日本とイスラエルの国交樹立70周年を記念して、『タイムトンネル – 日本とユダヤ人』展が開催されました。注目すべきは、日本のアーティストとホロコーストの生存者の共同作業によって、過去に対するユニークな視点が提供されることです。2022年9月から2023年4月末まで、イスラエルのハイファにあるティコティン日本美術館で開催されるこの展覧会は、組織的破壊に直面した際の救いという難問について考えるものです。
まず、来場者は3つのインスタレーションが連結された部屋に入ります。一方は、宮島達男による「時の海」です。1940年夏、日本経由でヨーロッパを脱出したユダヤ人たちのために、危険を冒して2000枚以上のビザを発給した外交官、「日本のシンドラー」こと杉原千畝に敬意を表しています。作家は、彼らやその家族、そのほかの悲劇に影響を受けた人々と協力しました。また、参加者自身がLEDユニットの点滅方法を選択することで、最終的に光の海となる演出をしました。
“光の海”を囲む壁面には、作家の撮影に応じた人々の写真(「カウンター・スキン」コレクション)が展示されています。これは、ユダヤ人がナチスから受けた強制的な体験と呼応しています。また、人々の体に描かれた数字は、強制収容所で収容された囚人たちの数字を連想させます。
最後に、薄暗い部屋の中でミニチュア列車が休むことなく走り回るフロアにご注目ください。その車両には、9から1までの数字が逆走しています。それはおそらく、ホロコーストの際にユダヤ人が耐えなければならなかった旅を思い起こさせるでしょう。
そして、日本の現代美術作家『SHIMURAbros』のビデオ・インスタレーションによって、この部屋での体験は続きます。来場者たちは、展示の一部でもあるデッキチェアで、ユダヤ人のキュラソー島への想像上の航海を描いた映画を鑑賞することができます。
次の部屋では、前衛的な写真家たち『丹平写真倶楽部』が撮影した“流浪のユダヤ人”の写真集が展示されています。このシリーズは、ナチスから逃れて神戸に残ったユダヤ人たちを描いたものです。写真と一緒に、山形浩子が短歌で、10歳の少女の目から見た避難民の印象を伝えています。
同じように、写真家の小野寺由紀は、「古着の肖像」シリーズとして、14点の写真を集めました。ユダヤ人画家クリスチャン・ボルタンスキーの個展で購入した衣服の写真を通して、衣服に新たな生命とアイデンティティを与えたのです。
2階のカフェに向かう前に、デビッシュ・ベン・モシェ・メイロフの『Reflection on a Journey』と世界的な版画家、野田哲也の木版画『The Diary』を見逃さないように注意しましょう。ひとり目のアーティストは、彼女のプライベート・アーカイブ写真や、来日時に購入した『東海道五十三次』シリーズの版画作品を通して、日本とエルサレムの架空の旅へと私たちを誘うのです。もう一人は、駐日イスラエル大使の娘と結婚するためにユダヤ教に改宗した自伝的な版画作品16点を展示しています。
イスラエルのハイファにあるカルメル山の頂上にあるティコティン日本美術館は、地下ケーブルカー「カルメリット」の「ハカルメルセンター」駅からわずか10分のところにあります。ガイドツアーに参加すれば1時間、あるいは1時間半もかからないので、いくつかの美術館の共通券を購入するのもよいかもしれません。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:ISRAERU編集部