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LIFESTYLE

先進国での出生率は世界一!?イスラエル流子育ての秘訣とは

by 木村 リヒ |2020年06月18日

最近イスラエルに移住した方と知り合ったのですが、彼女がイスラエルで驚いたことは「意味なくクラクションを鳴らす」「ペットは基本大型犬」そして「どこに行っても子供だらけ」とのことでした。実際、どこへ行っても子供がおり、週末の公園やビーチとなると子連れの家族でいっぱいです。


実は、イスラエルの平均出生率はなんと3人以上で、OCDE加盟国の中ではここ数年不動のトップを貫いています。

出生率2位のメキシコと比べても1人以上の差があると聞けばビックリですよね。

この出生率の高さには、宗教との深い関係があります。


イスラエルの人口の大半を占めているのはユダヤ人なのですが、ユダヤ教には「産めよ、増やせよ、地に満ちよ」という教えがあります。

厳格なユダヤ教徒はこの教えを守り、できる限り子供を産みます。厳格なユダヤ教徒にとって大家族はめずらしいことではなく、10人家族もよく見かける家族構成です。

しかし驚くのが、厳格なユダヤ人のみならずほとんどのイスラエル人は出産、子育てについて積極的にとらえていることです。


今回の記事では、イスラエル人が子育てに積極的な理由、子育ての秘訣などに迫っていきたいと思います。


双子をあやす様子
双子をあやす様子

イスラエルの子育て事情 ー 国からの補助?家族の援助?

まずはイスラエル政府の子育てに対するシステムについて説明します。

国の助成金が出るのは幼稚園から高校までで、助成金に加え家庭内状況によっては補助金が出ることもあります。保育園は国からの助成金がないので全額負担することになります。

教育機関は日本同様、公立と私立があり、好きな方を選択可能。驚くのが公立の学費。公立の幼稚園だと1ヵ月で平均150シェケル(日本円で約4,600円)とあまり高くはありません。

ただこれには小さな落とし穴があり、幼稚園は基本14時頃で閉園してしまいます。よって、共働きの家庭では幼稚園の後に日本でいう児童館のようなところに預ける必要があります。

児童館はまた別に料金が発生するので結果としては月に最低1,125シェケル(日本円で約34,000円)ほど費用が掛かることになります。


こちらは公立の場合ですが、私立となるともちろん費用はぐっと上がります。私立幼稚園は施設の数も多く、教育方針の種類の多さもあり、私立を選ぶ家庭もたくさんあります。

ちなみに保育園と幼稚園の数はとても多く、「入れる場所がない」ということは絶対にありません。

個々の理由は別として、国のシステムや幼稚園の数を理由に共働きができないという状況は起こりません。


頼むなら国より家族!

ただ、こうしてみてみると国からの補助や助成はあるものの、特に負担が少なくなるというわけではありません。

やはりイスラエルの出生率の高さは、家族や知人からのサポートにかかっているのではないかと私は考えています。


イスラエル人の多くは両親の近くに住むか、頻繁に両親(特に母親)に来てもらい、サポートを受けています。幼児を両親に預けて夫婦でデートや数日間の海外旅行などはよくあることです。

両親の都合がつかない場合もベビーシッターを雇うことはメジャーで、頻繁に利用している家庭は多いようです。

ベビーシッターになるには特別な資格がいるわけではなく、高校生には人気のアルバイトです。なので知り合いの学生に頼んで子供の面倒を見てもらうこともよくあります。


幼稚園でアルバイト中の高校生
幼稚園でアルバイト中の高校生

加えて、ママ友同士もサポートしあう仲で、もはやママ友というよりママ家族のような関係を築き、子供の面倒をみ合います。


日本も一昔前までは家族や近所の手を借りて子育てをしていたかもしれません。イスラエルは今でも子育ては家族、友達、知人や近所の手厚い協力があり成り立っているようです。


そして忘れてはいけないのがイスラエル人のイクメンたち。夫婦内で家事や役割を分担しバランスよく子育てをしています。

私の知り合いに聞いたところ「幼稚園の送り迎えは絶対主人。買い物は私。特に役割分担はなく、できること、得意なことをそれぞれ優先的にしてしてるだけ。」と話していました。


甥の面倒を見る男性
甥の面倒を見る男性

このような手厚いサポートもあり、イスラエル人女性の働く割合(*)は80パーセント以上と比較的高めです。

*厳格なユダヤ教信者を除いた割合


子供は幸せをもたらす?イスラエルの子育てに対するイメージは?

