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FOOD

アイスクリームがユダヤ人とアラブ人を繋ぐ。
ガリラヤ生まれのアイスクリームショップ「ブザ」とは。

by ISRAERU 編集部 |2020年09月17日

ユダヤ人とアラブ人が経営するアイスクリームショップ「ブザ」のカラフルなアイス

イスラエルにおけるユダヤ人とアラブ人の共存、共生を求めて、多くの人が活動を行っています。今回ご紹介する二人も、その一例です。2012年、イスラエル北部に位置するガリラヤ出身の友人同士で、どうすればイスラエルでユダヤ人とアラブ人のコミュニティの気持ちを近づけられるか考えていました。


キブツ・ササ生まれのアダム・ジーブ氏とマアロット・タルシハ出身のアーラー・スウィータット氏は、共に料理の世界と深い繋がりがあり、変化を起こしたいという強い願望を持っていました。そこで思いついたのが、ユダヤとアラブの文化や味を融合させたアイスクリームショップを開くこと。そしてその店をアラブ語で「アイスクリーム」を意味する「ブザ(Buza)」と名付けました。


ユダヤ人とアラブ人が経営するアイスクリームショップ「ブザ」の創業者アダム・ジーブ氏(左)とアーラー・スウィータット氏(Photo by Itiel Zion)
アダム・ジーブ氏(左)とアーラー・スウィータット氏(Photo by Itiel Zion)

アイスクリームで本物の中東体験を

こうして「本物の中東体験」をお客様に提供することを目標に、二人の冒険は始まりました。アイスクリームの味はもちろん、店内の音楽や面白いインテリアなど、あらゆるところにユダヤとアラブを融合し、店内に足を踏み入れると五感で中東を感じることができます。


メニューはアラビア語とヘブライ語で書かれており、スタッフも様々なバックグラウンドを持った人たちが集まり、「イスラエルでユダヤとアラブは共存可能である」ということを表現しています。


一号店をオープン後、すぐに人気店へ。テルアビブに二号店もオープン。

キブツ・ササで一店舗目をオープンし、瞬く間に人気アイスクリームショップとなった「ブザ」。イスラエルの中心地テルアビブでの新店オープンは、当然の選択だったそうです。そしてテルアビブに新店をオープンすると、そのユニークなコンセプトはテルアビブに住む人々にも受け入れられ、一躍人気店と駆け上がりました。


ユダヤ人とアラブ人が経営するアイスクリームショップ「ブザ」のアイスクリーム

ブザのアイスクリームは、ガリラヤから届く材料を使って、毎日店内で作られているので、いつでも作りたてのアイスクリームを食べることができます。中には一見風変わりなメニューもあるのですが、プロの腕に間違いはありません。

さらにアイスクリームを乗せるコーンも店内で作られており、塩漬けダークチョコレートコーン、カルダモン(生姜に似たスパイスの一種)とシナモンを組み合わせたコーン、さらにはビーガン向けのハルヴァコーンなど、ここでしか味わえない特別なコーンが揃っています。テルアビブのショップには、ビーガン向けのメニューが約12種類あり、ビーガンフレンドリーのアイスクリームショップとしても人気を博しています。


ユダヤ人とアラブ人が経営するアイスクリームショップ「ブザ」のアイスクリーム

ブザの特徴の一つに、そのユニークなメニュー名があります。例えば、ブザで一番人気のメニューは、ギリシャ神話のカシオペア女王からインスパイアされた「カシューペア(Cashewpeia)」。カシューナッツ、塩キャラメルとトーストされたココナッツを使った、甘じょっぱい味です。


またアイスクリームの季節ともいえる夏には、季節限定メニューがたくさん店頭に並びます。

2017年夏に初めて登場し、Instagramで大好評となった「ザ・ブラック・マンバ」は、ピーナッツバターアイスクリームにひねりを効かせたもの。亜鉛が入っているため、真っ黒な見た目をしています。


もう一つ話題となったのは、2017年年末に登場した水色のアイスクリーム。この水色の正体は、栄養補助食品として人気のある藻の一種、スピルリナです。味はシンプルなイタリアンバニラ味となっており、この味を求めて連日行列ができていました。


ユダヤ人とアラブ人が経営するアイスクリームショップ「ブザ」のアイスクリーム

イスラエルのユダヤ人とアラブ人の垣根を越えて愛される「ブザ」

こうして二人の友人同士が変化を起こしたいという願望で始めたアイスクリームショップは、Instagramを中心に大きな話題となり、成長を続けています。国境や政治的意見、個人のアイデンティティに関係なく、アイスクリームには人々を繋ぐ力があるのかもしれません。


ユダヤ人とアラブ人が経営するアイスクリームショップ「ブザ」のアイスクリーム

ウェブサイト

https://buzaisrael.co.il/



Text : Jay Tsechansky