4月22日はアースデイ。「地球環境について考え、行動する」世界規模の記念日です。私たちの暮らしが環境にもたらす悪影響によって、世界規模の気候変動が起こり、さらに生活や経済を圧迫する負のスパイラルが続いています。一人一人が、いまできることを考えて行動に移すことが必要とされる現在、農業についても新しいアプローチが求められています。

目次
水田からの転換が、未来の食を変える
世界中で主食として親しまれている「米」。その生産は何十億もの人々の食を支える一方で、環境に大きな負荷を与えているという側面も持っています。
従来の水田農法では、大量の水を使用するだけでなく、温室効果ガスであるメタンの排出源にもなっています。実際、稲作は世界の淡水使用量の約30〜40%を占め、メタン排出量の約12%に関与しているといわれているのです。
食料需要が増え続ける中で、「どう生産するか」が、いま強く問われています。

5,000年続いた常識への挑戦
こうした課題に対し、新たなアプローチを提示しているのが、点滴灌水のパイオニアであるイスラエルのアグリテック企業「Netafim ネタフィム」です。
同社は約20年前、長年当たり前とされてきた“水で満たす稲作”に疑問を投げかけ、点滴灌水による稲作技術の開発に着手しました。科学的な研究に基づいた方法で確立されたこの技術は、従来の稲作のあり方を根本から見直すものです。
「水を張らない稲作」がもたらす変化
点滴灌水を用いた稲作は、これまでの常識とは大きく異なります。
まず、水田を維持する必要がないため、水の使用量を大幅に削減できます。さらに、肥料やエネルギーの効率も向上し、生産コストの削減にもつながります。
さらに、メタン排出量は大幅に低減され、土壌環境の改善や米の品質向上といった副次的なメリットも生まれます。
その結果、これまで稲作が難しかった起伏のある土地でも栽培が可能になり、農地の可能性そのものが広がっていきます。

サステナブルと収益性は両立できるのか
環境にやさしい取り組みは、時にコスト増と引き換えになると考えられがちですが、この新しい稲作モデルは、その前提を覆します。
たとえば、点滴灌水と直播栽培を組み合わせることで収穫時期を前倒しでき、収穫後に別の作物を育てる「輪作」が可能となります。これにより、年間の作付回数を増やし、収益の向上が実現できます。
作物の多様化は収入の安定にもつながり、同時に土壌の健全性を保つことにも貢献します。
「水を張らない稲作」によって、サステナビリティと経済性、その両立が現実のものとなりつつあるのです。
世界に広がる実証と成果
この取り組みは、すでにインドや中国、東南アジア、さらにはトルコなど、世界各地で導入が進んでいます。
インドでは、水使用量の削減と収量の向上を同時に実現し、農家の収入が大きく向上。トルコでは、これまで不可能とされていた地形での稲作が可能になりました。
地域ごとの課題に応じて適応できる柔軟性も、この技術の大きな強みです。

環境価値を「経済価値」に変える仕組み
さらに注目されているのが、カーボンクレジットへの取り組みです。企業努力によって削減・吸収されたCO2などの温室効果ガス量を「排出権」として認証し、企業間で売買できる仕組みで、日本市場でも拡大しています。
点滴灌水によるメタン排出削減は、環境価値として評価され、農家に新たな収入機会をもたらします。持続可能な農業の実践が、直接的な経済的リターンにつながる仕組みが整いつつあるのです。

未来の稲作は、もっと自由になる
気候変動、水資源の制約、そして増え続ける食料需要。これらの課題に向き合う中で、稲作は、いま大きな転換点にあると言えるでしょう。そして、水田という固定観念から解き放たれた新しい栽培方法は、環境への負荷を減らしながら、生産性と収益性を高める可能性を秘めています。
サステナブルであることは、もはや“選択肢”ではなく“前提”へ。
ネタフィムが推進する「点滴灌水による水を張らない稲作」をはじめ、その実現は、技術と発想の転換によって、すでに始まっています。
日本人の主食である大切な「お米」を守るために。地球環境について考え、行動するアースデイに、あなたも未来の農業について考えてみませんか。