イスラエルでは、インターネットで「子育て」と検索するとほとんどポジティブな検索結果が出てきます。男女問わずイスラエル人に子供についてのイメージを聞いてみると、こちらもやはりポジティブな答えが返ってきます。

なぜ、イスラエル人は子育て、子供についていいイメージを抱いているのでしょう。


まず、子供のイメージについて皆口をそろえて言うのが「子供は喜び」という一文です。イスラエルでは有名な格言で「子供=喜びをもたらす」という意味で使います。

例えば、子供が騒いだりしても、周りの人はお互いに「子供は喜びだからね」と言い、大目にみます。

この格言が社会の中に根強くあるので子供のイメージは喜びや幸福と関連付けられているのだと思います。


自由奔放!イスラエル流の子育ての秘訣

気になるのがイスラエル流の子育て方法。一言で表すなら「自由」です!それぞれの家庭が重視することを尊重し、自分流の子育てをしています。

今回は子育ての秘訣についてイスラエルママさんたちに聞いてみました。


まずは3人の子を持つエイナブさん。イスラエルの大手銀行員として働きながら1歳、4歳、6歳の子を育てています。

彼女流の子育ての秘訣は「子に合わせた子育てを心がけているよ。長女は学ぶことが好きだからできるだけたくさんの習い事させてあげるようにしてる。次女は人との関りが好きだからたくさん友達に会わせる。長男はお父さんっ子だから主人に任せてる。成績や学位が気にならないかって言ったらウソになるけど、一番大事なのは人間性。そこさえしっかり教育してれば後はどうにでもなるよ。」とのことです。


週末、ハイキングにでかけるエイナブさんと家族
週末、ハイキングにでかけるエイナブさんと家族

次に4人の子を持つジバさん。日本に20年在住していた経験もあり、現在はイスラエルでハイドロセラピスト(日本語訳:水治療法士。水中で水の抵抗力や浮力を使いリハビリや運動を行う理学療法の一種)として活躍中。

彼女いわく「一番大事なのは自立させること。家事などはもちろんのことメンタル面でも自立してほしい。18歳までは私の方針で育てるけど、18歳になったらまず実家を出てもらう。そして個々の人生を歩み始めてもらう。もちろんいつでも帰ってこれる家は残してあるけど、自分の人生を始めてほしい。もう一つは母親としてのアイデンティティだけじゃなく、私自身のアイデンティティを大事にしなくてはいけないと思う。そのためにも仕事は続けるし、外との関わりももち続ける。私は、両親が幸せなら子供も幸せだと信じているから。」とのことです。


最後にベテラン看護師として働く傍ら3人の子を育てるヌリットさん。

「絶対家族は最優先!仕事よりも友達よりも、まず家族。週末は一緒に旅行に行くし、晩御飯は絶対みんなで一緒に食べる。家族が何より大事ってことは日頃から教えているよ。」と語ってくれました。


様々な意見が飛び交いましたが、国に関係なく子を思う親の気持ちは皆同じで、幸せになってほしいという思いは変わらないようです。

ただ家族との密な関係や知人からのサポートはイスラエルならではというイメージがあります。

子育ての方法、秘訣についてもそれぞれ意見がありますが、皆共通しているのは自由さ!勉強よりも自立性や好奇心、クリエイティブ精神を尊重していると感じられます。


もちろん悩みや苦難がないということではありませんが、これだけまわりのサポートと気ままな子育てができるのであれば、たくさん子供を産む気持ちもわかりますね。