、起業をしていれば、その後にもっと沢山の女性たちが続いていく事でしょう。そういった意味では、教育と、そしてサクセスストーリーの積み重ねが重要だと考えています。


でも、それだけでは足りないでしょうね。性不平等の根っこは、女性の仕事に対する世間一般の受け取り方にあります。その事は、何度も伝統的な企業の中で見てきました。例えば、品質管理に責任を持つ食品技術者は「クオリティ・アソシエイト」と呼ばれていますが、もしその職を男性が行えば、そのタイトルは「クオリティ・マネージャー」になってしまうんです。男性たちは、アシスタントに支えられてチームマネージャーへと出世しますが、他方、女性はと言えば、その技術職を極めることしか期待されていません。これが不平等の根っこにあるものです。社会でも、家庭でも、また学術の世界においても、女性たちは指導者や起業家と(それが、自身の評価であれ、周囲からの評価であれ)見なされていません。そして、こういった事は、無意識のうちに投資家たちにも影響してしまうのです。こんな状況を変えていくのは、やはり私たち女性の責任であると私は強く思っています。私たち女性は、自身の能力をより周囲に評価せていく事が重要ですし、こういった世間の評価を変えていく事こそ、女性にが成功を勝ち取っていく上で、とても大切な事だと考えています。


Biotipac

https://www.biotipac.com/