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現場での確認が必要な業界における、遠隔コミュニケーションの限界
建設業界では、専門知識をもった複数の担当者が実際の現場に赴いて、建設状況を確認する必要があります。建設現場は大手であれば、多くの地域で何ヵ所にも及び、一日に訪れる事ができる現場の数は限られます。非効率であると共に、担当者の移動にかかる負担も見逃せません。さらに建設業界では、ダム工事やトンネル開通工事、地下作業など、危険を伴う工事が多く存在します。常に現場での監修が必要とされるのは、最善の策とは言えません。
現在は、電話、テキストメッセージ、ビデオ会議ツールなどを遠隔コミュニケーションツールとして活用していますが、現場に赴いている間は、外部の専門家とのやり取りが複雑になったり、また現場にいなければ、専門知識を作業員に指導することも難しいのが現状です。このように、「現場」を訪れることが通常の業界では、既存の遠隔コミュニケーションツールでは限界があり、新しい技術の必要性が高まります。
VR技術を活用した、次世代コミュニケーションツールの「Clone (クローン)」
2018年創業のイスラエル発のスタートアップ企業「Clone (クローン)」は、VR (バーチャル・リアリティ) 技術を駆使し、ホログラムによるクローンを現場に出現させることを可能にします。専門知識をもった担当者は、会社にいながら現場を複数箇所バーチャルに訪問することができ、業務の効率化を図ることができます。さらに、現場の作業員もこの担当者の声、手の動き、動作全体を身近に確認することができ、ホログラムによる担当者のクローンが自由に現場を確認して回ります。
Cloneは既に、米国を中心にベータ版を展開し、大手の建設企業が複数社ベータプログラムに参加しています。現場作業員はまずCloneのリアリティ・キャプチャー技術で、タブレットやハンドセットで現場をスキャンします。このスキャンした現場は、遠隔にいる担当者にリアルタイムでストリーミングされます。そして遠隔の担当者は、現場にモノグラムで出現することができます。このような一連の簡単な操作方法にも関わらず、その解像度や精度の高さからベータプログラムは大変高い評価を受けています。
パンデミックの影響を受ける2020年と、この先を見据えて
2020年は世界的なパンデミックに襲われ、様々なビジネスのあり方に変化が生じました。このVR技術を活用した、次世代コミュニケーションツールを展開するCloneの創業チームは、実はまだ20代の若者です。イスラエルでは、高校を卒業する18歳から男子は3年、女子は約2年の兵役義務があります。そしてスタートアップ創業者は、兵役時代の経験や培った技術をもとに起業するケースが多いのが特徴です。兵役時代のことや、Cloneの生い立ちについて、CEOで共同創業者のタル・マニュエル・ジポリ(Tal Manuel Zipori)氏から貴重なお話を聞く事ができましたので、皆様にご紹介いたします!
ーーCloneを創設したきっかけは何ですか?
兵役時代は、イスラエル軍のエリート部隊で3Dテクノロジーの開発に携わっていました。実際に人が近づくことが出来ないような場所にテレポートさせる技術です。このVRを活用したテレポートの可能性に、その頃からずっと深い魅力を感じています。そしてVRへの情熱と知識がClone誕生の起源です!Cloneが目指しているのは、自分の場所に関係なく、どこへでも移動でき、共同作業を行うことができるプラットフォームを構築することです。
ーー今後、どのようなビジネス展開をしていきますか?
Cloneは次世代のコミュニケーションツールです。実際に自分がいる空間と、他の空間を共有することができます。私たちは、このプロダクトを電話で会話するように、簡単な操作方法で気軽に利用できるツールにしたいと考えます。もう距離感なんて気にせずに指導、サポート、点検、共同作業などができるような画期的なツールです。また2020年は、世界的に遠隔で働くことが今まで以上に注目されています。Cloneはどんな業界の企業であっても、ニーズに適うのであれば是非ベータプログラムにご参加いただきたいと思っています。ウェブサイトからお気軽にお問合せ下さい!
<ウェブサイト(英語)>