シャローム hello こんにちは。イスラエル在住のクニコです。
5月9日は母の日。イスラエルでは、母親を支援する制度があるため、仕事と家庭を両立しながら活躍する母親が大勢います。
今回は、イスラエルで有名な病院ラビンメディカルセンター(Beilinson病院、Hasharon病院)のカスタマーサービス&患者経験部門で、ディレクターとして活躍する、弁護士のエフラット・ミルナーさんにインタビュー。ご主人と一緒に3人のお子さんを育てながら、仕事でも活躍しているエフラットさんに、そのたくましい生き方についてお話を伺いました。
―――まずは弁護士としてのことを伺いたいと思います。どのようにして弁護士の資格を取得したのですか?
1992~1996年まで、仕事をしながら学生として法律を学びました。イスラエルには、ボランティアとして生活の苦しい家庭の子どもや母子家庭の子どものお世話をすると、政府から学費援助を受けることができる特別な制度があります。私はこの制度を利用し、法律の勉強をしていました。そしてスタージと呼ばれる弁護士訓練期間を経て、弁護士の資格を取得したのです。
―――もともと弁護士になりたかったのですか?
弁護士になりたかったというよりは、法律を勉強したかったのです。勉強を始めて4年半後に弁護士の資格を取得しましたが、犯罪や契約、税金といった分野は何か心に響くものがなく、自分には向いていないことがわかりましたね。
そこで新聞社で健康関連専門のジャーナリストとして働き始めました。ここでの仕事はまさに週7日24時間勤務といった感じでしたね。健康関連専門ジャーナリストとして、イスラエルにあるすべての病院事情を把握していました。当時、多くのテロ事件が勃発しており、眠る暇もない日々が続き、次第にジャーナリストの仕事は自分に向かないのではないかと思うようになりました。
弁護士の友人の中には、国連で女性の尊厳や自由を主張し、女性を保護する機関に参加したり、人権および移民コンサルタントとして活動したりする人もおり、私も人のためになる仕事をしたいと思っていました。
―――ジャーナリストの仕事はとても過酷ですね・・・。それではどのような経緯でBeilinson病院で働くことになったのでしょうか。
ちょうどその時期、イスラエルの大手病院の一つ、Beilinson病院でカスタマーサービス&患者経験部門のディレクターの求人情報を見つけたのです。そこで応募してみたところ、多くの応募者の中から私が選ばれました。それが2002年のことですので、19年にわたりこの仕事に従事しています。
―――具体的にはどのようなことをしていますか?
全ての組織には、オンブズマンと呼ばれる組織の違法行為などを調査、処理する公務員の仕事があります。これにカスタマーサービスを合体させた仕事と言えるでしょう。病院では、患者のための設備や環境に問題がないか確認し、改善に向けて管理していくのが私の仕事です。
長年この仕事に情熱を持っており、病院はまるで家族のような存在ですね。
―――多くの女性が仕事と家庭の両立に悪戦苦闘していますが、エフラットさんはどのようにして両立させているのですか?
私の仕事は8時間を超えることもあるため、家を空けることが多いのですが、その場合は夫が子どもの世話をしてくれています。イスラエルには、母親のための産休のほかに、父親が産休を取り、母親が仕事に復帰するシステムがあるんですよ。半年から最大一年間、給料をもらいながら仕事を休み、育児に専念することができるので、とても助かります。またイスラエルでは、ほとんどの家庭で家族や夫の理解やサポートがあることも重要な点です。他にも私の働く病院では、従業員の子どものためのサマーキャンプがあり、病院自体が家族として子育てをサポートしてくれるのです。
―――家族の理解やサポートは、仕事と家庭を両立するために欠かせない点だと思います。お子さんの反応はどうですか?
私には14歳の息子と12歳の双子の娘がいますが、みんなとても私を尊敬、理解してくれており、色々な家事を手伝ってくれます。仕事から帰宅すると、既に夕食が用意されていることもあり、とても嬉しいですね。特に娘たちは率先して料理をしたり、ケーキを焼いてくれたりします。私と夫はいつも子どもを優先し、愛を持って接しています。全ての関係に愛は必要ですね。
―――素敵なお子さんたちですね!それではご主人と良い関係を保つ秘訣はありますか?
主人も私の仕事のことをよく理解してくれており、良きパートナーとして家事や子育てをサポートしてくれています。
重要なのはお互いの尊敬、理解、そしてスペースです。そしてお互いに妥協しあい、譲り合うことも大切です。また時々一緒に出掛けることも大切なことの一つでしょう。
―――まさに夫婦の鏡ですね。ちなみにイスラエルでは母の日をどのように祝うのですか?
一緒に食事に出かけたり、主人や子どもたちが花やプレゼントを贈ってくれますね。実はイスラエルでは母の日が家族の日と呼ばれるようになったのです。私としてはぜひ母の日に戻してもらって、さらに毎日が母の日だと嬉しいのですが。(笑)
今回エフラットさんのお話を伺い、家庭か仕事かのどちらかを選択するのではなく、家庭も仕事も両立させることは可能だと強く思うインタビューとなりました。もちろんそのためには家族の理解とサポートが必要です。日本でももっと多くの女性が家庭と仕事を両立させ、活躍していくことを応援しています。
それでは、次回をお楽しみに!レヒトラオット!さようなら!