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イスラエル人数学者2人が「数学界のノーベル賞」ウルフ賞を受賞

by ISRAERU 編集部 |2026年10月21日

イスラエルの数学者、デイビッド・カズダン教授(ヘブライ大学)とヨセフ・ベルンシュタイン教授(テルアビブ大学)が、2026年のウルフ賞数学部門を共同受賞しました。両氏は現代数学の発展に大きな影響を与えた研究成果が評価され、「数学界のノーベル賞」とも称される世界最高峰の栄誉に輝きました。


表現論や代数学で用いられる数学式のイメージ

世界が認めたイスラエルの数学研究

ウルフ賞は1978年に創設された国際的な学術賞で、数学、物理学、化学、医学、農業などの分野で優れた業績を残した研究者に贈られます。特に数学部門は世界で最も権威ある賞の一つとして知られ、多くの受賞者がその後さらに大きな評価を受けてきました。


2026年の数学賞は、カズダン教授とベルンシュタイン教授が長年にわたり取り組んできた「表現論」と呼ばれる研究分野への貢献に対して授与されます。受賞者は10月1日にエルサレムの大統領官邸で発表され、授賞式は2027年6月に行われる予定です。


数学部門を含む国際学術賞ウルフ賞のロゴ

「表現論」とは何か

一般の人にとって「表現論」という言葉はあまりなじみがないかもしれません。
表現論とは、複雑で抽象的な数学の構造を、行列やベクトル空間といった比較的扱いやすい形で表現し、その性質を理解しようとする研究分野です。数学における「対称性」を理解するための重要な理論として発展し、現代物理学や暗号理論などにも深く関わっています。


今回評価されたのは、代数学、幾何学、数論といった異なる数学分野を結び付ける研究です。両氏の成果は、それぞれの分野の研究者が共通の言語で議論できる基盤を築き、現代数学の発展を大きく後押ししました。


黒板に数式を書く数学研究のイメージ

デイビッド・カズダン教授の功績

1946年生まれのデイビッド・カズダン教授は、世界的に著名な数学者の一人です。
とくに「カズダンのT性(Property T)」と呼ばれる概念は、群論や表現論の分野で極めて重要な役割を果たしています。また、数学者ジョージ・ルスティグとの共同研究によって生まれた「カズダン=ルスティグ理論」は、その後の表現論や代数幾何学の発展に大きな影響を与えました。


イスラエル国内でも高く評価されており、2012年にはイスラエル賞を受賞しています。


デイビッド・カズダン教授(Photo:Wikimedia Commons)
デイビッド・カズダン教授(Photo:Wikimedia Commons)

ヨセフ・ベルンシュタイン教授の功績

1945年生まれのヨセフ・ベルンシュタイン教授もまた、現代数学を代表する研究者です。


微分方程式や代数幾何学の研究を通じて、数学の異なる分野を結び付ける新たな手法を確立しました。特に「ベルンシュタイン=佐藤多項式」は数学界で広く知られており、その後の研究に大きな影響を与えています。


また、表現論と代数幾何学を結び付ける研究の中心人物として活躍し、多くの若手研究者にも影響を与えてきました。


ヨセフ・ベルンシュタイン教授(Photo:Wikimedia Commons)
ヨセフ・ベルンシュタイン教授(Photo:Wikimedia Commons)

基礎科学が支えるイスラエルの強さ

イスラエルはスタートアップ国家として知られていますが、その強さの背景には基礎科学への継続的な投資があります。


今回の受賞は、すぐに製品化される技術やビジネスではなく、人類の知識そのものを広げる純粋数学の研究が世界的に評価されたものです。AIや量子コンピューターなど最先端技術が注目される時代だからこそ、それらを支える数学や基礎研究の重要性が改めて注目されています。


カズダン教授とベルンシュタイン教授の受賞は、イスラエルがイノベーションの国であるだけでなく、世界の知の最前線を支える研究大国であることを示す象徴的な出来事と言えるでしょう。


*本記事はイスラエルメディアHayadanの報道をもとに構成しています。