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BUSINESS

PMF(製品の市場適合度 = Product Market Fit)を最大化するための5つの確認事項

by サムライインキュベート |2021年04月27日

新規のビジネスを始める際、もしくは新商品を世に出す際、最も重要な尺度の一つが、PMF(製品の市場適合度 = Product Market Fit)です。



では、このPMFとは、実際には何を意味するのでしょうか。まずは理想的なゴールから考えていきましょう。成功した商品とは、狙ったターゲットにちゃんとリーチし、彼らがその商品を好んで使ってくれており、その上で、周りにもその商品を推奨している、という状態ですね。当たり前と言えば当たり前のことなんですが、実際にはそんなに簡単なことではありません。


近年、様々なレポートが、起業家の失敗する一番の理由として、このPMFの失敗を挙げています。言い換えれば、君の製品は単純に市場価値ゼロなんだよ、という、まあ身も蓋もない言い方になりますね。どんなベンチャーキャピタルでも、近年、判で押したように口を揃えて、どんな製品の成功にも、その製品に対して適切かつ相応しい市場の存在がなくてはならない、などと言ったりしています。市場に買い手がいなければ、その製品には全く存在価値が無い、ということです。


新商品の切り口としてまず考えられるのは、巨大な市場がそこに存在し、その中で現状の商品群が抱える問題を探り、それに対して適切な解決策を与える商品を開発することでしょう。しかしこのアプローチは、いつも成功するとは限りません。仮に開発できたとしても、その新たな「鎮痛剤」は、とてもマイナーな綱渡り的存在にならざるを得ません(そして多分、完全に異なる課題を抱えることになるでしょう)。


もし解決策を持っているとしたら、その時こそ、「何を売ろうとしているのか?」「誰がそれを熱望しているのか?」と自らに問うべきです。


今回、究極のPMF状態に達するために必要な5つの確認事項を作ってみました。


1. ターゲットは誰?

市場セグメンテーションの一つのプロセスとして、ターゲットが誰なのかを規定するのは、誰のためにその製品を作っているのかをちゃんと理解していくためにも、なくてはならない過程です。たとえもしジャストアイデアから始めたとしても、その商品を誰に売ろうとするのかを考える時、こんな言葉を思い出してください。正確に、ユーザーは誰なのか、買い手は誰なのか、を把握する事(ユーザーと買い手が異なることも多々あります)。


2. ターゲットのニーズは何?

ターゲットのニーズ、そしてその痛点を知ることは、競合との差別化を図る上で重要なことです。もし、同じ目的のため、多くの競合商品が同じ解決策を提示しているとしたら、自社商品を選んでもらえる理由は無くなってしまいますよね。


そして、この質問は、ダイレクトに次の質問に繋がります。


 3. 製品の主要な価値は何?

優れたPMF戦略を形作るためには、自社製品のどこに優位点があるのかをしっかり見極めることです。より独自の、そしてよりエッジの効いた製品価値を持っていれば、競合との差別化も容易になります。


4. MVPの準備はOK?

MVP、即ち実用最小限の製品 (= Minimum Viable Product)とは、一番ベーシックな機能を持つプロダクトラインのことを指します。製品を正しい方向に進化させるためには、このMVP (必要最小限の製品)にとって、何が一番重要な特徴であるのか、しっかり把握することが重要です。競合の研究から掴んでいくことも大事ですし、実際の(もしくは潜在的な)ユーザーから情報を得ることもできるでしょう。何にせよ、自身のアイデアを披露することに躊躇しないことです。実際に市場で稼働できるMVPはどのようなものなのか、その市場の問題に対する解決策を含んだ、かつ、市場の中で相応しいMVPを開発とはどういうことなのか、ここからは起業家の皆さんの手腕次第です。


5. テストは行った?

ターゲットが確定したのなら、彼らに自社のMVPを貸与し、フィードバックをもらいましょう。ユーザーのニーズ、市場のニーズを知るためには、やはり試用してもらうことが大事です。実際に開発者が考えていたように使ってもらえるのか、この段階でしっかり見極めましょう(ネタバレ注意 : 想像していた使い方と全く異なることだってありますからね!)。でも、気落ちしないように。まだテスト段階です。トライ&エラーで作っていくのは時間がかかることです。


これらのフィードバックを得たら、あとは、4と5のプロセスを愚直に繰り返すことが大事です。その都度、新たな発見があり、最小限機能のMVPも、理想的なPMF(製品市場適合)に向けて進化させていけるはずです。


全ての結果に満足が行けるようになったら、さあ、発売です!


ケーススタディ: Dogiz

私たちのポートフォリオ企業の一つであるDogizは、非常に優れたPMFを実行しています。Dogizの創立者でありCEOであるAlon Zlatkin氏に、どのようにしてPMFを獲得したか、お聞きすることができました。



1.まず最初に、Dogizのサービス対象となるようなペット問題を抱えており、支払い能力もあるような人々の人口を出すところから始めました。基本的には、都市部のドッグオーナーで、仕事が多忙のため、あまりペットとの時間を作れないような人たちですね。


2.次に、どのようなニーズが存在するかの確認です。その製品が解決可能な実際の問題点です。Dogizの場合、飼い主が忙しい毎日を過ごしている間、実際にペットに寄り添い、ペットが必要な様々なサービスをしっかり受けられるようにする、ということですね。Dogiz自身はそのニーズをしっかり把握しています。すなわち、上記のようなターゲットの人々は、単なる犬の散歩代行者のような誰が来るか分からないようなサービスではなく、飼い犬の世話をプロフェッショナルに行ってくれる信頼できる人間を探している、というニーズが存在している、という事です。


3.マーケットの分析から、Dogizは、飼い犬の世話をプロフェッショナルに行ってくれる信頼できる散歩代行サービスの担当にすぐに繋がる、という競合差別化要因を持っているということに気づきました。Dodgizは、飼い主とプロのペットサービスを、本当にワンクリックで繋ぐ事ができるプラットフォームを持っているのです。


4.Dogizの最初のMVPは、本当にシンプルなもので、必要最小限の機能しか持っていませんでした。代行散歩者の予約と、予約と支払いステータスのアップデートをするだけのものだった訳です。


5.しかし実際のペットオーナーから様々なフィードバックを受けた現在、Dogizは、一つのエリアで非常に密接に連絡を取り合えることのできるグループを作り、パートナーシップを組むようにしたのです。Dogizでは、ペットケアに携わる人間とドッグオーナーの双方に、彼らのアプリを使用して、どんどんフィードバックを送ってくれるよう、依頼しています。


このようにして、自社のサービスに対する様々な、しかもリアルな情報を受け取り、そのインサイト情報を使って、Dogizは日々自社のアプリとサービスの質の向上を続けているのです。


こういったプロセスを経て、Dogizは現在、その営業を2カ国にまで広め、何千人ものユーザーを抱えるまで成長したのです。まさに、究極のPMFを手に入れた、と言っても過言ではないでしょう!


サムライ・インキュベートは、成長期にあり、私たちの生活を向上させてくれる、様々なスタートアップへの投資を行っています。様々なベンチャーの初期段階から、より成長した段階までのパートナーとして機能し、最終的には日本市場への参入をサポートします。私どもでは、現在、B2Bのサービス(特に、ソフトウェアとテクノロジー系)を提供する、以下の分野の初期段階にある企業を探しています。医療、建設、流通、仮想通貨、クリーンテクノロジー、金融テクノロジー、保険テクノロジー、MaaS、小売業、センサー技術など。最高50万ドルまでのプレシード投資の用意があり、いつでもお話を聞く準備があります。


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