フードテックスタートアップ特集 – Food Tech Startup of the Week – は、ISRAERUウェブマガジンがThe ACT Hubとの提携でお届けするイスラエルのフードテック業界のスタートアップを紹介する週刊シリーズです。今注目を集めているフードテックの新しい技術とそれを開発するスタートアップ企業のCEOや創設者を取材し、ベンチャー事業の奮闘、企業の成長やサクセスストーリーなどをお伝えし、イスラエル企業への投資を検討している日本企業へ情報を提供すると共に、同じ軌跡をたどろうと夢見る未来の起業家たちへ、彼らのノウハウやインサイトを提供します。
今週のフードテックスタートアップ – SOOS テクノロジー
SOOS テクノロジーは、主に産業用孵化場におけるオス鳥の駆除回避と、生産効率の低下などの養鶏産業が直面している様々な問題に取り組む生物工学企業です。
CEO ヤエル・オルター(Yael Alter)氏インタビュー
―――なぜSOOSテクノロジーを立ち上げようと思ったのですか?
Yael: 私はSOOSテクノロジーを始める前からこの分野に長く携わっており、以前は世界的に知られている養鶏産業、農業系企業のCEOを務めていました。その際、養鶏産業の生産過程では、メスのひよこは必ずオスのひよことセットで生まれてきますが、オスは生まれて間もなく処分されてしまうという事実を学びました。
それが私にとって鶏卵の生産業へ多大な影響を与えている問題を目の当たりにする機会となり、何か改革ができないかと思うようになりました。起業をしたきっかけは、後に私の同僚で共同創設者となるナシャト・ハジュ・モハメッド(Nashat Haj Mohammad)氏と産業関係のイベントで出会ったことでした。
彼から、音の振動が家禽の胚の性転換を引き起こすことができる可能性を発見したと話を聞き、養鶏産業に長く関わりがあった私は、それは生産者にとってゲームチェンジャーとなりえる画期的なことだと目を付けました。ナシャト氏の素晴らしいアイディアを元に、私は事業開発の面でサポートをし、共同で起業することとなりました。2017年にTakwin Lab社からおよそ400万USドルの起業投資を受け、SOOSテクノロジーを設立することができました。
――― SOOS テクノロジーの特徴は何ですか?
当社のユニークな特徴としては、必要な物質的資源およびリソースの量を変えることなく、より多くの雌鶏の生産を可能にすることです。我々SOOSテクノロジーは、孵卵段階で家禽の胚の性分化過程(染色体変)に影響を与え、遺伝的な雄の層を、産卵できてより機能的な雌の層に変えることができる孵化システムを開発することに成功しました。
私たちのソリューションには拡張性があり、同時に孵卵した卵の個体数全体に影響を与えます。この手順では、インキュベーター(孵卵器)に音の振動を加える装置とソフトウェアを制御するレイヤーを設置することで、非侵襲的かつ非遺伝子組み換え、さらに非ホルモンベースのソリューションを提供し、同時に産業的な孵化循環を維持することが可能です。
――― Yaelさんにとって、この事業へのモチベーションとなるものはありますか?
私は、50年代に南アフリカからイスラエルに来た移民の家族の中で育ちました。私の両親はとても教育熱心で、私が真面目で、何事に取り組むような独立した人間となるようにと教育されました。私の価値観はそれが基盤となっていて、仕事にも私生活にも反映されています。
私のモチベーションは養鶏産業のイノベーションです。新しい技術の開発とその可能性は養鶏産業の改善につながるもので、興味をそそられます。また、SOOSの才能にあふれたチームも日々のモチベーションの力となるものです。私たちは小規模だけれど、みんなが献身的でつながりを大事にしているチームです。
――― 食料持続性を可能とする技術を利用していますが、未来へ向けて新たなビジョンはありますか?
私のビジョンとしては、SOOSのプラットフォームのケーパビリティーと機能の改善、そして養鶏産業における生産と廃棄物の問題に対しさらに説得力のあるソリューションを開発および提供し、より多くの雌鶏の生産を可能にして雄鶏の不要な処分をなくすことで、動物福祉の問題を段階的に解決していきたいと思っています。
SOOSテクノロジー 公式ウェブサイト: http://www.soos.org.il/
写真・情報提供: SOOSテクノロジー
写真撮影: Jordan Kastrinsky
インタビュー: The ACT Hub